タイランド太平記/バンコク コンドミニアム物語

タイでの生活とバンコクの不動産投資に関する情報発信

「タイランド太平記」
タイに興味がある、タイが好き、将来タイに住みたいという人のために、タイでの生活について、ジャンルを問わず思ったままのことを書いていきます。光があれば影があるように、タイには魅力的なところも多いですが、悪いところもたくさんあります。そして、やはり日本の方がいい、他の外国の方が住みやすそうだ、と思う人もいて当然であり、その参考になればと思います。

「バンコク コンドミニアム物語」
バンコクの不動産投資について、今起こっていること、これから起こること、そして投資のリスクや実践方法等、筆者自身も自己資金を使って投資しながら、その試行錯誤の中で得た経験を基に投資家目線で情報発信していきます。

経済

EEC(東部経済回廊)は壊滅状態

EEC1
これは今朝のグルンテープトゥーラギット(バンコクビジネス)に載った記事ですが、一時はタイの新しい産業地帯として成長が期待された東部経済回廊が、コロナの影響で大打撃を受け、計画通りに進んでないというものです。

もともと、最初に花火を打ち上げただけで、政府はその後あまり積極的に推進しておらず、遅々として進まないEEC開発に対して不満の声も出ていたのですが、ここにきて今更遅いという声も出てきているので取り上げてみることにしました。

รายงานข่าวจากสำนักงานคณะกรรมการนโยบายเขตพัฒนาพิเศษภาคตะวันออก (สกพอ.) ระบุว่า สกพอ.ร่วมกับหน่วยงานที่เกี่ยวข้องประเมินเศรษฐกิจอีอีซีในปี 2563 โดยประเมินว่าจีดีพีประเทศจะติดลบ 7.5% ในขณะที่จีดีพีของอีอีซีจะติดลบ 8.7% 
หากดูรายละเอียดรายจังหวัดพบว่า จีพีพีของฉะเชิงเทราติดลบ 3.6% ระยองติดลบ 7.3% ชลบุรีติดลบ 12.1% ซึ่งเศรษฐกิจชลบุรีพึ่งการท่องเที่ยวสูงจึงได้กระทบมาก

EEC開発政策委員会のレポートによると、2020年度はタイ全体のGDPがマイナス7.5%との予測に対し、EECのそれはマイナス8.7%と予測。
その内訳は、観光産業に依存するチョンブリのGDPがマイナス12.1%と最悪で、チャチェンサウがマイナス3.6%、ラヨーンがマイナス7.3%とのこと。

しかしながら、このEEC開発政策委員会の予想では下の図のように、来年はタイのGDPはマイナス6.3%となるものの、EECのそれは5.1%のプラスに転じて回復が始まるとの予測を出していて、特にパタヤのあるチョンブリのGDPは8.6%のリバウンドを見込んでいます。

EEC2
私はこれを見て、どこからこんな能天気な予測が出せるのかと疑問に思ったのですが、以前のように外国人観光客が戻り始めるのは、ワクチンが世界中に行きわたってからだと思うし、前回「タイは中国人観光客の人気ナンバー1から陥落」で書いたように、パタヤなどに中国人観光客が大量に戻ってくるまでにはまだかなりの時間がかかりそうです。

ところで、この予想に対して楽観的過ぎると異論を唱えているのが、不動産経済研究所のAREAです。彼らのコメントが以下ですが、問題はもう一時的なものでなくタイバーツ高やこれまでの政府の経済無策でタイ経済が疲弊していく中、ベトナムとインドネシアに産業をどんどん取られてしまった結果、もうEECは今更対抗できなくなってしまっているというものです。

อีอีซี เจ๊งแหง ๆ
1.ตัวเลขปี 2562-3 ของ สกพอ.เชื่อถือได้ แต่การคาดการณ์ปี 2564 คงเชื่อถือไม่ได้เพราะไม่มีแหล่งอ้างอิงใดๆ เท่าที่ควร
2.การที่คาดการณ์ว่าอีอีซีจะฟื้นตัวในปี 2564 ดีกว่าภาพรวมของประเทศไทย เป็นไปได้ยากมาก เพราะขณะนี้ยังแทบไม่มีนักท่องเที่ยวเข้ามา  กว่าจะเข้ามาก็คงเป็นปี 2565 ซึ่งทำให้การเติบโตของอีอีซีช้าลงไปอีก
3.อุตสาหกรรมต่างๆ ของไทยในอีอีซีถูกเวียดนามและอินโดนีเซียแย่งไปเปน็น็น็นอย่างมาก ทำให้โอกาสที่ไทยจะฟื้นตัวมียากมาก

ถ้าเศรษฐกิจไทยและอีอีซีจะเติบโตได้จริง ป่านนี้ ดร.สมคิดและคณะคงยังอยู่ในตำแหน่ง  แต่เพราะทำงานไม่สำเร็จจึงต้องจากลาไปนั่นเอง

EECの破滅

1.2020年までの彼らの数字には納得できるが、2021年の予想数字については何ら納得できるデータがなく信用できない。

2.2021年はタイ全体よりもEECの方が経済回復が大きいという予測には賛成できない。なぜなら、EECこそ外国人観光客への依存度が高いのに、今のところ、観光客が来年戻ってくるという予測には根拠がなく、経済が回復するとは思えない。

3.既にここ数年で広範な産業がベトナムとインドネシアに持っていかれた。今となってはEECがこれらの産業を奪い返せる可能性は小さい。


こんなこともあって、今後我々もEECにあまり過大な期待をするのはやめた方がいいのかもしれません。ただし、観光地であるパタヤなどは、自動車や電子機器等の輸出産業とは違って固有の競争力があるので、いずれ外国人観光客が戻ってくるし、不動産を含め市場も回復するのは間違いないとも思います。

もっとも、来年はおそらく無理でしょうが...。



来年のタイ経済はもっと悪くなる

世界感染者数
第3波による世界でのコロナ感染者数の推移がこのグラフです。これは累積数ではなく1日に発生した感染者数なので、第1波から何倍にも増えているのがわかります。そして、11月13日時点で世界の感染者は5,800万人、死者も130万人となり、今も状況は悪化の一途です。

コロナの感染が最初に騒がれ始めた3月や4月のころに比べると、ここ数日は1日の感染者が60万人以上ととんでもない数字になっています。この後の第4波が来る前に何とかワクチンが完成すればいいですが、もし間に合わなければ、次は1日の感染者が100万人を超すような事態になるのかもしれません。

世界感染者数タイ2
ところで、今の第3波感染拡大のピークは来年1月というタイの医学者もいます。シリラート病院医学部長は、これから寒い冬になって人々が室内にこもるようになり、世界中でもっと感染者が増えるとのことです。

さらに、タイ医学界は政府が外国人観光客の入国規制を緩和したり、隔離検疫を14日から10日間に減らすことにも反対しているそうで、この教授は今のようにタイ人による国内旅行だけでなんとか観光業界もやっていけるのではないかという見当違いのコメントもしています。

