注目のスクムビット・ソイ36

高級住宅地トンローといえばスクムビット・ソイ55(トンロー通り)がその代名詞だ。先日も仕事を終えて友人と一杯やろうとエイト・トンロー前を歩いていたが、あの周辺の夜の雰囲気は、青山通りや表参道が持つ華やかな喧騒と同じものを感じさせる。実際、トンロー住人の6割が日本人を中心とする外国人で、ここはバンコクにある日本人街といってもいい。

しかし、トンロー通りでコンドミニアム投資となると、新規プロジェクトは軒並み30万バーツ/㎡超えのスーパー・ラグジュアリー級だ。もう我々一般投資家には手が届かない。

そんな中、昨年(2015年)、大手仲介会社のシティスマートはこう予言した。「ソイ55ではもう土地が高くて手に入らなくなってしまった。デベロッパーは今後、スクムビット・ソイ36、38、49、51に開発の軸足を移す」。

そこで、BTSトンローの高架橋に立ってソイ36を見下ろしてもらいたい。今、道路の東側は更地だ。ここでこれから何が起ころうとしているのかは、見ただけではわからない。

こういう時の鉄則は、著書でも書いたように「デベロップメント・パイプラインを読め」だ。すると、シティスマートの予測通り、今、大きな開発の波がまさにソイ36に押し寄せている実態が浮かび上がる。

まずはデベロッパーのフラグラントが駅前に持つ3,400坪の広大な土地。詳細は未発表だが、ここに2フェーズに分けてスーパー・ラグジュアリー級の大型コンドが開発される(注:その後、フラグラントはこの土地の一部をシンハー・リアルエステートに転売し、シンハーは今、エッセ・トンローを建設中)。

その価格も奇数側のトンロー通りに対抗して30万バーツ/㎡以上と強気だ。中にショッピングモールを誘致するとの噂もある。

次に、道路に沿って先に進むと着工したばかりの高級コンド、アービティアがある。本年4月に売り出され、わずか数ヵ月で完売した。

正直、バンコクのコンドミニアム市場は今よくない。郊外では大量の販売在庫を抱えたデベロッパーが、禁じ手である販売価格の直接値引きを始めた。しかし、さすがここはトンロー、値引きなどしなくても売れ足は速い。

そして、そのさらに南側ではAPと三菱地所のハイライズコンド、リズムが完成間近だ。従って、今後ソイ36に沿って駅から400メートル以内で3つのラグジュアリー・コンドが建ち並ぶことになる。

さらにソイ36を南下する。歩道もないような開発の遅れた道が400メートル程続くが、駅から10分程歩いた辺りでVTARA36の工事現場に辿り着く。全5棟、466ユニットの大型プロジェクトで、日本人への賃貸を狙って大浴場施設を持つ。既に9割が販売済とここも完売は目前だ。

そして、4メートル道路を隔てたその南隣りには、タイの中堅デベロッパーが開発するプロジェクト、168スクムビット36がある。ここも入居者として日本人エクスパットをターゲットにしていて、日本で先行販売を始めた。

36㎡で1,400万円前後というエントリーレベルの投資家向け価格設定だ。10月にモデルルームが完成し、タイ国内および東南アジアでの販売が始まれば、ここも売れ足は速いだろう。

今、トンロー駅からソイ36と38を見渡しても、次の写真のように完成間近のリズムと既存のアシュトン(写真左奥に建つ2棟)、ノーブルリミックス(写真右手)しか見えない。

しかし、「スクムビット・ソイ36はこれから変貌する」と確信した投資家達の目には、このわずか1キロの短い通りに5つの完成プロジェクトが建ち並ぶ光景がもう見えているはずだ。(注:その後、さらに写真左と右奥の黄色いクレーンが見える2つのハイライズプロジェクトの開発が追加された)

ただし、どんなものにも表と裏があるように、ここに挙げたどのプロジェクトにも欠点や弱点がある。熟達した投資家達はそれを分析し、可能な限り投資前にリスク・ミティゲーションを行う。同様に、外国人である我々もしっかりしたデューディリジェンスが不可欠なのである。

追加コメント:

3年後の2019年11月、筆者が再度現地の同じ位置で撮った写真がこれである。その後、さらに2つのハイライズプロジェクト(写真左奥と右奥の黄色いクレーンが見えるプロジェクト)が新たに売り出され、トンロー駅南側が様変わりしつつあることがわかる。すなわち、スクムビット通りからラーマ4に抜けられるスクムビット36はバンコクでも屈指のタムレ・サカヤパープ(発展変貌する立地)であると筆者は考えている。

しかし、残念ながら2019年以降の市場低迷により、今はこの大量供給が逆効果となってしまっている。2021年の現時点ではコロナ不況の影響もあって、スクムビット36は値下りが目立つようになっていることから、あと数年我慢して待つしかないと考えている。

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