不動産投資の錬金術 マリエッジバリューを狙え

筆者が新規プロジェクトのプリセールで最初にチェックするのが、タイ語でラーカーラームトン(ราคาเริ่มต้น)と記載されている価格が一番安いユニットだ。日本だとXX百万円から、と書いてデベロッパーが割安感を煽る格安物件のことである。

普通は全体の平均価格であるラーカーチャリア(ราคาเฉลี่ย)をチェックすべきなのだが、こういう客寄せ物件には時々思わぬ掘り出し物が隠れていることがある。

例えば、筆者が買ったのが、間口が狭く奥行きの長いウナギの寝床型、しかも30平米以下の狭小ユニットだ。デベロッパーが売りやすくするために無理にサイズを小さくして価格を低く抑えた結果、こういういびつな間取りが出てくる。

筆者は著書やブログで30平米以下の狭小物件など買ってはいけない、と繰り返し書いているので矛盾しているように思えるかもしれないが、それは違う。プリセールは更地状態で始まるということを思い出して欲しい。

つまり、未着工段階なら間取り変更は簡単だ。従って、筆者はプリセールでこういう格安物件を見つけると、隣り合わせで2ユニット買うことをまず考える。

ここでちょっと話は変わるが、筆者は日系デベロッパーの駐在員としてロンドンで8年にわたり不動産開発をしていた。その頃、現地でよく使われていた業界用語にマリエッジバリューというのがある。隣り合う敷地や建物を買い集める、つまり結婚させることで1+1が2でなく3にも4にもなるという意味だ。

日本の例として、森ビルの六本木ヒルズがある。何十年もかけて地道に周辺の土地を買い集めていった結果、六本木をCBDに変えてしまったわけだから、大変なマリエッジバリューである。

そして、コンドミニアムでも同じことができる。次の写真の赤枠で囲っている部分が、筆者が最近、トンロー駅から徒歩10分ほどのところにあるプロジェクト、168スクムビット36の4階で、隣り合わせの2つのユニットを購入したものだ。

これをアマルガメート(合併)する前と後の図面で見較べて欲しい。

                  合併前

                   合併後

もともとこれは、27.5㎡の1ベッドルームであり、プリセール価格が340万バーツ(123,600バーツ/㎡)と同プロジェクト内でも平米単価が特別割安であったユニットであり、これを筆者が隣り合わせで2つ購入予約したものだ。

このプロジェクトで最も割安なだけあって、見ての通り、間口が狭く細長い。その結果、ベッドルームの奥がリビングになっていて、中は暗く使い勝手が悪いのがわかる。

そこでこの2つのユニットをつなげたのが下の図面だ。すると、ベッドルームもリビングもそれぞれ3メートル以上の開口部を持ち、しかも55㎡のほぼ正方形に近い機能的な間取りに変身した。

55㎡というと、通常、ラグジュアリー級コンドミニアムにしかないゆとりの1ベッドルームの広さであり、今の30㎡前後の1ベッドルーム供給過剰による空室リスクも回避できている。

すなわち、隣り合う1,100万円の魅力に乏しいが割安なユニットを2,200万円で2つ買ってつなげただけで、追加コストなしで魅力的な間取りの物件に変えてしまえるのがマリエッジバリューであり、簡単で効果的な不動産投資の錬金術でもある。

追加コメント:

実際、筆者はこのユニットを2019年の11月、香港のエージェントを使って825万バーツ(150,000バーツ/㎡)で外国人投資家に転売した。つまり、ゲンガムライに成功したわけである。

不動産市況が悪い中での売却であったが、それでもゲンガムライ(購入予約権転売)で100万バーツ強の利益が取れたことには満足しており、とにかくこれで当初3物件あった筆者の投資物件は、全部エグジットできたのである。

しかもこの時は、翌年の2020年に入るとコロナ禍で不動産マーケットが大波乱を迎えることになるとは夢にも思っていなかったのであるが、運よく早目に市場の異変を感じ取り「出口」を急いだことが功を奏した結果となった。

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