不動産投資の錬金術 ゲンガムライは竣工後に勝負する

ゲンガムライ(เก็งกำไร)とは?

タイ語でゲンガムライというのがある。広義では利益を出すための投機的行為のことだが、不動産業界ではプレビルドの購入予約権を転売して儲けることをいう。

厳密にはバイジョーング(ใบจอง)と呼ばれる購入予約証やバイサンヤー(ใบสัญญาซื้อขาย)と呼ばれる購入予約契約を竣工引渡し前に譲渡し利益を得ることだ。

何故、これが投機的行為なのか。一部のタイ人は、前評判の高いプロジェクトを見つけると、プリセール初日に早朝から並んで良さそうなユニットを先回りして買う。これが自己居住目的の実需買いなら問題ないのだが、買い取る資金のあてもないのに転売目的だけで買うから投機なのである。

大型プロジェクトの場合、竣工までに3、4年かかるものもある。その間に思惑通り価格が上昇すれば、ゲンガムライで利鞘を取れる。

しかし、筆者は2011年の大洪水や2014年の反政府運動を見てきた。突然の予期せぬ事態で不動産市場は瞬く間に冷え込んでしまう。当時、資金力のない連中の多くが狼狽して損切りしたり、払ったダウンペイメントを全額放棄して契約を解除していた。

非常にリスクの高い投機的行為であり、こんな連中のまねをしてはいけない。

プレビルドにはチャンスが2回ある

むしろ、見習うべきはタイ人富裕層だ。資金力のある彼らは価格は高くても本当に価値あるプレビルドを選んで買う。竣工引渡しまでに転売できればそれでよし、できなければ中長期賃貸運用に切り替えるのでそれもよし。まぎれもなく、これは投機でなく投資である。

このようにプレビルドにはゲンガムライと中長期イールドプレイ(賃貸運用)後に売却する2通りの「出口」がある。

そこでゲンガムライも狙う投資家に筆者がアドバイスするのは、バイサンヤーの中でデファード・トランスファー・オプションを入れることだ。筆者も数年前にプレビルドを買った際、この条件を入れさせた。

つまり、自分のユニットだけでなく、プロジェクト全体が完全に竣工するまで所有権の保存登記を保留できるオプション特約だ。デベロッパーとの交渉次第だが、それまで登記を待ってくれるところは少なくない。

ゲンガムライのベストタイミング

では何故こんな特約が錬金術なのか。竣工した物件の場合、転売物件の購入者は眺望、通風、日照を自分の目で確認できる。また、まだ竣工引渡しが行われていないので、スナギング(ダメ工事)も自分が納得行くまでチェックしてデベロッパーに手直しさせることができる。

このメリットは大きい。しかもタイ人は新築志向が強い。保存登記がされてない物件は当然まだ新築だ。一旦登記されて中古になった物件は銀行の査定価格が下がり、住宅ローン金利も高くなる。いいことは何もない。

次の3つのグラフは昨年第4四半期に竣工した人気プロジェクトのアスキングプライスの推移だが、竣工前後に価格が上昇しているのが分かる。全てのプロジェクトがこうなるわけではないが、多くの場合、人気物件は竣工の直前直後に値上りする傾向があるので、保存登記直前のこの限られた期間こそ、高く売るベストタイミングなのである。

追加コメント:

2020年の今、プレビルド投資で竣工引渡し前に転売して儲けるゲンガムライで成功する例は極めて少ないし、これからも状況はそう変わらないと筆者は考えている。

むしろ、2、3年前にプレビルド買った投機家が、転売に失敗して竣工直前直後に投げてくる物件を安く買い取るチャンスは今年は続くが、来年以降は難しい。

すなわち、2019年4月以降、中央銀行の融資規制により激減した国内投資家と、同時期に激減した中国人等の外国人投資家のことを考えると、そもそも転売狙いの買いが激減したわけだから、来年以降は次第にこういった投売りも出てこなくなるはずだ。

そういう意味では、2020年は投売りを拾う最後のチャンスかもしれない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました