日本のFIREブーム、でも本当にこれでいいの?(その3)

さて、上の図は野村総研が出してきた日本の富裕層の分布ですが、自宅を除く資産から負債を引いた純資産が1億円から5億円ある人が富裕層ということになっています。ただし、富裕層の平均値は1.9億円ということなので、自宅以外で約2億円の資産があれば一人前の富裕層というわけです。
確かに2億円もあれば、そのうち7,000万円ほどを株式市場等で運用して4%のリターンを目指して、もし失敗しても生活に困るということはありません。それに対し、FIREは富裕層になるのを待たず、その下の準富裕層にいる時点で早期退職してしまうので、結構危ない綱渡りをしているわけです。

実際、7,000万円のお金があっても、今の低金利時代に毎年4%の不労所得を確実に得るのは容易なことではありません。そのためには、多分、手持ち資金全部を株式市場などでリスク運用するしかないと思いますが、今は株価の上昇が続いていてもいつかは市場の暴落が起こります。

これで投資元本まで棄損してしまえば、生活費の25倍の資産という基本ルールがあっさり崩れてしまうことになりますが、その時になって元の好待遇の仕事に戻ろうとしても、数年間のブランクがあると、余程の特殊能力を持つ人でもなければ難しいのではないかと思います。

それに、「セミリタイアしてプレッシャーや束縛のない中で好きな仕事をする」というのは聞こえはいいですが、セミリタイアではどこの会社で働く場合でも、責任の大きい重要な仕事は任せてくれず、単純な仕事しかやらせてもらえないので、それが好きな仕事であるとは思えません。

そもそも本当に好きな仕事であれば、それをセミリタイアという中途半端な働き方でするという理屈には、私は矛盾を感じます。要するに、とにかく今の会社を辞めたい、働きたくないというのが本音なのではないかという気がするのですが…。

ちなみに、バンコクに来ているロングステイヤーは多いですが、多くの人が実は結構時間を持て余しているように見えます。私の場合も、2011年にバンコクに来て以来、何もしないとさすがに退屈なので、最初の2年ほどは毎日午前中の4時間、タイ語学校で真面目にタイ語の勉強をしながら、午後は自分自身の不動産投資のための情報収集で物件視察に行ったり、ネットで市場の動きを調べたりとできるだけ積極的に何かをするようにしていました。

その結果、次第にローカルの不動産事情も分かるようになったので、何となく自分の海外不動産事業の経験をもとに不動産ブログを書き始め、それが運よく雑誌での連載や本の出版につながりました。しかし、こんなのは大した収入にはならないし、好むと好まざるに関わらず文字通りセミリタイア生活となっているわけですが、実際には会社員の頃にやっていた不動産ビジネスの方がはるかに醍醐味があって面白かったと思います。

もっとも、現在の活動を通して今でも新しい出会いがあり、社会とつながっているという点ではやっていてよかったと満足していますが…。

従って、私の経験からも退職してでも本当にやってみたい好きな仕事があるのならいいですが、とにかく辞めたいという理由では、結局時間を持て余して後悔することにもなりかねないので、たとえ7,000万円とかの資産ができたとしても、早期退職やセミリタイアはもう一度よく考えた方がいいように思うのですが…。

FIRE67

ちなみに、もう2年も前に「海外不動産投資でプチリッチになろう(その1)」と題して書いたのですが、ナイトフランクによる世界のミリオネアー調査によれば、世界では自宅や負債を除く金融資産で100万ドル(約1億1,000万円)以上持つ人が大体2,000万人ぐらいいるようです。

100万ドルの資産というのは、日本の富裕層のほぼ下限になるわけですが、同じFIREをするにしても、少なくともまずこの世界のミリオネアーの仲間に入るぐらいまで我慢して資産形成をしてからにした方がいいように思います。

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