急増する中国人投資家は諸刃の剣

中国人投資家の爆買い

最近の外国人、特に中国人によるコンドミニアム購入の急増に対し、タイ中央銀行が警戒し始めた。統計によると、2017年にコンドミニアム購入のために海外からタイに送金された資金は708億バーツ(約2,400億円)にも上り、2016年の532億バーツ(約1,800億円)に対して33%も増加した。

ちなみに、2012年から2016年までの同送金額の平均年間増加率は10%であったことからも、最近の急増ぶりがわかる。しかも、この内訳について国別に調べてみると、中国(香港を含む)の増加がその大部分を占める。

また、下のグラフからもわかるように香港経由で入ってくる資金を含めると中国人の購入額は外国人全体の42%を占めるに至っている。

タイ中央銀行によれば、外国人によるコンドミニアム購入需要は今後も増加する傾向にあるという。これまでこの外国人需要増はタイ国内のコンドミニアム供給過剰を緩和するというプラス効果があったものの、今の調子で増加すると新たな問題を引き起こす可能性があり、今後は警戒が必要との結論に至ったのである。

一方、タイコンドミニアム協会も、最近、同様のコメントを出した。ここ数年、中国人バイヤーは増加の一途で、バンコクのコンドミニアム市場を席巻しつつあるだけでなく、この流れはこれからも続く。しかも、これら中国人購入者の大半は自己居住せず、中国の旅行会社やAirbnbを通して中国人観光客に賃貸しようとすることから、今後問題を引き起こす可能性があるという。

残念ながら、コンドミニアムの民泊問題については、タイ政府やバンコク都が違法であると警告しても、外国人である彼らはあまり気に留めないようで、ラチャダーピセーク通り沿いなどで今もこういう投資目的の物件購入が続いている。

結局のところ、タイに来る年間1,000万人にも上る圧倒的な数の中国人観光客が、コンドミニアムを宿泊施設として貸し出せば高利回りの不動産投資になるというチャンスを中国人投資家にもたらしたのである。その結果、今、バンコクやタイ各地のリゾート地で、まさに中国人投資家によるコンドミニアムの爆買いが始まりつつある。

さらに、これは中国人購入者だけの話ではない。最近は中国の不動産会社も続々とタイでの不動産開発を始めた。同協会によれば、昨年末までの過去3年間、タイ国内での外国企業による不動産開発の国別トップは日本であったのだが、今年に入ってからは中国が日本を抑えてトップになった。

具体的には、今年に入って中国企業19社が3,340億バーツ(約1兆1,400億円)をタイの不動産開発事業に注ぎ込んだ結果、2,530億バーツ(約8,600億円)の日本勢は2位に転落したのである。

いつか必ずやってくる経済危機

さて、アジア通貨危機から20年が経ち、リーマンショックから10年が経った。新興国から米ドルが米国に還流し始めたことで、トルコやアルゼンチン、フィリピンなどの通貨安が始まっているし、米中間の貿易戦争もくすぶる。

そろそろまた世界経済の波乱が近づいてきているのかもしれない。少なくとも、あともう10年、いや、あと5年、世界経済が今のまま成長を続けると思っている人は少ないのではないだろうか。

そして、タイのコンドミニアム市場にとって波乱が起こるとすれば、中国が震源地になる可能性が高い。つまり、将来中国経済に異変が起こった場合、観光客が激減し、それに伴って投資家の大量の投売りや解約が出るという、今、市場で起こっていることの逆回転が起こるのである。

追加コメント:

2019年に入り、目に見えて中国人投資家が減り始め、投資額は2018年の半分になったといわれている。

原因は、日米貿易戦争やそれに伴う中国景気の悪化、タイバーツ高人民元安といわれているが、それに加えて2020年に入るとコロナウイルス騒動で、さらに半分になるとも指摘されている。

このコラムで書いた通り、やはり、中国が発端となって、タイのコンドミニアム市場は失速した。そして、今のところ、市場回復の手掛かりも見えてこない。。

こういう時は、じたばた焦らずに「待つも相場、休むも相場なり」である。ただし、これはと思う掘出し物が見つかったときには、迷わず買い出動である。

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