映画館でロイヤルアンセムが始まっても無視する若者たち

タイで初めて映画を見たときの感動

私はこのブログでもこれまでに何回か、自分は映画が大好きなので少なくとも週に1回は映画館に見に行っていると書きました。

実は私がタイで初めて映画館で映画を見たのは、2009年の5月でした。当時はまだ欧州系投資銀行の国際不動産ファンドで働いていたのですが、その頃から日本でも人気が出てきたタイ不動産に興味を持ち、それなら試しに自分も1つ、まずは1,000万円ぐらいでコンドミニアムを買ってみようとタイにやってきたのです。

その時は、まさか自分自身が2011年からそこに住むことになるとは思ってもみなかったのですが、著書でも書いた当時築3年のグランドパークビューというコンドミニアムの1ベッドルームを買ったのです。そして、ゴールデンウイークの休みで来ていたのでバンコクに1週間ほど滞在していたことから、たまたま時間のあった週末に、プロンポンのエンポリアムにある映画館に初めて映画を見に行ったのです。

何の映画だったかはもう覚えていませんが、鮮明に覚えているのは、映画が始まる前にプミポン国王の動画が始まり、ロイアルアンセム(国王を称える歌)の間、ほぼ満席だった観客が全員席から立ち上がって聴いていたのです。

正直、私はこれにはショックを受けたというか、タイ国民はこんなに国王を尊敬しているのかと感動してしまいました。

最近はほとんどの人がロイアルアンセムを無視

それが、プミポン国王が崩御されて今の国王になって1年ほどたった頃には、新国王の動画が始まっても半分ほどの人しか起立しなくなっていました。そして最近は、どこの映画館に行ってもせいぜい1割程度の人が立ち上がるだけで、時には誰も起立しない時もあるのです。

中には王室の歌が終わるまでわざわざ外に出ている人もいます。こういう人は、座ったままで国王を無視するのも気が引けるし、かといって自分だけ館内で立ち上がるのも恥ずかしいので、それなら外に出て歌が終わるのを待っていようという人たちです。

そして、こういう状況を見かねたプラユット首相は、映画館の中で起立するのを恥ずかしがらないで、ちゃんと国王に敬意を払うべきと説教をしたわけです。

王制に触れることに敏感な今の軍事政権

そして先日、あるタイ人女性がこれに対し、そこまで政府が映画館で起立して欲しいのなら、お金をくれたらやるよ、と半分冗談でこんなメッセージををFBで上げたところ、なんと2万人がいいねし、26,000人がシェアした一方で、早速警察が彼女のところにやってきて、お前は本当にお金を取ったのかと問い詰められたそうです。

確かに、このジョークはちょっと度が過ぎているように見えますが、だからといって警察が飛んでくるのも、これもまた度が過ぎているようにも思えます。

最近はタイ国内の若者たちによる王制改革を要求するデモ、また不敬罪に対する国連の批判に対し、昔から自分たちはタイ国の軍隊ではなく国王の軍隊であると自認する軍隊です。そこから出てきた今の軍事政権にとっては、これらの要求を決して受け入れられないという立場から、この問題はこれからも泥沼状態で引きずっていくような気がします。

外国人が口をはさむべきではないタイ国民の問題

結局、これは我々外国人が偉そうにああだこうだということではないし、何が正しいのか答えはありません。私はロンドンで8年間過ごしたのですが、友人のイギリス人たちとパブに行き、エリザベス女王やチャールズ皇太子とダイアナ妃等の王室のゴシップがしょっちゅう話題になりました。

英国においては、ブラックジョークが大好きな国民性ということもあって、王室や女王に対するかなり辛辣なゴシップネタを肴にお酒をよく飲むのですが、これは裏を返せば、かつてブリティッシュエンパイアーを築いた英国王家に対する彼らの誇りと親近感の現れでもあります。

だから、私もそうかそうかと一緒になって笑っていましたが、決して自分から王室を侮辱するようなことはいいませんでした。外国人である私がそんなことをいえば、彼らにとっては面白くないことは当たり前だからです。

このことは我々も同じで、今回の眞子さまの結婚騒動でも、日本人ならああだこうだといいたいことをいってもいいと思います。

しかし、これを外国人に侮辱するようなことをいわれたら、なんだこの野郎、と腹が立つのと同じで、王室とか皇室とかの問題は同じ国民以外、口を出すべきではないと思っています。

コメント

  1. 午後6時に流れるのは国家だと思います。
    若者たちもさすがに国家の時は立ち止まっているようです。
    しかし、そのうちこれも次第に廃れていって、古き良き時代はこうだったということになるのかもしれません。

  2. むかしタイに住んでいました より:

    「ロイヤルアンセムを無視する若者たち」を読み、感慨深いです。
    その昔は、夕方6時にラジオでタイ国歌(ロイヤルアンセム?)が流れると、運転手が道端に車を停めて傾聴していました。当方も、タイで商売をさせていただいているのですから、それを倣いました。

    四半世紀も経つと変わるものですね。当時から皇太子(現国王)のことを、声をひそめて言う人がいたのですが・・。
    タイの王室制度にはいろいろ議論がある様ですね。軍政の問題ともども穏やかに収斂していくことを願っています。

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