ダークホースはBTS「幸福駅」

今から40年以上前、北海道広尾線の田舎駅「幸福駅」が大ブームになった。同線の愛国駅から幸福駅までの区間は電車に乗る人はいないのに切符だけは1,000万枚も売れ、「愛の国から幸福へ」という歌まで流行ったほどだ。それが今は廃線廃駅となり、覚えている人も少ない。

実はバンコクにも「幸福駅」がある。BTSスクムビット線のウドムスクだ。ウドムは「至上の」という意味で、スクは「幸福」 だから厳密には「至福駅」だが、簡単にいえば「幸福駅」でもある。

さて、このウドムスク、廃駅になってしまった日本の「幸福駅」と違ってこれから化けるダークホース的な駅の一つだ。

筆者はブログの中でウドムスクは住宅地としてはバンナーより有望だと何回か書いてきたし、著書でも有望投資エリアとしてバンナーでなくウドムスクを挙げている。

しかし、最近は調査機関や業界紙が隣のバンナーにばかり注目するので、ウドムスクの何か重大な欠点を見落としているのかも、と少し自信を失くしていた。それが今回やっと、タイ語版DDプロパティで私と同じことを指摘するスペシャルレポートを見つけた。

邦訳すると「ウドムスク、将来の可能性を秘めたロケーション」という題で始まるが、その理由と論点の多くが筆者の考えと同じで嬉しくなった。もっとも、よく分析すれば誰でも同じ結論に至るのではないかとも思うのだが…。

ではまず、その主たる理由についてまとめてみる。

1.昔ながらの食料品市場やレストランが充実していて、そこには人々の生活基盤がある。すなわち、生活に便利な環境やインフラが既に整っている。一方、同じグリーンライン延伸線の新駅では駅周辺に何もなく不便なところが多い。

2.BTSでCBDやダウンタウンに簡単に行ける。さらに、スクムビット通りだけでなく主要幹線道路のバンナートラッドへも車で容易に乗り入れできるが、隣のバンナー駅からでは右折となり、これが難しい。

3.徒歩圏内にモールグループによる東南アジア最大級のSC、ザ・バンコクモールがオープンする。(注:その後、タイの景気悪化から着工延期となっていたが、2019年1月に着工し、現在工事が進む。2023年オープン予定)

4.隣のバンナー駅は、見本市会場バイテック、これから開発されるグレードAオフィスビル群、スワナプーム空港に直結する鉄道(ライトレール)計画などがあり、将来副都心になることが確実視されている。つまり、ウドムスクはCBDと副都心に挟まれた職住接近の理想的ベッドタウンになる。

さて、この中で最も重要なのは優れた生活利便性だ。ベーリングを例に取れば分かるが、将来近代的な街ができるという謳い文句で、これまで駅から500メートルも離れたところで多くのコンドミニアムが販売されてきた。

しかし、BTSが開通してもう5年にもなる(注:現時点では8年)のに、駅前は今も寂しい限りだ。生活のためのインフラがない不便な新興住宅地に5年も10年も我慢して住みたいタイ人ミドルクラスはあまりいないし、少数の地主が駅前のほとんどの土地を持っていて用地取得も困難なのだ。その結果、開発も遅々として進まない。

一方、現在住宅を探すミドルクラスのタイ人の間で注目度ナンバー1の街はオンヌットだ。その理由は東京の深川(ふかがわ)や門前仲町みたいな街であるからだ。

すなわち、交通の要所に位置し、ミッドタウンフリンジという都心に極めて近い職住接近のロケーション、しかも物価も安く大きなスーパーもある。ここは長い歴史に培われた生活至便な庶民の街なのだ。

そして、同じような条件が整うことになるウドムスクは、将来オンヌット以上の人気が出る可能性もある。

追加コメント:

その後、デベロッパーのモールグループはザ・バンコクモールの工事開始を一時延期するという番狂わせがあったものの、2019年1月、いよいよ着工となった。

隣駅のプンナウイティで40ライの敷地に開発中のTRUEデジタルパークに対し、バンコクモールは100ライ(160,000㎡)という大きな敷地で開発されるミックスユース(複合開発)であり、しかも、バイテック(国際展示会場)のある隣駅のバンナーともスカイウォークで直接結ばれて一体化し、東南アジア最大級の商業施設を持つ次世代CBDになると期待されている。

さらに将来、バンナーにはエッカマイのバスターミナルが移転してくるし、スワナプーム空港への鉄道も計画されている。そしてここが事実上のEEC(東部経済回廊)へのバンコクからの出発点にもなることから、交通の要所としてのウドムスク/バンナーのポテンシャルは極めて高い。

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