サムローンはスクムビットライン延伸線の試金石

先月、BTSスクムビットライン(グリーンライン)東部延伸線最初の駅、サムローンが開通した。この駅からバンコク都ではなくサムットプラガーン県になるが、全部で9つある新駅の中では最も期待できる駅だ。

筆者が著書「バンコク不動産投資」を上梓した2016年2月当時、期待の新線として注目されていたパープルラインは、デベロッパーが際限なく沿線で新規プロジェクトを発表する中、全体のコンドミニアム供給量が7万ユニットにも達していた。

それを見て、供給過剰でコンドミニアム市場は崩れるとほぼ確信したので、「パープルライン沿線は買ってはいけない」とはっきり著書の中で書くことができた。

実際、2016年8月のパープルライン開通から現在に至っても販売在庫一掃は進んでおらず、今年3月、とうとう見かねた政府がノンタブリ県内で駅から500メートル以上離れたエリアでの開発規制を始めたほどだ。

さて、そこでサムローンの話に戻ると、著書の中で「グリーンライン延伸沿線は今後のマーケット動向を注視」と書いた。これは今も変わってない。当時、既にこの沿線でも大量供給が懸念されつつあったが、まだ、買ってはいけない、とまで書く確信がなかったからだ。

しかしその後、パープルラインが開通し、大量の販売在庫の存在が現実の問題となった頃、グリーンライン東部延伸線でも大手デベロッ

パーのAPが大型プロジェクト、アスパイアー・エラワンの第1フェーズがわずか15%しか売れず、第2フェーズを凍結した。

また、不動産調査機関のAREAは、サムットプラガーン県の販売在庫総数は実は7,600ユニットもあり、パープルラインのノンタブリ県、9,500ユニットにほぼ匹敵すると公表したのである。グリーンライン延伸線市場も一歩間違えば崩れる可能性が高いのかもしれない。

しかし、スクムビットラインは東京の中央線のように複数のCBDを走り抜けるし、この延伸線沿線なら乗換なしの職住接近が実現できるのも事実だ。

郊外を走るだけでCBDに行くにはブルーラインへの乗換が必要なパープルラインとは路線の人気度が違う。それにサムローンにはもう一つ、将来イエローラインのターミナル駅になるというアップサイドもある。

ただし残念ながら、プライドの高いタイ人アッパーミドルクラスはバンコク都のアドレスに固執する傾向が強く、インフラ整備の遅れたサムットプラガーン県はあまり人気がないというのも事実だ。

一方、沿線住民には日系企業の工場で働く労働者が多く、こういったミドルクラスやロワーミドルクラスの彼らこそが主な見込顧客である。

しかし今、最も住宅ローンが借りられないのがこういう工場労働者達で、景気低迷で残業手当も減った結果、住宅ローンが借りたくても6割が与信審査で落ちるともいわれている。

そんな中、もし大手デベロッパーが今のコンドミニアム市場の突破口としてこの沿線で大量供給を始めれば、パープルライン沿線と同様、この延伸線でもまた市場が崩れるリスクがある。

そこで最後に一つ、以下のアドバイスをしておきたい。

筆者は、グリーンライン延伸線新駅の中では、サムローン駅が最も将来性があると考えているし、予算が1,000万円程度しかないクライアントには、中途半端なダウンタウンの中古を物色するぐらいなら、サムローン駅前の新築物件を買う方がいい、と2年前から勧めてきた。

もっとも、現在進行中の駅前プロジェクトといえば、具体的には「メトロポリス」しかないのだが…。

一方、同じサムローン駅でも500メートルも離れたら、もうそこは300万円から500万円の安かろう悪かろうといった感じのスタジオや1ベッドルームしか見当たらないし、首尾よく賃貸できても大半が5,000~6,000バーツ程度の家賃しか取れない。

そんなセカンダリーなマーケットには、外国人である我々が投資しない方がいい。不動産投資としては金額が小さすぎて効率が悪すぎるのだ。

我々のような外国人投資家にとって、投資規模が著しく小さいというのは立派な投資リスクなのである。

追加コメント:

いよいよ2021年10月にイエローラインが開通し、サムローンがそのターミナル駅となる。そこから3年から5年かけてサムローンの人気は上昇していくと思うが、今のような市場低迷期だからこそ、こういう強力なアップサイドがある駅で底値買いのチャンスを模索するべきなのである。

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