ラグジュアリープロジェクトの大量供給、市場は息切れしないのか?

プラスプロパティによれば、バンコクで販売価格が20万バーツ/㎡以上のいわゆるラグジュアリーコンドミニアムが過去5年間でどれだけ値上りしたかを調べたところ、平均で3割アップしているそうだ。

現在の景気低迷により、中級と廉価なコンドミニアムプロジェクトの売れ行きが悪化する中、ラグジュアリーやスーパーラグジュアリークラスはタイ人富裕層や外国人に受け入れられていて、特にロケーションに優れる築浅物件や竣工が近づいているものほど大きく値上りしているとのこと。

しかし、この流れがいつまでも続くかというと、筆者は最近、疑問に思い始めている。実際、2015年と2016年には相当数のラグジュアリーコンドが売り出されたが、2016年に入ると売れ行きの悪いものが結構出てきているのだ。

つまり、ラグジュアリークラス以上であっても勝ち組と負け組が出てきている中、このラグジュアリーブームはもうそう長くは続かない可能性があるのではないか、最近はそろそろ流れが変わる時期に来ているのではないか、というような気もするのだ。

そんな中、最近、JLLタイランド・リサーチのレポートが次のような問題提起をしている。

「郊外の廉価なコンドミニアムが過剰供給で苦戦する中、大手デベロッパー各社は売れ行きのいいハイエンド・コンドミニアムに開発の中心をシフトしつつある。

しかし、ラグジュアリーコンドのセグメントについては、顧客層の基盤が小さいことからその需要も限られていることを忘れてはならない。従って、今の需要がいつまでこのハイエンドシフトの大量供給についてこられるのか、という疑問が当然出てくる。

スーパーラグジュアリー(250,000バーツ/㎡以上)とラグジュアリー(150,000から250,000バーツ/㎡)コンドミニアムの新規供給量は2012年にはわずか1,000ユニット強だったのが、2015年には8,500ユニットに増加した。

また、新規供給量全体に対する比率で言えば、2012年の1.9%から昨年は13.7%へと急増した。そして、もしデベロッパーが今の調子でラグジュアリー物件を供給し続ければ、やがて需要が追いつけなくなる可能性がある。

実際、以前は好調だったラグジュアリークラスのプリセール販売達成率も2014年の85%から昨年は58%へと落ちてきているのだ。

従って、今後さらに競争が激しくなるにつれて、デザインやロケーションなどで特別な魅力のない平均的な高級物件はリスクが高くなる」。

筆者も最近のラグジュアリーセグメントの大量供給で市場は踊り場にきているのではないかと感じ始めているし、特に今年のトンロー周辺での供給ラッシュは行き過ぎのように感じる。 

英字紙THE NATIONによると、トンローでは今年、サンシリ、プルクサー、シンハー、ランドアンドハウス等がスーパーラグジュアリー級プロジェクトを続々と発表する計画で、その購入見込客としてデベロッパー各社は日本人、そして中国、香港、シンガポールの投資家をターゲットにしているそうだ。

しかし、現在トンローでは、ゲイソーンやSCアセット、リアルアセットのハイエンド・プロジェクトも進行中であり、いくら人気のトンローでもこれら全部のプロジェクトが相乗効果でウィンウィンの勝ち組になれるとは思えない。

それに、最近の円安傾向や頭打ちになりつつある日本人駐在員数から見て、少なくとも今ここで日本人投資家が買いの主役を演じることはまずあり得ない。

どうもデベロッパーの強気なポジショントークばかりを感じるのだが…。

追加コメント

この頃から既に、20万バーツ/㎡を超すラグジュアリーコンドミニアムの乱開発がいつまでも続くはずがないと危惧していたわけだが、2018年に入ると完全にラグジュアリーブームが去り、残る健全な市場はCBD周辺のダウンタウン、シティフリンジやミッドタウンしかないと、筆者は感じていた。

そして、2017年に急増してきた中国人バイヤーの予算がちょうど300万バーツから500万バーツであったこともあり、ラーマ9やフワイクワン、ラチャダーといったダウンタウンのプロジェクトに火がついたわけである。

ただし、この中国人特需も2018年後半には減速し始め、2019年のタイ中央銀行の住宅ローン規制やタイバーツ高による輸出の減少、タイ経済全体の低迷もあって、いよいよバンコクの不動産市場全体が10年ぶりに失速したのである。

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