もっとも、こういうところは、医者はビジネスに疎いので
医学的な見方だけに偏ってしまい、そんなことがいえるのだろうとは思いますが...。

いずれにせよ、この隔離検疫期間短縮案については、先日、政府が見送りを決定しましたが、このようにタイの医学界が反対していることも大きな理由の一つだろうと思います。

しかし、たとえワクチンができてもすぐには世界中に行きわたらないだろうことを考えると、外国人観光客が隔離検疫なしで再びタイに自由にやって来られるようになるのは、再来年以降になるのではないかと私は思っています。

そんな状況下、経済紙の
プラチャーチャート・トゥーラギットがその社説で、来年、状況はもっと悪化するという記事を載せていました。

การจ้างงานของภาคการท่องเที่ยวมีสัดส่วนสูงถึง 20% ของการจ้างงานทั้งหมด เทียบกับอุตสาหกรรมการส่งออกมีสัดส่วนการจ้างงานไม่ถึง 4% ทำให้ภาคการท่องเที่ยวเป็นปัจจัยสำคัญอย่างยิ่งต่อการฟื้นตัวของเศรษฐกิจไทย

タイ就労人口全体の20%もの人が観光産業に属している。一方、輸出産業の就労人口はわずか4%以下であることからも、タイ経済の回復にとって観光産業の復興は不可欠である。

ผู้บริหารเชนโรงแรมระดับประเทศ ยอมรับว่า บิสซิเนสแพลนเดิมที่ทำไว้ ซึ่งคาดว่าตลาดท่องเที่ยวจะฟื้นตัวกลับมาราวกลางปีหน้าเป็นต้นไป ต้องรื้อทิ้งทั้งหมด และมองจุดเริ่มต้นว่าอาจต้องข้ามไปถึงปี 2565 

タイ国内のホテルチェーン経営者たちは、来年半ばには旅行者市場も回復し始めるという予想に基づいてビジネスプランを作成していたが、これを一旦白紙に戻し、市場は2022年まで回復しないというプランに変更しつつある。

その結果、この社説では表題である、ปีหน้า หนักยิ่งกว่า(来年、タイ経済はもっと悪くなる)という結論に行き着いたわけですが、やはり観光大国であるタイは、観光旅行業界の復活がなければタイ経済全体の回復はないということであり、一方で反政府デモも年を超えて長引く気配なので、このコラムの通り、来年のタイ経済はもっと悪くなりそうです。

従って、バンコクの不動産市場も当然さらに悪化していくので、個人投資家にとっても急ぐな、焦るな、コンドの底値状態は来年も続く!」で書いたように、じっくりと待つべきときです。



タイ航空、飛行機放出でスリム化

Aircraft Sale
会社更生手続きの開始が決まったタイ航空ですが、今回、更生計画の中で保有する飛行機を売却処分することになり、この通り自社のウエブサイトで売りに出しました。

中古車のセールならわかりますが、大型旅客機のセールなどという珍しい販売広告など見たことがありません。もっとも、以前から
タイ航空の飛行機は古くて不人気機種が多いといわれていて、コロナの影響でどこの航空会社も飛行機を飛ばすことができず経営危機に喘ぐ中、この売却はなかなか難しいとは思いますが...。

ところで、実はタイ航空が倒産の危機に陥った際に、その状況を調べて「誰がタイ航空をこんなにした?(その2)」で書いたことがあります。

特に、A340-500とA340-600については、当時のタクシン政権がわざわざこの不人気機種をたくさん購入したために、汚職
があったのではないかという疑惑もあり、実際にこれらの機体が今も航空会社の収益を圧迫しているということでした。

以下はその時に海外のアナリストたちがタイ航空について語っていた話で、航空機に関するコメントの抜粋ですが、
私なんかはこのコメントを読んで、タイ航空は機体が古いだけでなく、従業員の整備の技術も劣ると知って以来、タイ航空に乗るのはもうやめようと思ったほどです。

・タイ航空が2005年に購入したエアバスA340-500,A340-600が燃費の悪い航空機であり、かつタイ国内の政治的な騒動(黄シャツ事件)もあって、それまで40年間、黒字を維持してきたタイ航空は2008年に初めて210億バーツの赤字となった。

・(タイ航空の)技術的な遅れ。12機種もの航空機を持っている反面、それをちゃんと整備する技術がない。また、A380のような新型機種を導入しても、整備する技術力がないので、A320やA340といった古い機種をいつまでも使っている。これでは、より安全な機種が選ばれる今の顧客ニーズを満たせない。例えば、シンガポール航空の平均機体年齢が7年7カ月に対し、タイ航空のそれは10年である。世界のエアラインとの厳しい競争を勝ち残るには、技術力の向上、新型機の導入が必要である。

そこで、今回売却処分されようとしているリストを見ると、その燃費が悪く不人気のエアバスA340-500とA340-600が合計9機も売り出されています。それとJALが2011年、ANAが2014年に全機退役させた昔のジャンボ、ボーイングB747-400が10機も出ています。

やはり、タイ航空はこんな時代遅れの飛行機をちゃんと整備もせずに最近まで飛ばしていたとすれば、今まで墜落しなかったからいいようなものの、本当はLCCの方が安全なのかもしれません。


いずれにせよ、時期が時期だけに二束三文でしか売れないのではないかとは思いますが、どうせ会社再建を図るのなら、10年以上も経った古い機体はすべて処分して、最新型機を整備できる技術力も身につけてもらい、観光大国タイのナショナルフラッグキャリアとして甦ってもらいたいものです。



「特別観光ビザ」発行で観光産業のメルトダウンを阻止

特別観光ビザ
先日、「2021年、タイ観光産業のメルトダウン(溶解消失)が始まる!」で書いたように、タイの観光産業は、今まさに危機的状況に陥っているのですが、監督官庁である観光スポーツ省に属し、観光産業全体をとりまとめているタイ観光局(TAT : Tourism Authority of Thailand)が観光ビザに関する新たな提案を出し、来週、閣議で協議されます。

TATは、タイ政府の中で、苦境に苦しむホテルや観光施設などの実態をもっとも正確に把握している機関だと思われるのですが、政府が来月から施行しようとしている2週間の検疫期間がある「プーケットモデル」だけでは外国人観光客を呼び込むのは難しいという考えで、特別観光ビザ(STV : Special Tourist VISA)の発行を提案しています。

これを受けたタイ観光
スポーツ省も、「このまま第4四半期も外国人観光客が増えなければ、400万人が従事するタイの観光産業で、250万人もの失業者が出てしまう」というTATの進言に従い、観光産業にとって起死回生の突破口ともいえる「14日間の検疫期間なしの特別ビザ」の発行を、来週、プラユット首相以下、閣議で協議することになりました。

