結局、外国人観光客は来なかった (特別観光ビザ)

今朝のバンコクポストで上の写真の記事が出ています。

昨年10月、タイ観光スポーツ省があれほどすったもんだしてやっとなんとか実現にこぎつけたSTV(特別観光ビザ)制度ですが、いざ開けてみると、これを利用してタイにやってきた観光客は月平均でわずか346人と、当初の政府最低目標であった1,200人/月をも相当下回っています。

「タイはコロナの危険がない安全なリゾート」であり、寒い冬を避けてやって来るヨーロッパの長期滞在観光客需要があると政府が見込んで始めたのですが、2019年の外国人観光客4,000万人、つまり月300万人以上に比べれば、これはほとんどゼロに近い数字であり、この写真記事の通り、まさに「誰も来なかった」に等しいものです。

また、隔離検疫をゴルフ場で過ごせるようにすれば多くのゴルフ目的の観光客が来るという、韓国大使館からの見当違いの助言に基づき、政府が最近始めた新スキームに対しても、「監獄にいるような隔離検疫の中、ゴルフをやって面白い?」で書いたように、私は最初からこんなのうまくいかないだろうと思っているのですが、そのうち数字が出てくると思います。

そうはいっても、別にタイ政府の無策をこき下ろしているわけではなく、以下のような状況の中、彼らも限られた手段しかなく苦悩しているのはわかるし、結局のところ、世界中でワクチンが行きわたり、感染拡大が一段落するまで、タイに外国人観光客は戻って来ないのではないかと思うようになりました。

The lack of interest is adding pressure on policy makers, who have struggled to accommodate both industry players calling for relaxed quarantine rules and public-health experts warning against putting people in danger. All the while, as the beaches stay empty, many tourism-related companies are going out of business. To make matters worse, virus cases have jumped in the country.

STVの失敗が政府にさらなるプレッシャーをかけている。つまり、厳格な隔離検疫のルールを緩めるように要求する観光産業と、これを緩めたら国民の健康に重大な影響を及ぼすリスクがあると反対する医師たちのはざまで動きが取れなくなっているのである。しかし、現実問題としてどこのビーチにも人影がなく、多くの観光産業が倒産しつつある中、さらに悪いことに、先月、新たな感染爆発が起こったのである。

ところで、これまでお金を落としてくれる外国人観光客の入国を厳しく制限、というよりもほとんど禁止に近いほど締めた結果、タイの観光産業がボロボロになった一方で、一部のふとどきな警察官などの汚職でミャンマーから密入国してきた不法労働者によって感染爆発が起こったわけです。

どうせこんなことになるなら、もう少し規制を緩くして大量のお金を落としてくれる外国人観光客を最初から受け入れていた方が、少なくとも観光産業にとって大きな助けになるのでよかったのかもと思ったりするのですが、今さら遅いですよね。

モルディブ

ところで、以前「隔離検疫なしで外国人を受入れ始めた国」で2回にわたり、モルディブが隔離検疫なしで外国人観光客を受入れたところ、コロナの感染者が急増したので入国時のPCRテストは始めたが、それでも隔離検疫だけは避けたという話を書きましたが、これには後日談があります。

実はモルディブではそれからしばらくして感染拡大も一段落し、昨年12月の繁忙期のホテル稼働率は70%にまで回復したそうです。一方、隔離検疫のあるプーケットのホテル場合、同じ12月の繁忙期の宿泊費を75%も値下げしたのに、稼働率はわずか10%という惨憺たる結果だったということです。つまり、15日間もの隔離検疫がある以上、どうやっても外国人観光客は戻ってこないということだと思うのです。

結局のところ、経済を優先するべきか、国民の健康を優先するべきかで観光産業界とCCSA(COVID-19問題解決センター)の間で意見の対立が起こっているわけですが、特にチュラロンゴン大学医学部の教授などはよくテレビや新聞で、ビジネスは後からでも回復するが人は死んだらお終いだと、いかにも正論らしきことをいうのですが、ビジネスのことなど知らないからこんなことをいっていられるのだと思います。

しかしそうはいっても、この記事によればタイ国民の大半が国を閉ざしても感染を食い止めるべきという世論に傾いているようなので、そういうことであればこれも仕方がないかとも思います。

となると、後はじっとワクチンが世界中に行きわたり、感染リスクがほぼなくなるまで待つしかないことになりますが、このバンコクポストの記事によれば、タイ中央銀行は2021年の外国人観光客は550万人、2022年でも2,300万人と予測しており、2019年のレベルに戻るのは2023年か2024年という感じなので、タイ経済全体にとってもまだまだトンネルは長いようです。

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