インラック前首相からプラユット現首相へのメッセージ

タイで連日のように行われている、学生たちを中心としたプラユット政権の退陣と憲法改正を求めるデモは、日本でもマスコミで報道されている。当然、バンコクに住む筆者も興味深く注視しているところであるが、政権交代や憲法改正の問題はタイ国民自身の問題であり、一外国人である筆者がああだこうだというべき筋合いのものではないので、あくまで傍観者として見ているだけである。

そんな中、タイ最高裁が下した5年間の禁固刑から逃れるために海外に住むインラック前首相が、昨夜、そのFB(フェイスブック)上で今の反政府デモに関してコメントを載せたところ、そのメッセージに対して瞬く間に40万人以上もの支持が集まったのである。

インラック氏はその中で、6年前にクーデターを起こした軍部の中枢にいた当時の陸軍大将、つまり現在のプラユット首相にいわれた言葉を披露したのであるが、筆者が思うに、これはインラック前首相に対する支持層というよりも、このメッセージの内容自体が現在デモに参加している学生たちの賛同を得ているのではないかと思うのである。

そこでまず、そのインラック元首相がFBに載せたメッセージを筆者が訳してみると以下のようになる。

ไม่ทราบว่าทุกท่านยังจำได้ไหม เมื่อหกปีที่แล้วประชาชนกลุ่มหนึ่งรวมกันเรียกตัวเองว่า กลุ่มกปปส.เรียกร้องให้ดิฉันลาออกซึ่งคุณประยุทธ์ จันทร์โอชา ผบ.ทบ. ในขณะนั้น ก็อยู่ในเหตุการณ์นั้นด้วยยังถามว่าดิฉันจะสามารถประคองรัฐบาลต่อไปได้ไหม

ซึ่งในที่สุดดิฉันก็ตัดสินใจที่จะประกาศยุบสภาเพื่อเปิดทางให้มีการเลือกตั้งใหม่ และประชาชนก็จะได้ตัดสินอนาคตของประเทศด้วยตัวเองตามระบอบประชาธิปไตย

วันนี้เหตุการณ์เดียวกันเกิดขึ้นกับคุณประยุทธ์ ข้อเรียกร้องของนักเรียน นิสิต นักศึกษาและพี่น้องประชาชนเรือนแสนที่ต้องการอยากเห็นประเทศเกิดการเปลี่ยนแปลงโดยให้คุณประยุทธ์​ลาออก​และแก้รัฐธรรมนูญ ซึ่งดิฉันได้ติดตามดูสถานการณ์ของประเทศไทยด้วยความเป็นห่วงทำให้ดิฉันนึกถึงตอนที่ท่านเคยถามดิฉันเมื่อ​หกปีที่แล้ว​ว่า​ดิฉันไหว​ไหมและหวังว่าวันนี้ท่านจำได้แล้วเลือกที่จะตัดสินใจโดยเร็วเพื่อบ้านเมืองจะได้สงบและเดินต่อไปได้ค่ะ

「皆さんはまだ覚えているでしょうか? 6年前、PDRC(People’s Democratic Reform Committee)と呼ばれるグループが私に退陣を求めてきました。そして、プラユット現首相も当時このグループの主要メンバーであり、彼は私ではこれ以上政府を維持できないのではないかと聞いてきました。

その結果、私は最終的に議会を解散し、民主主義に基づき新たな選挙でタイ国の将来を国民の意思に委ねることを決心しました。

それが今、プラユット首相も当時の私と同じ状況にあります。 つまり、学生たちや民衆が首相に辞任と憲法改正を求めてこの国を変えなければいけないと立ち上がっているわけですが、私はこの状況を心配しながら見守っているところです。

そして私は、かつて6年前にプラユット首相が私に対し、あなたでこの(反政府運動の)事態を収めることができるのかと聞いてきた時のことを思い出しました。プラユット首相が今もそのことを覚えていて、今度は彼が母国のタイが平和と成長を取り戻せるように速やかな決断を下すことを期待しています」

簡単にいえば、インラック前首相はプラユット首相に退陣を促しているわけであるが、昨夜、インラック氏がこのコメントをFBで書くと、数時間後には46万人がいいねを押し、18万人がシェアし、2万件ものコメントが寄せられた。そしてその支持者数は今も増え続けているのである。

学生のデモ隊と警察の衝突が起こったすぐ後ということで、まさにタイミングが良かったということもあるとは思うが、ただし、インラック氏も自分が首相だったころの問題点は棚に上げて、いいところだけ美化しているのでちょっと調子のいいコメントにも思える。

当時のことは筆者も覚えているが、2013年後半に実兄であるタクシン元首相をタイ国内に合法的に呼び戻そうとしたインラック首相に対し、それを不服とするス・テープ氏をリーダーとする反政府運動が起こったわけで、当初は多くのバンコクの一般市民もこれに賛同してデモに参加していたのである。

しかし、その後、この反政府運動が独走して過激になった結果、一般市民は次第についていけなくなり、経済活動にも影響を与えるようになって収拾がつかなくなってしまったのである。そこでとうとう軍がクーデターを起こして、政府とデモ隊の間に割って入ったわけである。

クーデターが起こった当時、バンコク都民の多くが、これでインラック政権も倒れたしやっと元の平和な生活に戻れると喜んでいたのを筆者も覚えている。実際、当時のことを筆者は著書の中でも書いているのだが、クーデターで政治が安定したことを確認した香港やシンガポールの個人投資家が、2014年の終わりごろから一斉にタイの不動産投資を再開した結果、文字通り不動産市場のリバウンドが始まったのである。従って、この時点でのクーデターによる反政府デモの鎮圧はタイ経済にとってもよかったのだろうと思っている。

しかし、あれから6年が経った。その間、タイ経済は不景気が続き、かつてのテフロン経済と呼ばれたころのような好景気が戻ってくることはなかった。また、タイ政府はコロナの感染者がほとんどいなくなった現在も、かたくなに非常事態宣言を継続し続け、今、タイのGDPはアジア通貨危機以上ともいわれるほど落込んで、極めて難しい局面を迎えている。

そんな中で起こった政府に不満を持つ学生たちによる反政府デモであるが、2014年の過激な反政府デモとは違い、法律で認められている範囲のデモである。これに対し、政府は警察を使って強引にデモの切り崩しを図ったことから、学生だけでなく世論の反感をも買うことになったのである。

その結果、現政府はマスコミにも辛辣に叩かれることになり、インラック前首相がそのメッセージの中でプラユット首相にいっているように、「今度はあなたが、タイが平和と成長を取り戻せるように速やかな決断を下すべき時がきている」というメッセージが、多くの人達の賛同を得ているのだろうと思う。

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