ワクチン不足が続く中、日本がタイでもワクチン外交を開始

6月7日から始まった全国的規模のワクチン集団接種でしたが、結局、「いよいよ大規模接種開始なのに、アストラゼネカがない?」でタイの地方医師会が警告していた通り、瞬く間にワクチンがなくなってしまい、ほとんどの接種予約が延期されてしまいました。

ちなみに、昨日私が今度こそはドライブで行ってみたいと書いたサンクラブリーでは、アストラゼネカがわずか1ボトル、10接種分だけ配給されたという笑い話みたいな記事が載っていました。いくら田舎町だからといって、少なくとも数千人は住んでいるのだろうから1ボトルだけわざわざ運ぶことに疑問を感じます。

こんなことなら、地方医師会がいっていたように、十分なワクチンがないのであれば、地方に無理して配給するのはやめて、感染の中心であるバンコクを優先していくべきだったのかもしれません。バンコクで感染した人が地方に移動して感染を拡大させるリスクを考えると、これはごもっともな意見です。

また、今回のワクチン不足を巡ってタイ保健省とバンコク都の間で喧嘩になったり、最終的な責任を追及されたプラユット首相が今の任期中(2023年3月まで)は辞任しないと発言したりと、話が他のところに波及していき、事態は混沌としてきました。

もっとも、現時点でタイ政府はすべては当初計画通りともいっており、上の表のように、サイアムバイオサイエンス社からは6月中には546万接種分のワクチンが届くということです。本当かなと思いますが、もしそうであれば、ほぼ契約通りが6月中に納品されるわけですから、タイ国内では少しばかり待っていればいいだけの話だろうと思いますが…。

しかし、BBCニュース・タイによれば、実態は同じくタイのサイアムバイオサイエンス社からこのワクチンを購入することになっている他のアジアの国であるフィリピンや台湾、マレーシアは既に納期の遅れと供給量の減少が伝えられているということで、やはり同社の製造過程で問題が出ているのではないかと書いてあります。

ところで、アストラゼネカワクチンの生産遅延の問題は、そもそもサイアムバイオサイエンスだけでなく、ヨーロッパや委託生産するインドの工場でも起こっていて、納期遅延によりアストラゼネカ社はEUから告訴されてもいます。それだけこのワクチンは製造のプロセスが複雑で歩留まりが悪いのかもしれません。

そんな中、台湾に124万接種分のアストラゼネカを無償供与した日本政府が、次は7月にベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシア、そしてタイにもアストラゼネカを無償供与すると発表しましたが、QC能力の高い日本の製薬会社は生産工程でも特にトラブルは出ていないのかもしれません。

なお、この件は昨日、タイのオンラインニュース、プラチャーチャート・トゥーラギットでも上のような記事として紹介されましたが、ちなみに、この5か国の内、タイ以外の4か国は南シナ海の領有権を巡って中国と対立している国々であり、一方で、タイについては5,000を超える日系企業が進出していることから、日本にとって経済的に非常に重要だからというのが選ばれた理由かもしれません。

何しろ日本は、この当面は必要のないアストラゼネカを1億2,000万接種分も国内で生産することになっているのですから、世界各国が欲しがるこのワクチンを使った日本のワクチン外交が、これまでの政治的な中国のワクチン外交を駆逐できることになれば最高です。 

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