1ベッドルーム投資は可能な限りリスク軽減を

外資系不動産投資ファンドなどでは、オフィスビルやホテル等に投資する際、投資委員会の審査をパスしなければならないのだが、その重要な審査項目の一つがリスク認識とそのミティゲーション(軽減)方法だ。

つまり、投資である以上、リスクは必ずある。従って、事前に想定できる重要なリスク要因を可能な限り洗い出し、その回避手段や軽減方法について検討審査していく。

しかし、実際の投資運用では想定外のことも起こるので、どんなにリスク分析をしても全てカバーすることは不可能だ。その最たるものがマーケットリスクである。すなわち、不動産市場の動きは政治、経済、税制改正、為替や金利等に影響されるため、マーケットリスクを完全に回避するのは不可能なのだ。

当然、これは個人が不動産投資をする際にも当てはまる。しかし、そのマーケットリスクの中で可能な限り注意をしなければならないのが需給バランスである。実物資産である不動産は供給過剰によって引き起こされるダウンタイム(空室期間)が非常に怖い。

現在、日本人投資家の大半は1,500万円からせいぜい2,000万円の予算で35㎡ぐらいまでの1ベッドルームをバンコクで探しているのだが、このセグメントはタイ人アッパーミドルクラスの需要があるので供給量も多い。

一方、タイ人富裕層や香港、シンガポールからの外国人投資家は供給が少ないCBDのラグジュアリークラスを物色している人が多く、30㎡前後といった狭小物件も少ないので、空室リスクは比較的小さい。

そこで、JLLタイランドの最近のコメントでこんな記述がある。

 「Competitive edge depends on size, with small units facing more competition and larger ones benefiting from tight supply」

つまり、「結局は広さがものを言う。小さなユニットは競争がますます激化し、供給の少ない大きなユニットはその恩恵を享受しつつある」。そしてこう続く。「ここ数年のコンドミニアム大量供給で賃貸市場が変わりつつある。全体としての賃貸需要は今も減ってないが、需要以上に供給があったスタジオや1ベッドルームは空室リスクが高まっている。

一方、家賃が5万から7万5千バーツの2ベッドルームは今も需給がタイトで空室リスクは低い。さらに注目すべきは、この2ベッドルームのセグメントにおいては、狭い新築より広い中古物件の方に人気がある」。

現在でも、バンコクで建設中のコンドミニアムの実に7割がスタジオと1ベッドルームという調査結果が出ていることからも、この指摘には納得がいく。

また、子供のいる家族帯同の駐在員にとっては、同じ家賃なら手狭な新築よりも広い中古物件で余裕を持って暮らしたいということでもある。

しかし、そうはいっても人気のロケーションで家賃が5万バーツ以上も取れる広めの2ベッドルームとなると大抵の築浅物件は日本人投資家の予算を超えてしまうし、築年数がかなり経った中古物件は出口リスクが高い。

では、限られた予算の中で投資できてしかも空室リスクと「出口」リスクの両方をミティゲートできるのはどれか?

それが45平米から50平米、家賃水準が3万から4万バーツ、築3年程度の1ベッドルームもしくは2ベッドルームではないかと筆者は考える。

30平米台に比べて供給量も限定的で、単身赴任の駐在員は余裕を持って暮らせるし、夫婦2人連れの駐在員も住めることから、2つの入居者層をターゲットにできるので空室リスクも軽減する。しかも2,000万円程度で買える物件も少なくないからだ。

追加コメント:

その後、2018年から、目に見えて日本人エクスパットの数が減り始めた。この大半が現地採用の日本人ではなく、経費のかかる日本からの駐在員である。また、日本企業は経費節減のため、家族帯同の駐在員を減らし、単身赴任を増やしてきているので、家族を含めた日本人駐在員の減少はさらに大きい。

一方でトンローやプロンポンエリアといったスクムビット通り中心部では、ここ数年のCBDラグジュアリー物件ブームに乗って売り出されたプロジェクトがこれから次々と竣工してくる。そして、その多くが賃貸物件として市場に出てくるため、賃貸市場での供給過剰はさらに悪化する。

その結果、一流企業の日本人駐在員をターゲットにしたCBDでの投資物件購入はもうやめておくべきだと、筆者は考えるようになった。

それが、最近の著書やブログで書いている「脱日本人駐在員」であり、今は日本人だけでなく欧米人をも含めた現地雇用やデジタルノマドのエクスパット、タイ人アッパーミドルクラスといったもっと大きな市場での賃貸需要をターゲットに投資するほうがリスクが小さいと考えている。

ちなみに、最近の調査結果では、日本人駐在員の単身赴任者が増えた結果、サービスアパートでもこれまでの2ベッドルームから1ベッドルームに需要がシフトし、1ベッドルームが満室状態という需要の変化も起こっている。

従って、これからバンコクで投資するのであれば、CBDなどではなくシティフリンジやミッドタウンにある家賃水準が最大でも3万バーツ以下、できれば2万バーツまでの物件、そして広さが40㎡以上あって、しかも駅前の便利なロケーションにある築浅中古物件、というのが新しい投資クライテリアではないかと、筆者は考えている。

つまり、以前のように、トンロー等の一等地で家賃が5万バーツ以上も取れる高額物件を買ってしまうと、競争激化によるダウンタイムリスクが非常に高いのである。

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