現地紙、カーウソット(最新ニュース)によれば、この特別ビザは、コロナ感染リスクの低い国同士での合意に基づくGtoG(Government to Government)の相互協定で、当初90日間のビザが発行され、これを2,000バーツで観光客が取得可能とのことです。さらにその後も90日間の延長が2回可能であり、合計270日まで長期滞在可能とのこと。(注:多分、270日滞在の場合、延長ごとに2,000バーツと合計6,000バーツということになると思いますが、それでも大したことはありません)

特別観光ビザ2
TATによれば、こういった対策がうまくいけば、2019年の4,000万人の外国人観光客に対し、来年はベストケースで2,050万人の外国人観光客が呼び戻せると考えているようですが、確かにこれが閣議決定されれば、以前書いたような「観光産業メルトダウン」の危機を回避できるのかもしれません。

ホテル稼働率
また、ホテルの平均稼働率を30%まで上昇させることができれば、少なくともホテル業界は大量の解雇を回避しながら、なんとか最悪期を乗り切ることができるそうですが、現時点ではタイ人観光客に人気のあるフアヒンを除いて、バンコクもプーケットも30%に達していません。

“We cannot avoid new cases, but the most important thing is to have risk management in place. If there are five cases among 5 million tourists, and we can contain those infections with stringent measures, that would be a good balance between public health and business survival”
(TATコメント:コロナの新規感染を完全に防ぐのは無理だ。しかし、重要なのはリスク管理であり、500万人の外国人観光客が来てくれて、そのうち5人が感染者であったとしても、この感染はコントロール可能である。つまり、国民の健康とビジネスサバイバルを両立させるバランスが重要なのである)

このことは、以前書いたタイ中央銀行の考えとも同じですが、ここでTATのいっていることは世界の趨勢に沿っている正論だと思います。実際、タイと同じような観光立国であるカリブ海諸国などは、既に国民の感染リスクを取ってでも観光産業のサバイバルをかけて、外国人観光客に門戸を開放したということです。

タイ政府は、非常事態宣言を解除せずにいつまでも外国人をシャットアウトし続けていたら、やがて取り返しのつかない犠牲を国民が被ることになると認識し、すぐにはなかなか難しいと思いますが、何とか早くこの
14日間の検疫期間なしの特別観光ビザが承認されることを期待するのみです。



今回のウィクリートはアジア通貨危機を超えた?

コロナ危機1
ウィクリート・ムアンタイ(タイの危機)はまだまだ続く」に続いて、これも経済危機に関する話題ですが、バンコクでは大手のビューティクリニックが破綻したり、道路わきの屋台までが営業を止めたりと相変わらず状況は悪化しています。

私の住むオンヌットのコンドのすぐ隣、スクムビット79をちょっと入ったところに、いくつものイサーン料理やピザの屋台が中央広場のテーブル席を取り巻くフードコート形式のビアガーデンがあり、地元に住む人たちの隠れ家的なところなので、以前は私もよく通っていたのですが、
ここも閉鎖されたままです。

オンヌットはここ数年、日本人や欧米人の住人が急増していて、このビアガーデンも客の半分近くが地元住人の外国人客で混み合っていたのに、今も閉まったままなのですから、やはり、状況はよくないのだろうと思います。

このあたりに住む欧米人の多くが現地採用の英語教師というのもあると思うのですが、彼らは月収6~7万バーツ程度で15,000~18,000バーツの1ベッドルームを借りて住むのが一般的です。

私のコンドでも1ベッドルームに住む一人住まいの欧米人が多いのですが、以前書いたように、かつて私が通っていたバンコク最大規模のタイ語学校が閉校してしまったのと同じく、英語学校も狭い教室に多くの生徒が集まって大きな声で話すわけですから、今の時期は生徒の数が減って経営環境は決して良くないと思います。

そんなわけで、この辺も失業や減収となった外国人の消費支出が減ってしまった結果、ビアガーデンの経営者も再開を見送っているのかもしれません。

コロナ危機3
さて、今回のコロナ経済危機では、特に製造業部門でアジア通貨危機以上のダメージを受けているとのことで、今年上半期の半年で4,458もの工場が稼働を止めたり閉鎖された結果、340万人が失業したそうです。

さらに、今後失業者はもっと増加し800万人以上にも上るという予測も出ていて、今年だけでなく、来年も経済回復の見通しは立っておらず、まさに泥沼状態です。

人口が6,900万人といわれるタイは農民が多く、これに老人と子供を除いた就業者数はせいぜい3,500~4,000万人ぐらいではないかと思うのですが、そこで800万人もの失業者が出た場合、これはもうとんでもない失業率です。

コロナ危機2
そんな中、政府のBOI(Board of Investment)も、タイの企業就業者全体の78%をも占めるSME(Small and Medium Size Enterprise)、いわゆる中小企業の破綻や廃業を何とか食い止めようとしているのですが、そもそも彼らの仕事は、外国からの投資を呼び込んでタイの企業活動を推進することです。

しかし、一方で
政府は外国人投資家の入国を今も禁止しているのですから、これには無理があります。そんなわけで、これからもますます経済悪化と失業者の増加が続きそうで、本当にアジア通貨危機を超える大不況がやってきつつあるのかもしれません。

従って、全く出口の見えない今のような状況下では、無謀な投資や新規ビジネスのスタートは様子見として、次のチャンスを待った方がよさそうです。

なお、著書では詳しくその経緯を書いていますが、私も2018年10月、不動産市場の悪化を察知して、当時、投資として持っていた4物件の売却に入り、運よく昨年末までにすべて「出口」を終えることができました。

もちろん、その時点でコロナ不況が起こるなど想像もしていませんでしたが、運よく今はキャッシュポジションを高めているので、次の投資チャンスを狙っているところです。

しかし、こんな先の見えない状況下での投資は底値買いとはいえず、ただの無謀でリスクが高いだけの投機でしかないと考えるようになり、次の不動産投資は早くても来年まで見送ろうと思っています。

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ウィクリート・ムアンタイ(タイの危機)はまだまだ続く

経済危機1
先日、私がタイに来てから合計で3年以上にわたり、足しげく通って勉強していたタイ語学校が破綻しました。

その学校はUTL (Unity Thai Language School)といって、生徒数300人以上を誇る、バンコクでも最大級のタイ語学校で、規模が大きいだけに、上級クラスでは毎日の新聞を実際に読んでいくコースや、タイの政治や社会問題を勉強するコースなど、そのカリキュラムは普通の語学学校の域を超えた充実度でした。

ここでタイ語を学んだ日本人も多いと思いますが、私の場合、新聞のクラスは毎日題材が変わることから、20日間、60時間のコースを十回以上も取って勉強したものです。その結果、今はタイ語の新聞も何とか読めるようになったし、特に不動産記事については、ほぼ抵抗なく読めるようになれました。

また、もう1つのブログ「バンコク コンドミニアム物語」でも、このタイ語のおかげで、タイ字新聞であるターンセータギットやグルンテープ・トゥーラギットといった現地の経済紙の情報をよく取り上げています。

