デベロッパーが隠す、本当は一番怖い空室リスク

投資利回りよりキャッシュフロー

筆者は、バンコクの不動産投資では投資利回りにあまり固執しない方がいいと思っている。日本でも不動産投資で利回りに固執する人が多いのだが、賃貸需給が緩い市場では満室稼働時の高利回りを自慢しても仕方がない。空室リスクのミティゲーションが不可欠なのである。

1棟単位で買う機関投資家はこういう場合、空室引当率(Vacancy Allowance)を入れて予想キャッシュフローを走らせる。しかし、1ユニットだけ買う個人投資家にはゼロか100かしかないのでリスク緩和にならない。それだけ家賃収入が途絶えるダウンタイムは怖いということだ。

特に1ベッドルームは注意が必要

ところが、どのデベロッパーや販売会社も賃貸した場合の市場賃料は平米あたりXXXバーツで利回りは何パーセントと詳しく説明してくれるが、一番知りたい周辺同等物件の空室率については口をつぐむ。こんな素晴らしい新築物件なのだから、当然入居者はすぐに見つかるはず、というわけだ。

しかし、そんなに話は単純ではない。特に30㎡前後の1ベッドルームはこれまでの大量供給の結果、空室リスクが非常に高くなっている。デベロッパーが売りやすい手頃な価格帯を維持するために専有面積の小さい1ベッドルームやスタジオユニットにシフトした結果、狭小物件が溢れるようになった。市場では現在、43,000ユニットもの完成済販売在庫があると報告される中、その大半が1ベッドルームやスタジオなのである。

そして、多くの一般投資家は金額的に手頃だという理由でデベロッパーの思惑通り小さな1ベッドルームに投資し続けている。

しかし、余程のハイスペックか、駅から徒歩数分といった特別な物件以外、どこも入居者募集で苦戦しているというのが実態だ。そのあげくが、手っ取り早くAirbnb等を使って違法な民泊に貸し出す投資家、特に無責任な外国人投資家の増加なのである。

最後は自己責任

筆者はこれまで数十回にわたり日本各地で不動産投資セミナーを開いてきたが、30代、40代の人達が将来の資産形成手段としてバンコクのコンドミニアムに熱い視線を注いでいるのを実感している。

 しかし問題は、その大半がタイ人一般投資家と同様に予算重視の結果、似たり寄ったりの狭小1ベッドルームに投資していることだ。

さらに、セミナー会場で、家賃XXXバーツで日本人駐在員に貸せると日系仲介業者に勧められて新築1ベッドルームを買ったがもう1年以上も空室のままでどうしたらいいか、と相談にきた女性がいた。どうしてこの物件を買ったのですかと聞くと、その仲介業者のセールストークをそのまま繰り返す。それは筆者も知っている不人気プロジェクトだった。

こんなの買ったらダメだと分かっているのに仲介業者が熱心に勧める理由は一つしかない。デベからのコミッションがいいということだ。新築はデベが保存登記までやってくれるので手間もかからない上に、あわよくば両手商売で買主からもフィーが取れるとなれば、業者は当然、こっちを売ろうとする。

しかし、この業者を責めても仕方がない。結局、投資は自己責任だと自覚してしておくべきなのだ。

総合投資利回りであるIRR(内部収益率)で投資を考える

筆者自身もアソークで36㎡の1ベッドルームに投資していたことがあるので、このセグメントの物件はテナント付けが難しいことを経験している。特に日本人への賃貸は難しい。

ところで、イールドプレイをする中長期投資の場合、ダウンタイムは確実にIRRを悪化させる。すなわち、投資のNPV(現在価値)という観点から見れば、賃料収入のあるなしは最後の将来価値である売却益より影響が大きいのである。

バンコクの賃貸物件は家具一式が付いていることから、持ち物も少ない40㎡前後の1ベッドルームに住む日本人単身赴任者は賃貸契約の1年がくるたびに転々と引っ越す人が多い。

さらに、日系仲介業者も更新されても大した収入にならないので、次のコミッション欲しさに1年経つと引っ越し代は業者が負担するから次のコンドに引っ越したらどうかと斡旋する。

仲介料は家主が払うので入居者にしてみれば何ら負担もないので思わず食指が動くし、実際に毎年のように転居している日本人も多い。

だから、日本と違ってタイ人投資家はオーナーチェンジ物件に大して魅力を感じてないし、であれば、「出口」は入居者が退去後と腹をくくり、ダウンタイムを避けることを優先してIRRを上げていくべきなのだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました