コロナ感染、一刻も速く緊急事態宣言を!

3月26日にタイでもいよいよ「非常事態宣言」が発令され、プラユット首相をトップとするCRES(非常事態対策本部)が特別法の下、コロナウイルスの感染拡大阻止に取り組み始めた。バンコク都民が地方に移動しコロナウイルスを拡散させることを防ぐべく、今は空路だけでなく、バスによる移動もできなくなっている。また、スーパーやコンビニを除き、人が集まる施設はほぼ全て閉鎖となっているが、それでも29日の感染者は143名とさらに増え続けている。

しかし、つい今月の初めまで、タイでは感染者が100人以下と比較的少なく、日本より安全な国と思われていたのである。それがここにきて一挙に感染者が増え、1,400人を超えてしまった。

そして、そのきっかけとなったのが、3月6日にバンコクのルンピニ・ムエタイスタジアムで開催されたタイ式ボクシング会場での集団感染であった。この時の感染者だけで130人近くに上り、これが一挙にバンコク都内に拡散し、連日感染者が急増することになったのである。

そこで、今になってわかってきて批判されているのが、実は同試合の2日前である3月4日、タイ観光スポーツ省ムエタイスポーツ委員会が、コロナ感染防止のために試合を延期するようにとの緊急書状を開催者に出していたにもかかわらず、開催者側はそれを無視して試合が行われたのである。

ではなぜ、当局が緊急書状で開催中止を要請したのに、このムエタイの試合を止められなかったのかというと、法的拘束力がなかったからである。この書状では、表題が「ขอความร่วมมือ」となっている。すなわち、これはただの協力依頼、協力要請であり、最終的には開催者側に決定権があるように読める。

その結果、試合は開催され、スタジアムに集まった2,500人の観衆のどよめきの中、コロナウイルスが集団感染していったのである。そして今になって、当局の要請にも関わらずこのムエタイ試合開催を決定した責任者は誰かと悪者探しが始まっているのだが、残念ながら今さら遅いというしかない。

なお、新聞記事によると、同書状が出たのが試合開催のわずか2日前であり、ドタキャンすれば損害賠償で訴えられるリスクがあったこと、ボクサーや会場で働く人たちの収入のことも考えてやらなければならなかったこと等、開催者側にもいくつかの切迫した事情があったようで、強制力のない要請であればやろうと開催に踏み切ったようだ。

ところで、これは先日、埼玉スーパーアリーナで開催されたK1イベントと状況がほとんど同じである。試合開催に対して埼玉県が再三にわたりイベントの自粛を要請していたにも関わらず、開催者側はそれを無視してイベントを開いたわけで、今、集団感染が危惧されている。

日本はどこか自由ボケしていて、なんでも反対したり要請に従わなかったりするのが当然の権利と思っている人が多いのかもしれないが、しかしその結果、間接的に全く関係のない人達に感染させ、その生命を奪ったりすることになるリスクのことを考えると、コロナに関しては、ここで会場に来たファンがいっているような「自己責任」の問題などではなく、法律による強権行使が必要だろうと思う。

タイの総理大臣同様、日本の総理大臣にも疫病対策として「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」の発令が認められている。そして、今回のタイの事例を教訓に、時期既に遅しとなる前に法的拘束力や強制力を行使して、一刻も速く感染爆発を阻止するべき時だと思うのである。

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