ちなみに、最初の著書である「バンコク不動産投資(基礎編)」でも「タイ語って簡単?」という章で、この学校のことやタイ語について書きましたが、それだけに、この学校の破綻には感慨深いものがあります。

経済危機2
さて、先日、プラユット首相が経済回復、特にSME(中小企業)の支援に注力するべく、経済閣僚だけでなく各界のビジネスリーダー等を含めて対策を協議したと書きましたが、現地で見ていると、UTLのような教師を含め従業員が30名ほどの中小ビジネスにとっては、コロナ不況から抜け出す光もまだ見えてないところが多いようです。

タイ人には企業で働くよりも自分で事業をやりたがる傾向があり、どうしても中小が多くなります。これが今、多くの生活困窮者を出す一因にもなっているのですが、例えば、女性の間で人気ナンバー1がヘアサロンの開業です。

この業界はロックダウン解除で1か月以上前に営業再開が認められたにもかかわらず、私の知っているタイ人女性が勤める従業員5人ほどのサロンなどではほとんど客足が戻ってきておらず、とうとう今月いっぱいで店を閉めることになったそうです。

「ラーンタットポム(髪を切る店)」と呼ばれる散髪屋は、美容室と違い男性、女性の需要がコンスタントにあるのでそうでもないようですが、タイのヘアサロンは欧米のようなユニセックスではなく、女性専門です。しかもタイ語で「ラーンサームスアイ(美しさを増す店)」と呼ばれるように、ファッションとしてヘアスタイルを気にする女性が主たる客層であり、ビューティクリニックを含めこういう美容業界全体で、不景気によって顧客の収入が減った結果、客足が遠のいているそうです。

それなりの規模で体力のある企業に勤めるサラリーマンが多い日本社会と違い、個人経営の事業が多いタイでは、こういうところにも経済基盤のもろさがすぐに出てしまいます。

ところで、このコラムのキャプションで使っているタイ語の「ウィクリート」とは、「危機、クライシス」の意味ですが、最近はよく新聞等で見かける言葉なので、覚えておいた方がいいです。

そして今、まさに中小規模のビジネスの多くがこの
ウィクリートのさなかにいるわけです。

私も先ごろまでは、年末には外国人観光客や投資家もタイに戻り始め、来年には不動産市場もやっと底を打ちそうだというのが個人的なガッツフィーリングでした。しかし、タイ政府が今後も今の鎖国状態を続けるということになれば、外国人投資家が戻ってこない不動産業界もまた、暗くて長いトンネルから抜け出せなくなりそうです。

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タイのGDP収縮は世界でワースト3(その2)

GDP4
ところで、今週の10日、プラユット首相は経済回復策について経済閣僚たちと協議するようで、政府関係機関も、次第に経済回復に重点を置き始めてはいます。

しかし、経済紙ターンセータギットによれば、今月末に発表される4月~6月の第2四半期GDPは、まさにロックダウンのさなかにあったことから、二桁台の落込みになると予想しています。

その上、これまで行われてきた農家や失業者に対する給付金が7月末で終わることから、8月以降は個人消費が減少し、
7月~9月の第3四半期の経済はもっと悪化するということも指摘していて、当面、景気が上向く兆しがありません。

GDP3
さらに、UNCTADは、観光依存度の大きいタイのような国はワイプアウト(破綻)する可能性があると指摘しています。観光大国でもあるタイの場合、観光収入が世界でもトップクラス、アジアでは中国や日本を抑えてトップの座を維持してきた実績を持つだけに、その落込みがGDPに与える悪影響も大きいのです。

また、彼らによれば、海外旅行の場合、100万ドルの観光収入減は、関連産業への影響も含めると、実質的に200万から300万ドルの国内収入減につながるということです。

GDP6
一方、これに対し、タイ政府も今回の経済対策で旅行産業と個人消費の刺激策として220億バーツを注入する計画のようです。

しかし、そもそも論として、海外からの観光客を早急に受け入れられるようにしなければ、いくら資金援助をしてもあまり効果はないかもしれません。

UNCTAD estimates show that in the worst-affected countries, such as Thailand, Jamaica and Croatia, employment for unskilled workers could drop at double-digit rates even in the most moderate scenario. Meanwhile, in terms of wages for skilled workers, the steepest drops were seen in Thailand (12 per cent), Jamaica (11 per cent) and Croatia (9 per cent) in the most optimistic scenario.
「観光産業に依存するタイでは、
コロナの影響を最も大きく受けた結果、非熟練労働者の雇用が少なくとも二桁台で減少する。一方、熟練労働者の収入も、もっとも楽観的なシナリオでも12%も減ってしまうと予想される」

すなわち、UNCTADによれば、実はタイが今回のコロナの影響により、世界で最も労働者の収入が減ってしまった国だというわけです。

タイに住んでいても、我々日本人にはあまりピンとこないかもしれませんが、GDP収縮で世界ワースト3となってしまったタイです。周りのミドルからロワーミドルクラスのタイ人たちは、本当は収入減にあえいでいるのかもしれません。

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タイのGDP収縮は世界でワースト3(その1)

GDP1
UNCTAD(国連貿易開発会議)の最近の調査によると、コロナの影響でGDPが著しく落ち込むと予想される世界のワースト15か国がこの表です。

ここからわかるのは、タイ経済はGDPの縮小比率だけでなく、金額ベースでの規模収縮でもワースト3に入っていることです。

特に金額ベースでみると、GDPで世界2位、そしてコロナが発生した当事国である中国の半分近い収縮となっていて、国の経済規模でみれば中国以上の大きな経済的影響を被っていることがわかります。

それに対し、なんだかんだいっても日本はマイナスの比率でワースト15位に入ってないし、世界3位の巨大なGDPを持つにもかかわらず、
金額ベースでの落ち込みは307億ドルと中国の3分の1、タイの3分の2以下であり、前回コロナ制圧を自画自賛するタイ政府は韓国と同じ?」で書いたように、ディープ・ナレッジ・グループDeep Knowledge Group)の評価では、コロナをコントロールできている国、世界のトップ5に入るだけのことはあります。

このことから、コロナに対するタイ政府の徹底した非常事態宣言下のロックダウン等が、タイ経済にどれだけ激しい影響を与えたかもわかると思います。

今更ですが、お酒の販売の禁止、夜の外出禁止、デパートやレストラン等の人が集まる場所の閉鎖、そして、いつまでたっても解除されない非常事態宣言等で、国民の消費支出や工場生産が極端に減ってしまいました。ひょっとすると、ちょっと厳格にやり過ぎたのかもしれません。

また、前回、今のタイ政府はコロナ感染を防いだことを自画自賛するものの、その後の経済のレジリエンス、つまり、感染を抑えて国民の安全と健康を維持しながら経済も回復させる国家の舵取りという点では、コロナをうまくコントロールできてないとみられていると書きました。

