中国ワクチンしか選択肢がなかったプラユット首相(その1)

つい先日、西側諸国が開発した3つのワクチンに世界の需要が集中する中、タイ政府が急遽200万接種以上のワクチンを追加購入することに決めたということを書きました。

そして最後に、私個人の考えとして「大きなお世話かもしれませんが、中国製ワクチンでなければいいと思うのですが…」と書いたのですが、残念ながら、やはり今の状況下ですぐ入手できるのは中国製ワクチンしかなかったようです。

その後、プラユット首相は、ほぼ全国民が接種できるようにさらに3,500万接種分のワクチンを追加購入すると発表したのですが、以下がバンコクポストに載ったその時のコメントです。

The government is seeking to buy another 35 million Covid-19 vaccine doses, taking its total order to 63 million, Prime Minister Prayut Chan-o-cha said on Monday.

プラユット首相:「タイ政府は3,500万接種分のワクチンを追加購入するべく交渉中で、これにより合計6,300万接種分を入手する」

Gen Prayut did not say where the extra doses would come from but stressed the government needed to be sure they were safe, had no side effects and were in line with standards set by the country’s Food and Drug Administration (FDA).

プラユット首相はそれがどこのメーカーのワクチンになるのか明言しなかった。しかし、首相はタイ政府がそのワクチンが安全で副作用もなく、FDA(タイの食品医薬品局)の安全基準を満たすものしか購入しないことを強調した。

バンコクポスト

上の図によれば、この3,500万接種分については、現時点ではアストラゼネカと追加購入の交渉中のようですが、世界中がワクチン争奪戦を繰り広げる中、なかなか簡単には手に入らないと思うので、もしこれがダメなら他のワクチン、つまり、また中国製ワクチンを検討するしかなくなるのだろうと思います。

中国製ワクチン4

ところで、タイ政府が今回購入するといっている200万接種分はこの写真のシノバック社製ワクチンです。現時点ではシノファーム社製のワクチンにだけ中国政府の認可が下りている状況で、シノバックはまだ第3フェーズの治験中でそのデータが開示されておらず、中国政府の認可もまだ出ていません。

もっとも、このシノファーム社のワクチンも、アメリカに住む中国人6万人に接種した結果、1人も副作用がなく、また1人もコロナに感染しなかったと宣伝しているらしいのですが、実際は重篤な副作用が出たケースも多くあったという噂が出ていて、世界に詳細な治験データが開示されてない中、中国政府だけが一方的に認可したワクチンです。

一方、ニュース紙フォーチュンによれば、シノバック社の方は、現在ブラジルで大規模な第3フェーズの治験中なのですが、その治験結果を開示するといいながら、以下のように、これまで2回延期してきました。

Sinovac has now delayed releasing results from its Phase III trials in Brazil twice: first on Dec. 15, and then on Dec. 23. Authorities in Brazil have said the delays are due to Sinovac wanting to consolidate data from multiple trials; they now expect to release Sinovac’s data to the public by Jan. 7.

シノバックはこれまでブラジルでの第3フェーズ治験データの公表を2回延期してきた。最初は12月15日、次は12月23日といっておきながら結局2回とも延期となったのである。これに関し、ブラジルの関係機関によると、シノバックは広範囲な治験結果をまとめて公表したいから延期してきたといっているということで、最終的には1月7日にデータを公表するとのことである。

いずれにせよ、西側諸国は何のデータも出さないシノバックのワクチンに対しても疑いの目をもって見ているので、その開示されたデータには厳しいピアーレビューのチェックが入ると思います。

ただ、シノバック社からデータは開示されなくても、現地ブラジルの医者等からフィードバックがブラジル政府にも上がってきているはずで、本当にこの治験がうまくいっているのであれば、以前このブログでも書いたように、ブラジルの大統領が「中国からは(ワクチンを)買わない」と明言している点が矛盾します。

また、シノバックのワクチンを購入するといっているタイも、プラユット首相が「そのワクチンが安全で副作用もなく、FDA(タイの食品医薬品局)の安全基準を満たすものしか購入しない」と念を押していることからも、中国製ワクチンをまだ信用しているわけでなく、フォーチュンの以下の記事にあるように第3フェーズの治験結果のデータの公表を待っている状況のようです。

Sinovac’s formal approval in Indonesia and Thailand—as well as in places like the Philippines, Hong Kong, and Turkey—will likely depend on Sinovac’s highly anticipated data release from Brazil.

シノバックのワクチンに対するインドネシアとタイ、そしてフィリピン、香港、トルコの正式な認可は、ブラジルでの治験結果のデータ次第である

ただし、今のうちに購入予約しておかなければ、これもまた間に合わなくなる可能性があるので、とりあえず購入予約したが、最終判断はデータが開示された後のレビュー次第という条件付きなのだろうと思います。

次回に続く

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