タムレ・トーングとタムレ・サカヤパープ、どっちに投資する?

タムレ・トーング(ทําเลทอง)という業界用語がある。頻繁に使われるので不動産業界に縁のないタイ人でもこの意味を知らない人はまずいない。直訳すると、“黄金の土地”だ。英語ならもっと直接的にベストピッチとかベストロケーションというし、日本語なら超一等地だ。

ヤワラートに建ち並ぶ金行を見たことがあれば分かるはずだが、タイ人は非常に黄金が好きな国民だからだろうか、トーング(金)という言葉をこんなところでも使う。

バンコクのコンドミニアム市場で代表的なタムレ・トーングは3つだ。シーロムとサトーン、次にラーチャダムリ―、ランスアング、ウィタユの3つのタノンに代表されるセントラル・ルンピニ―、そして日本人に絶大な人気のスクムビット通り沿いで、アソークからエッカマイにかけてのエリアである。

中でもスクムビット55のトンロー通りはバンコクの表参道ともいえ、タイ人にとっても憧れの土地だ。今、トンローでは30万バーツ/㎡を超えるスーパーラグジュアリー級プロジェクトが目白押しでやや過剰気味でもある。それでも最近、プルクサ―がここで売り出したプロジェクト、ザ・リザーブもすぐに完売となった。

一方、タイ語にはもう一つ、タムレ・サカヤパープ(ทําเลศักยภาพ)という言葉がある。“将来発展し変貌する土地”という意味だ。タムレ・トーングに比べて地価もまだそれほど高くないし、ややリスクはあるものの、期待通りに発展すればリターンも大きい。

不動産コンサルタントとしてクライアントと面談していると、有名なトンロー通りで投資したいという人も多いのだが、ちょっと勘違いしているのではないかと思うことが時々ある。

わずか2,000万から3,000万円の予算でトンロー通りの新築ハイライズコンドに投資したいというのであるが、今の円安では現地通貨で600万から900万バーツにしかならない。

それに対し、中古でも空室リスクの低いクアトロとかHQのラグジュアリーコンドで、賃貸に有利な内装にお金をかけたユニットを買うとなると、25万バーツ/㎡だ。しかも、トンロー通りで30㎡台などという狭小物件を買っても仕方がないので50㎡は欲しい。すると、1,250万バーツ、日本円で4,000万円以上になる。

だから筆者はこうアドバイスする。「5,000万円位の予算がなければトンロー通りで無理して投資はしない方がいい」。そして、こう続ける。「トンローで2,000万から3,000万円の投資がしたければ、むしろ駅の南側、偶数側が狙い目です」。

その理由は“タムレ・サカヤパープ”。つまり、これから発展、変貌する可能性の高い土地だからだ。

例えば、中長期的にはスクムビット通りのプラカノーンとラーマ3を結ぶグレイライン・第2フェーズが計画されている。彼らのウエブサイトを調べると、その新駅をソイ36(スクムビット36)とラーマ4の交差点付近に作るらしい。もしそうなれば、わずか1キロ程のソイ36は2つのスカイトレインの駅に挟まれて利便性が各段に良くなる。

また、つい最近、大手のアナンダーがソイ36のトンロー駅から500メートルも離れたところにアイディオQの開発を発表した。アシュトン・モーフに続き、今回も駅からかなり離れた大型プロジェクトだ。

今、開発用地がますます払底するトンロー通りでは、一等地の実勢価格が200万バーツ/4㎡を超えたと噂されている。一方、トンロー駅南側では、ローライズエリアなら50万からせいぜい70万バーツ/4㎡で用地取得できる。

従って、偶数側に注目するデベロッパーはもっと増えるはずだ。そして、投資として考えた場合も、予算に限りのある投資家にとってはこういう発展する可能性の高いロケーションの方が投資妙味があるように思える。

少なくともここで投資して、将来キャピタルロスを出すリスクはまずないと筆者は思うのだが…。

追加コメント:

このコラムを書いた当時は、まだCBDの新規で売り出されるラグジュアリーコンドの価格の上昇が続いていて、それに伴って築浅中古もじわじわと値上りが続いていた。

筆者もこの流れは当分続くと考えていて、ここで書いたように、タムレ・トーングでタムレ・サカヤパープでもどちらにも投資妙味あり、あとは予算次第という考えであった。

しかし、外国人を含めると、都心部で市場全体の3割から4割を占めていた投資家層が激減した今の状況では、高額のラグジュアリー物件は極めて分が悪い。

一方、デベロッパー各社が2019年以降注力してきているのが、オレンジ、ピンク、イエローといった新線沿線でのミドルクラス実需向け廉価プロジェクトの開発である。

ただし、路線格差や空室リスクがあることから、我々外国人投資家がそれら新線沿線の物件に投資するのはやめておいた方がいい。

むしろ、職住接近を最優先するミドルクラスやアッパーミドルクラスから熱い視線を向けられているエリアで、これからも発展が続くと思われるタムレ・サカヤパープこそ狙い目である。

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