だから、ディープ・ナレッジ・グループ評価によれば、世界100か国の中で、タイは47位と平均的な国家になってしまっているわけです。

さらに、つい2日前、BOT(タイ中央銀行)が、タイのGDPはこれまでで最悪の8.1%のマイナス成長になりそうだとの報告を出したところですが、このUNCTADの予想では、もっと悪くてマイナス9%です。

コロナ制圧7
一方、先月のIMFの予測がマイナス6.7%でしたが、時間が経過するにつれてますます悲観的になりつつあるのがわかります。

前回、タイがフィリピンやベトナム、インドネシアといったアセアンの他の国々にGDPで追い抜かれてしまうのではないかと、タイの知識層は危惧していると書きましたが、タイGDPの大幅収縮、言い換えれば経済成長の後戻りで世界のワースト3に入っているこの表を見ると、本当にそうなるのかもという気もしてきます。

次回に続く

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やがてタイ経済の没落が始まる(その3)

タイの没落5
บริษัทญี่ปุ่นย้ายฐานจากไทย สัญญาณฉิบหายของชาติ

(日本企業が生産基地をタイから移すということは、タイ経済没落の始まりのシグナルでもある)

1.タイにとって日本がいればこれからも経済成長が可能である。しかし今、日本企業はタイから去ろうとしている。これはこの先、タイが経済でベトナムやインドネシアにも追いつかれ、やがて追い越されていくことになるかもしれない悪い前兆なのである。

2.特に、日本の自動車産業が生産基地をタイから海外に移転した場合、これまでそこにパーツや資材を提供していた周辺産業も崩壊することになり、タイ経済全体にとって大きな影響が出る。

3.そして、日本企業がタイから去ってしまった場合、タイでも韓国や台湾、中国で育ったような自国ブランドの国際企業が育つだろうか?

4.それができなければ、タイは過去に
韓国や台湾、マレーシア、シンガポールに経済で追い越されたように、やがてフィリピン、インドネシア、ベトナムにも追い抜かれてしまうという恐ろしいことが起こるのである。

5.
6 ปีมานี้ของบิ๊กตู่ที่ประเทศญี่ปุ่น เกาหลีพาเหรดกันไปประเทศอื่นถือเป็นความสูญเสียของไทยจริงๆ ビッグトゥ(プラユット首相)が政権を握ってからの6年間で、
日本や韓国の多くの企業がタイ以外のほかの国に工場進出していったが、これはタイにとって非常に大きな損失なのである。

以上が彼らのコメントの概要ですが、確かに韓国のサムスンやLG、中国のフアウェイや台湾のエイスース等、こういった国では多くの国際企業が自国で育ち、経済成長のベースになっています。

しかし、タイの国民はあまり起業家精神やビジネスに対する野心がないのかもしれません。日本企業が去ったあと、タイに自力でハイテクの工業分野で国際企業を育てる風土があるかといえば、それは難しいということを彼らも知っているのだろうと思います。

ところで、かつてキャノンが中国で工場を持っていたころ、中国人にすぐに最新のハイテク技術を盗まれてしまうので、当時の御手洗社長の英断で、工場をたたんで中国から撤退したということがありました。

一方、タイ人はそういう裏切り行為をせずに働いてくれるので、日本企業にとっても信用できるパートナーだと聞いたことがあります。

いずれにせよ、タイにとって日本企業の存在はこれからも重要であり、よきパートナー同士でもあるのですが、今後もタイバーツ高が進むとなると、残念ながら日本企業の海外移転の流れは止まらないのではないかとも思うのです。

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やがてタイ経済の没落が始まる(その2)

タイの没落4
さて、これがAREAの過去30日間で最も多く読まれたコラムのランキングですが、日本企業がタイから出ていくことのタイ経済への影響について書いたこのコラムが1位となっています。

基本的にAREAは専門的なことを書く研究所であり、私も著書や自分の不動産ブログでよく彼らの調査結果やレポートを引用するのですが、タイ人の間では経済やビジネスに十分なベースがある知識人が主な読者です。また、新聞にもよくそのレポートが取り上げられます。

そういうことを考慮すると、このコラムが5月27日にアップされたにも関わらず、今も1位の座を占めているということは、多くのタイの知識人やビジネスマンが、この記事に注目しているということでもあります。

ところで、実は彼らのコラムは2部構成になっていて、5月27日と6月16日の2回に分かれています。そこで、この2つをまとめた形でその概要を、以下に訳してみます。

เศรษฐกิจไทยถึงเวลาจมดิ่งแล้ว(没落の時が来たタイ経済)

1.1985年9月22日のプラザ合意により、日本企業は海外へ生産拠点をシフトし始めた。そのターゲットとなったのがアセアンであり、中でも特にその恩恵を受けたのが、当時、政治的に安定していたタイである。

タイの没落2
2.その結果、タイは高度の経済成長を遂げられた。日本からの巨額の投資でタイの工業生産は急拡大し、3年後の仏歴2521年(1988年)には、タイのGDPにおける工業生産が、それまで1位であった農業生産を超えたのである。このことは言い換えれば、日本がいたからタイは工業国としてここまで成長できたのである。

3.しかし、それから30年経った今、その日本企業がタイから去ろうとしている。パナソニックはベトナムに去ったし、シャープはインドネシアに移った。

4.そして、タイがアジアのデトロイトと呼ばれるようになったのは、日本の自動車産業がいたからである。トヨタ、ホンダ、ニッサン、マツダ、イスズといった日系企業がタイに工場を置き、2018年には216万台もの車が生産され、その約半分が輸出されている。

5.この巨大産業が今、徐々にタイから去ろうとしている。その理由はタイの人件費が高いからではない。タイバーツが高すぎるからである。そしてこれは、タイ中央銀行とタイ軍事政権の愚策の結果である。このままでは、タイもかつてのアルゼンチンやブラジルと同じ轍を踏むことになってしまうのである。

次回に続く

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やがてタイ経済の没落が始まる(その1)

タイの没落1
先日、不動産市場の大手リサーチ会社であるAREAが、没落の危機にあるタイ経済とそれに伴う不動産市場の行方についてセミナーを行いました。

不動産市場のことについては、私の別のブログ「バンコク コンドミニアム物語」で扱うことにしているので、ここではタイの経済的な地位がこれから没落していくという彼らの危機感について紹介してみます。

実は昨年12月にも、止まらないタイバーツの独歩高に対して上のような新聞記事が出ていました。この調子でバーツ高が続けば、アジアのデトロイトとまで呼ばれているタイから日系自動車メーカーが次々と生産基地をほかのアセアン諸国に移してしまい、やがて近い将来、タイ経済は没落するのではないかと危惧されていたわけです。

しかしその後、世界経済の不透明感が広がったことから、新興国から米国へのドルの還流が始まり、バーツ高にストップがかかりました。

さらに、その後のコロナの影響によるロックダウンでバーツ安となり、自動車産業も工場閉鎖に追い込まれて工場移転どころではなくなってしまい、しばらくこの問題は忘れ去られていました。

