プレビルド待機資金の運用と為替リスクのヘッジ

かつての1ドル70円台という円高から110円台まで円安が進んだ今、円資産だけを持っていては危ない、外貨資産を持つことで資産防衛しなければ、というジャパンリスクに対する備えが今のトレンドでもある。それもあってタイだけでなく広く海外不動産が日本人に買われているのだが、何と言っても外貨資産の基本は基軸通貨の米ドル資産である。

先月のことだが、筆者はカンボジアのプノンペンに飛び、現地の大手銀行でドル預金口座を開いてきた。その目的は、タイで購入したプレビルド物件の将来の竣工引渡しに備えて日本で待機させている資金を一旦カンボジアに送金し、竣工までの約2年間、米ドルに換えて定期預金で運用することにある。

我々のようなバンコク在住者にとって、首都プノンペンはスワナプーム空港からわずか1時間ほどだ。往復の旅費もわずか6,000バーツ前後で東京と札幌を往復するような感覚で行ける。そして、銀行口座を開設して同日の夕方にはバンコクに戻ってこられるという手軽さなのである。

現在、カンボジアは発展途上国であり、先進国に比べてカントリーリスクが高いと見なされている。とは言え、これから数年以内にクーデターが起こったり、昔のポルポトのような独裁政治が始まるとは考えにくい。ただ、アセアンの中では経済発展が遅れている発展途上国の一つであり、その経済は隣国タイ経済への依存度が高く、タイ経済に異変が起こればカンボジア経済も少なからず影響を受けるのも事実だ。

しかし、向こう1~2年の近未来のことだけを考えた場合、カンボジア経済が急変し大手銀行が倒産するということはさすがに考えにくい。

カンボジアにはリエルと呼ばれる自国通貨があるものの、実際の経済活動の中では米ドルが使われている。すなわち、アメリカの通貨を自国の通貨として国内で流通させているわけだが、米ドルの定期預金の利息は5%前後と高い。同じ米ドルなのにアメリカで定期預金しても1%の利息もつかないのに、カンボジアでは約5%になるということなのである(注:ただし、利息に対する税金が14%かかる)。

さて、バンコクでプレビルド投資をする場合、プリセールで買うと通常は購入価格の20%から25%のダウンペイメントを毎月分割して払っていくことになるが、残金は竣工引渡し時に一括支払いだ。しかも外国人である日本人の場合、その購入資金は全額海外からタイバーツ以外の外貨で送金しなければならない。ただし、これは必ずしも日本から送金する必要はない。カンボジアの銀行からタイにドルで送金するのでもその要件を満たせる。

筆者もそうだが、ジャパンリスクを考えて今はできるだけ円資産を減らし、外貨資産を増やしたいと考えている。実際、日本の不動産をかなり処分し、バンコクのコンドミニアムだけでなく、カナダの不動産や米ドルのオフショアファンドに投資しているが、タイのプレビルド投資にとって物件竣工引渡しまで待機資金を為替リスクヘッジを兼ねて運用するのに最も都合がよいと判断したのがカンボジアでの米ドル預金なのである。

現在、カンボジアの大手銀行はまとまった額の現金持ち込みも受け入れてくれるし、インターネットバンキングも使える。しかし、その内規制が厳しくなり、今の香港のように新規口座開設が難しくなるはずだ。

もしプレビルド物件の竣工引渡しまでの数年間、このカントリーリスクを取ることができると考えるのであれば、バンコクにいる今のうちにドル口座を開設して運用することも検討に値すると思うのだが…。

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