キャンセル続出で完成在庫は今年も積み上がる

これは昨年10月の記事ですが、当時はコロナの蔓延が終息するまでもう不動産市場の回復は見込めないというものでした。

その後、やっと世界でいくつかワクチンが開発され、タイも今月から接種が開始されます。これらが世界に行きわたれば世界経済も回復し始め、タイにも外国人観光客が戻ってくると予想されるのですが、最近のニュースでは、タイ観光スポーツ省はワクチンパスポートなるものを作ってもらい、ワクチン接種を受けた外国人は隔離検疫なしで4月以降入国できるようにするということを検討しているそうです。

もっとも、私は個人的にはこれは多分、実現しないだろうと思っていますが…。というのも、これまでタイ観光スポーツ省はいろんな計画を発表してきたのですが、ことごとくCCSA(Covid-19状況管理センター)に却下され、私の知る限りこれまでに承認されたものは、SPV(特別観光ビザ)とゴルフ隔離検疫の2つぐらいしかありません。

同じタイ政府といっても、コロナに関しては内部にヒエラルキーのようなものがあるようで、CCSAのように絶対的に力のあるところと観光スポーツ省のようにあまり発言力のないところがあります。特にSPVは期待も大きかったのですが、「結局、外国人観光客は来なかった (特別観光ビザ)」でも書いたように、残念ながら不発に終わったようです。

2017国別シェア

さて、2017年から2019年にかけて売り出されたタイのコンドミニアムを、あれだけ多くの中国人バイヤーが爆買いしていたのですが、REIC(Real Estate Information Centre)によると、それらが竣工引渡しを迎え始めた昨年前半には、なんとその半分がダウンペイメント流しの解約に動いたのではないかということです。

The Chinese are reluctant to complete transfersThe virus has continued to affect hospitality operators, including hotels and condominiums that service tourists, nationwide. Since China has suspended tours, put restrictions on movement, and locked down cities, home to over millions of people, it also poses a threat to real estate developers as their clients are unable or unwilling to fly.

購入物件の引渡しに消極的な中国人バイヤー達
タイ国内のホテルやコンドミニアムといった観光客受入施設に対するコロナの影響が今も続いている。そして、中国政府による海外旅行の禁止やロックダウン等で中国人観光客がタイに来なくなってから、中国人投資家もタイに来なくなり、これがコンドミニアムデベロッパーにとっても危機となっている。

Currently multiple off-plan condominium developments are approaching completion, and Chinese clients are unable or unwilling to transfer. Vichai Viratkapan, acting director-general of the Real Estate Information Centre says that 50% of Chinese condo transfers are expected to disappear.

現在、いくつものコンドプロジェクトが竣工を迎えつつある中、中国人投資家は引渡しを受けられない、もしくは引渡しを受けようとしなくなっている。そして、REICによれば、中国人投資家の内、約5割が契約をキャンセルしたとのではないかと見ている。


実際、私の3人の日本人クライアントもそうなのですが、昨年、コロナがいつ終息するのか不透明な中、これ以上のリスクは取りたくないということで、20%から25%のダウンペイメントを捨てて解約しました。物件によって違いますが、いずれも金額にして500万円から1,000万円の手付流しであり、決して小さい額ではありません。

もともとこれらの物件は私が推薦して買ってもらったわけではないのですが、購入予約権を売却していくらかでも回収してくれないかという依頼があり、以前、内装工事やコンサルティング等で取引のあったクライアントでもあったことから、一応引き受けたものの、結局、私も力及ばず転売には失敗しました。
当時、いろいろやってみたのですが、買い手不在の中、売り一色でほとんど反響がなく、結局期限切れでデベロッパーにより契約解除されてしまい、3人ともダウンペイメントを全部失ってしまったのですが、今も同じ、いやもっと厳しい状況が続いています。

それに、REICがここでいっている中国人投資家の半分がキャンセルというのは昨年前半の話であり、今はあれからさらにマーケットが下落していることから、今年竣工する物件のほとんどは、いまさら引渡しを受けても相当な含み損を抱えることになります。

従って、中国人だけでなく外国人購入者の7割から8割が解約すると思っています。また、タイ人購入者でも自己居住でなければ、さっさとダウンを放棄して解約するのだろうと思います。

そうなると、2018年、2019年にプリセールで年間5万~6万ユニットと大量に売り出されたプロジェクトが竣工引渡しを迎える今年も、解約による完成在庫がさらに積み上がることになるはずです。その結果、資金繰りに窮したデベロッパーの投売りや、最悪の場合、破綻するところも出てくる可能性が大いにあると思っています。

このプリセールというのは、株の信用買いに似ているところがあるので、価格が上昇局面ではレバレジが効いていいのですが、一旦下落が始まると価格が下がったから解約して引渡しを受けない、その結果、完成在庫が溢れ、市場価格がさらに下がる、するともっと多くの購入者が解約してくるというまさにVicious Circle(悪循環)が始まるので、長期にわたりなかなか収束しなくなるのですが、それだけタイの不動産は「入口」と「出口」のタイミングが重要だということです。

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