タイバーツ2
ところがここにきて、つい先日も「コロナを制して再び独歩高を始めたタイバーツ(その2)」で書いたように、4月以降、またもや急激なタイバーツの独歩高が始まっています。

タイの没落3
それに合わせて、先月末、AREAが日本企業の工場シフトとそれに伴うタイ経済の没落危機について、改めてこの問題を指摘したものです。

そして、最後にこう結んでいます。

 6 ปีมานี้ของบิ๊กตู่ที่ประเทศญี่ปุ่น เกาหลีพาเหรดกันไปประเทศอื่นถือเป็นความสูญเสียของไทยจริงๆ
ビッグトゥ(プラユット首相)が政権を握ってからの6年間で、日本や韓国の多くの企業がタイ以外のほかの国に工場進出していった。そして、これはタイにとって非常に大きな損失なのである。

ちょっと意味深であり、この責任は現政権の政治的、経済的な愚策にある、といっているようにも取れるのですが...。

いずれにせよ、この内容は非常に興味深いもので、今のアッパーミドルクラス以上のタイ人知識層が、日本企業の動向に対してどう考えているか、ということを理解するのにも参考になると思います。

次回に続く

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タイ航空の再建はまだ道半ば(その2)

タイ航空破綻2
さて、前回から3日ほど経ち、その間にも進展があったので、それも含めて書いています。なお、タイ航空の問題についてあまり知らない人は「誰がタイ航空をこんなにした?」で2回にわたり解説しているので読んでみてください。

まず、これが現在のタイ航空の財務内容です。コロナウイルスのロックダウンによるこの数か月の空港閉鎖で、ほとんどの便が欠航になったことで収入が途絶えました。その上、労働組合が強いこともあって従業員を解雇できないため、この半期だけで181億バーツ(約600億円)もの赤字となる予定です。

その結果、資本の部がマイナスに転落し、とうとう債務超過状態となります。すなわち、のれん代や含み益といった目に見えない資産価値を除いたバランスシート上の企業価値はゼロということです。

これを会社更生法で再建しようというわけですが、不動産会社やホテルなどはビルや土地の含みがあるので、会社再建の足掛かりにもなりますが、国営航空会社が不動産投資をしているとは思えません。

先日、破産したレナウンなどは業歴も長いので、もしかすれば、不動産も保有していて担保余力があるかもしれませんが、タイ航空は飛行機も全部リースで、大きな資産価値のあるものはほとんどありません。

これで会社再建といっても、前回書いたように和議や民事再生と違って
更生の場合は、会社再建の計画に債権者の合意が必要です。

さらに、昨日、偶然
パキスタン航空の旧型航空機、エアバスA320がカラチ市の住宅街に墜落しましたが、誰がタイ航空をこんなにした?(その2)」で海外のアナリストが指摘しているように、タイ航空もいまだに同じA320やA340という、安全性でA380のような新型機に及ばない旧型機を使っています。

従って、早急に新型機種への更新が必要ですが、そのためにはさらに大きな資金が必要になると同時に、それを整備できるだけの技術の習得も必要という課題もあります。


今のところ、海外の債権者は破産裁判所による会社更生に賛同しているということなので、とりあえずは前に進みそうですが、こういった課題が多いだけに、実際の再建計画が出た時点で反対するところが出てくる可能性は大いにあると思っています。

いずれにせよ、政府が持つタイ航空の発行済株式のうち、3.17%が既に第三者のファンドに譲渡され、タイ航空は民間企業へと移行し、会社再建に向けて動き始めました。

タイ航空
次に、2万人ほどいる従業員の3割を解雇することになりそうですが、同時に、硬直した人事制度の見直しをすることも必須です。

これについては、労働組合も当初は民営化には反対していましたが、結局、会社が倒産してしまえば、元も子もなくなるので、民営化と従業員の解雇や労働組合解散に同意しつつあるようです。

今の時点ではこんな状況ですが、タイ航空はすでに78億バーツもの資金ショートを起こしているわけですから、一刻も速く再建プランを策定し、裁判所と債権者に承認してもらう必要があります。

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タイ航空の再建はまだ道半ば(その1)

タイ航空破綻1
昨日、内閣は
ศาลล้มละลาย(破産裁判所)に対してタイ航空の再建を申請するという結論に至りました。

これは日本の「会社更生」法
に近いものだと思いますが、裁判所に任命された管財人がタイ航空の再建を行うというものです。

ただし、申請したからといって裁判所が単純に引き受けるものではなく、
タイ航空の会社再建計画や負債状況などの詳細をチェックした後、再生をする価値があると認めてもらえなければなりません。

もし、タイ航空が粉飾決算や不正な会計処理を行っていることなどがわかれば受理されず、そのまま倒産という場合もあります。

それに、海外の債権者も多いのでアメリカのチャプターイレブン申請も考えているようですが、これまでタイ航空は国営だから潰れないと信用してきた海外の債権者にしてみれば、裏切られたような気もするかもしれません。従って、簡単に再建計画に同意するかどうかもわかりません。

このように、会社の再建に乗り出すには、上の図にあるように、再建計画を裁判所と債権者に承認してもらわなければならず、タイ航空にとってはこれから2つ難関が控えているわけです。

ところで、私もずいぶん昔のことですが、不動産業界に転職する前に金融機関で働いていたことがあります。その頃の日本には「和議」法という非常に債権者にとって不利な法律があり、倒産した債務者にこれを申請されて受理されてしまうと、債権者は手が出せなくなったものでした。

今はそれがあまりに債務者を保護し過ぎるということで「和議」はなくなり、代わりに「民事再生」法というのができていますが、それでもこれは、既存の無能な経営陣がそのまま会社の再生を任されるというものであり、債権者にとっては不利な法律です。

しかし、今回の決定が日本の会社更生法に相当するものであれば、タイ航空にとっては、「誰がタイ航空をこんなにした?」で2回にわたって書いたように、政治家や軍人を中心とする官僚の利権を断ち切ることができると思います。

それともう一つ、これまで会社経営のネックといわれてきた労働組合の問題がありました。これまでタイ航空の株式の51%を持つのがタイ政府ということもあり、タイ語でいう「カーラチャガン」、つまり、公務員と同じ法律が適用されていて、従業員の人員整理や解雇ができませんでした。

しかし、今回の会社更生ではタイ政府の持ち分を2%落とし、49%にするということのようです。それであれば、タイ航空は民間企業となり、管財人は不要な従業員の整理ができるし、非効率な人事が指摘されてきたタイ航空の人件費削減も可能となります。

ただし、この民営化に対しては、労働組合がその既得権を失いたくないので猛烈に反対しているようです。

次回に続く

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誰がタイ航空をこんなにした?(その2)

タイ航空5
さて、以下が外国人アナリストから見た現在のタイ航空の概要です。

1.雑誌フォーブスが昨年11月に出したコラムによれば、タイ航空はタイ政府が株主であり、観光立国であるタイにとってタイ航空は観光のシンボルでもあることから、どれほど赤字を出しても支えるので倒産しないと多くのアナリストが考えている。

2.タイ航空が2005年に購入したエアバスA340-500,A340-600が燃費の悪い航空機であり、かつタイ国内の政治的な騒動(黄シャツ事件)もあって、それまで40年間、黒字を維持してきたタイ航空は2008年に初めて210億バーツの赤字となった。

3.タイ航空の問題点
a. 多くの問題があるが、特にマネジメントが貧弱であり、かつ経営構造に問題がある。その結果、利益率が低く借金過多にもなっている。
(政治家や官僚の利権に基づく介入や労働組合の無理な要求のこと)

b.過去の決算書を見ると、2011年から2019年にかけて、売上はほとんど増えていない。それにも関わらず、販売管理費ばかりが2倍以上に膨らんでいて、売上高に対する比率も3.4%から7.5%に倍増と、経営効率が悪くなっている。

c.たびかさなる赤字で、2011年に627億バーツあった自己資本も、2019年にはわずか117億バーツへと減少。その結果、負債自己資本倍率は2018年時点で12.2にまで高まっている。
(注:健全な倍率は1~1.5。これは私の不動産投資ブログ「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その3)」の中でも、この負債資本倍率が2.5を超えて販売在庫も100億バーツ以上あるところは、資金繰りがかなり苦しいので要注意デベロッパーと書きましたが、12.2倍というのは民間企業であれば論外です。しかも、もうすぐ債務超過に陥りそうなタイ航空に、国が保証してさらに借入れをおこすというのは相当なリスクです


d.管理体制が問題で、何を決定するにも政府の承認を取る必要があり、決断が遅すぎる。しかも、労働組合が強すぎて、細かい変更についてもああだこうだと足を引っ張るため、
今の航空業界で勝ち残っていく機動力がない。

e.技術的な遅れ。12機種もの航空機を持っている反面、それをちゃんと整備する技術がない。また、A380といった新型機種を導入しても、整備する技術力がないので、
A320やA340といった古い機種をいつまでも使っている。これでは、より安全な機種が選ばれる今の顧客ニーズを満たせない。例えば、シンガポール航空の平均機体年齢が7年7カ月に対し、タイ航空のそれは10年である。世界のエアラインとの厳しい競争を勝ち残るには、技術力の向上、新型機の導入が必要である。

f.
タイ政府がタイ航空の経営に口を出し過ぎであり、タイ航空は完全な民間企業になるべきである。

g.
子会社のLCC、タイスマイルとの住み分けができてない。

h.タイ航空はヨーロッパ直行便ルートが多すぎるので、減らすべきである。また、北米への直行便は持たない方がいい。

タイ航空4
以上ですが、こういうのがわかってくると、完全な赤字体質となってしまったタイ航空を生き長らえさせる為だけに湯水のようにお金を投入しても、結局このままでは国民の負担になって跳ね返ってくるのかもしれません。

賛否両論あるようですが、タイ政府を株主から外して政治家や軍人の利権から切り離し、100%民間にして真剣に会社再生をするか、さもなくば、いっそここで倒産させてしまうという2者択一の選択しかないのかもしれません。

(注:これらは、私がタイの現地新聞を読んでそのサマリーを書いたものなので、解釈を間違えているところもあるかもしれません)

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誰がタイ航空をこんなにした?(その1)

タイ航空2
以前、「タイ航空を救え?」で、タイ航空のことについて書きました。

私自身も前職でIB(投資銀行)のハゲタカファンドにいたこともあり、こんな不甲斐ない会社はもう潰れても仕方がないのではと思っていたので、どうしても救う必要があるのか、さっさと自己破産して解体売却した方が速いのではないのか?という意味のつもりでわざわざクエスチョンマークをつけて書いたわけです。

ただ、あまりタイの会社のことを外国人の私がああだこうだと批判するのはよくないのでやんわりと書いたつもりですが、やはり、私と同じように考える人も多いようで、今回の政府のその場つなぎの債務保証をめぐって各方面から批判が噴出しています。

実は国営タイ航空は51%が国が株主ですが、49%は海外のファンド等、民間セクターが株主なのだそうです。それであれば、彼らにしても2017年からの赤字続きに不満がたまっているのだろうと思います。

タイ航空3
これは私も知らなかったのですが、元財務相によれば、実はタイ航空はタクシン政権の時は、なんと5年連続で利益を出していて、中でも2003年には125億バーツ(410億円)もの利益を出したのだそうです。

タイ航空1

それが、次第に経営効率が悪くなり、2017年以降は連続赤字に転落。その結果、昨年のように世界的な海外旅行ブームでタイにも4,000万人もの外国人がやってきたにもかかわらす、世界のナショナルフラッグキャリアの中でタイ航空だけが赤字という、おかしな結果になっているわけです。

その上、今回は政府が救済のために債務保証して、500億から700億バーツ(1,700億円~2,300億円)もの借入をおこすというのですから、こんなのはドブに捨てるようなものだという批判が国内で起こっているわけです。いわゆる追い銭(おいぜに)というやつで、二度と戻ってこない融資です。

ところで、2014年5月22日にクーデターが起こって今の軍事政権になったわけですが、タイ航空の社外役員によれば、何とか経営を立て直すべく経営陣を刷新しようとしたものの、結局は政治家と軍人がその利権を離さず、どうしようもない状態が今も続いているというコメントも出ています。

そこで、海外のアナリストたちが今のタイ航空をどう見ているのかをまとめてみることにします。

次回に続く

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タイ航空を救え?

タイ航空
昨日、民間エアラインのノックエアのことを書いたばかりですが、実は今日、プラユット首相を議長として、タイ航空を生かすか殺すかについての会議が開かれました。

再生計画
タイ航空はかつての日本航空と同じで、人件費も高く経営効率が悪いので毎年赤字のエアラインです。また、かつての日本の都銀のようにエリート意識ばかり強い
バンコク銀行、そして、タイ航空も国営のナショナルフラッグキャリアとしてのエリート意識が強いのか、あまりタイ人一般庶民からは好かれていないようです。

コロナ12
それに、
親方日の丸、というか、親方タイ政府ということもあって、コスト意識があまりなく、毎年赤字で、つい最近まで、今回のコロナ騒動でこの絵のようにいよいよ倒産かと危ぶまれていたのです。

その放漫経営ぶりは、観光立国タイにありながら、2017年に21億バーツ(70億円)の赤字、2018年にはさらに赤字が広がり116億バーツ(380億円)、そして2019年は120億バーツ(400億円)と手がつけられない赤字体質で、外部からはもう潰してしまえという声も出ていました。

しかし、さすがに国営のフルサービス・ナショナル・フラッグキャリアは潰せないということで、結局、今日の会議の結果、財務省が保証をつけることで追加融資を受けると決まったそうです。

そもそも、1企業に国が債務保証を入れるというのも異例ですが、ただし、これには条件が付いていて、 「今の経営陣は使えない」ということで、マネージメントは外部のプロを入れて再生を図るということになったそうです。

昨年、4,000万人もの外国人観光客がタイにやってきて、他のエアラインにとってはドル箱ともいえるタイ路線の中心的存在でありながら、それでも赤字を出し続けたタイ航空は、抜本的な大手術が必要だと素人にもわかります。

なんか、昔、どうしようもなくなった日本航空の救世主として、京都セラミックが再生を引き受けたのとどこか似ていますが、今のタイ航空はぬるま湯の中でずっと赤字を垂れ流してきたわけだから、プラユット首相も、これではダメだと外部の経営を導入することにしたのだろうと思います。

観光収入1

私は個人的にはタイ航空はあまり好きではないエアラインなのですが、なんだかんだいっても、世界4位の観光収入を誇っていたタイに、ナショナルフラッッグ・キャリアがないというのも問題なので、やはり助けるしかないのだろうと思います。

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3カ月後に襲う世界的食糧難こそタイ経済復活の鍵(その2)

政府支援
ところで先日、我々は誰も見捨てない」の中で、タイ政府のスローガンである、"เราไม่ทิ้งกัน (ラオマイティンガン)"のことを紹介しました。

実はこれ、訳す時に主語が政府なのか、それともタイ人全体なのか迷ったので、とりあえず”我々”ということで、曖昧なままにしておいたものです。

その後、英字紙のThe Nationが「You will never be left behind.」と訳していたので、あなたは絶対に置き去りにされたりしない、というところは同じですが、これもやはり、誰が助けるのか主語がはっきりしませんでした。

しかし、先日、別の新聞で、"คนไทยไม่ทิ้งกัน コンタイマイティンガン)"、つまり、「我々タイ人は誰も見捨てたりしない」と書いていたので、主語は政府でなくタイ人であり、国民が一致団結して助け合おうというスローガンだとやっとわかりました。

それにしても、日本の場合、30万円だとか10万円だとか金額だけが先行し、それに対し野党がことあるごとに反対したりでさっぱり決まりませんが、その本来の目的をはっきりさせるためにも、まず最初にこういうスローガンがあるともう少し前に進むかもしれません。

食糧難はチャンス
さて、話を戻すと、政府は今、農業などの第一次産業に対しては6カ月間、計30,000バーツを援助することも検討しているそうです。

その理由は、1,328万世帯が農林水産業に従事するタイにとって、これらは国の基礎産業であり、コロナで苦しいこのときに支援しておいて、これからやってくる世界的な食糧危機で、農産品を輸出してタイ経済を回復させようというものです。

実は既に国連機関のFAO(Food and Agriculture Organization)、WHO(World Health Organization)、そしてWTO(World Trade Organization)などが、これから3ヵ月は世界的な食糧危機がやってくる。しかも、自給自足ができていない国ほど厳しい食糧難に陥ると警告を出しているそうです。

それに対し、タイは世界12位の食糧輸出国であり、アジアでは中国に次いで2位と食糧危機は大きなビジネスチャンスとなるわけです。

農家の支援
しかも、コロナのダメージが大きい中国やアメリカなどの他の食料輸出国に比べて、タイの農林水産業はそれほど影響を受けていない(その代わり、観光立国でもあるタイは観光業界がボロボロ)ことから、食糧輸出で観光業界や製造業のダメージを和らげ、これからの経済回復の突破口にしようと、タイ政府は考えているわけです。

それもあって、タイ政府は"ラオマイティンガン"の政策で、今は困っている農業や水産業に従事する人を6カ月間サポートし、やがて来るビジネスチャンスに備えようとしているとのことで、これを読んで私などは、なるほどと感心しました。

米価高騰
そして実は今、米の値段が高騰を始めていて、既に昨年比で2割以上値上りし、この10年間で最高値になったということです。さらに、これから食糧危機が深刻になるにつれて、もっと値上りすると予想されています。

ところで、タイ語でチャウナーと呼ばれるイサーン(東北地方)などの農民は、これまでヤークジョン(貧乏人)とも呼ばれて、所得格差の大きいタイにあって、いつも社会の底辺で低所得に泣かされてきたわけです。

しかし、今年はコロナによる世界的食糧不足のおかげで、農産品や養殖のエビなどの1次産品が軒並み値上りし、今はまだ苦しいかもしれませんが、もう少しするとその輸出で久々に潤うことになりそうです。

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3カ月後に襲う世界的食糧難こそタイ経済復活の鍵(その1)

コロナ感染者数
3月26日に出されたタイの非常事態宣言とロックダウンから1カ月も経っていませんが、最近はコロナ感染者数も減少傾向にあり、うまくコントロールできているようです。

1月初め、世界で中国以外で最初に感染者を出したのがタイなのですが、今は上のグラフにあるように、現在の累積感染者数は50位と、欧米諸国に比べて圧倒的に少ない数です。

また、昨日の段階では、下の図にあるように、世界の累積感染者数で51番目と、さらに順位が下がってきています。陰性になった
治癒回復者数も1,593人と増加中で、あとはこの累積感染者数と治癒者数の間隔がゼロになれば、最終的に感染者がいなくなるわけです。

感染者速報1

もっとも、それはしばらく無理にしても、縮小傾向にあるということは、うまく感染がコントロールできているということであり、心配していたソンクラーンのお祭りで一挙に感染爆発するのではないかという危惧も薄れつつあります。

そして、一昨日、プラユット首相は4月最終週の状況を見て、徐々にロックダウンを解除していけるか決断すると発表しました。


ロックダウン解除
4月16日時点での累積感染者数は2,672人で、しかも昨日の新規感染者は29人(30人との報告もある)と、道を歩いていて交通事故に会う確率の方が高いくらいの状態になってきたわけで、確かに5月から規制緩和が始まりそうです。

そこで注目されるのは、これから確実にやってくるコロナによる世界的な経済不況に対し、各国政府がどんな対策を練っていくかですが、実はタイ政府が不況脱却の戦略として考えていることが、非常に興味深いのです。

これはまさに"災い転じて福となす"の戦略であり、今回のコロナでタイは中国以外で最初に感染者を出したものの、ピークを脱したと思われる今になってみると、他の国に比べれば感染者も少なく、ロックダウンの期間も短くて失業の問題や経済的影響も小さいという、大きな強みがあるわけです。

一方、まだまだコロナと戦っている欧米先進国の場合、今後の経済立て直しのことを考えている余裕はありません。

それどころか、このままでは、あと3カ月もすると世界は食料危機になると、多くの国際機関が指摘するようになっていて、実は世界屈指の農産物の輸出国でもあるタイにとって、これこそ経済不況脱却のまたとないチャンスが巡ってきているというのです。

次回に続く

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