タイランド太平記/バンコク コンドミニアム物語

タイでの生活とバンコクの不動産投資に関する情報発信

「タイランド太平記」
タイに興味がある、タイが好き、将来タイに住みたいという人のために、タイでの生活について、ジャンルを問わず思ったままのことを書いていきます。光があれば影があるように、タイには魅力的なところも多いですが、悪いところもたくさんあります。そして、やはり日本の方がいい、他の外国の方が住みやすそうだ、と思う人もいて当然であり、その参考になればと思います。

「バンコク コンドミニアム物語」
バンコクの不動産投資について、今起こっていること、これから起こること、そして投資のリスクや実践方法等、筆者自身も自己資金を使って投資しながら、その試行錯誤の中で得た経験を基に投資家目線で情報発信していきます。

バンコク コンドミニアム物語

2021年もコンドミニアム市場は土砂降り状態

2021年1
新年早々、コロナの感染拡大でバンコクもいつロックダウンが始まるかわからない状況になる中、ビジネス紙のプラチャーチャートが3つの業界団体、住宅事業協会、タイコンドミニアム協会、タイ不動産協会に対し、2021年の不動産市場予測についてインタビューした記事が載っています。

3協会ともネガティブなコメントが中心ですが、私の受けた印象は、バンコクのロックダウンがあろうがなかろうが、コロナの感染拡大が今後3、4カ月以上続けば、多分、今年の不動産市場はもう回復の見込みがないだろうというものです。

結論としては、昨年
急ぐな、焦るな、コンドの底値状態は来年も続く!」で2021年の市場もよくないと書きましたが、その後、想定外の感染拡大により市場環境はさらなる悪化が予想されるので、少なくとも向こう半年はもう何もせず投資資金の温存が最善策だと思います。

以下がこのインタビュー記事のキーポイントですが、昨年10月に私が書いたこのブログ記事を先に読んでから、以下のコメントを読んでもらうと、現在の状況悪化が納得できると思います。


ทั้งนี้ มี dead lock คือ สถาบันการเงินเข้มงวดการปล่อยสินเชื่อ 2 ขา ได้แก่ สินเชื่อพรีไฟแนนซ์ หรือสินเชื่อผู้ประกอบการ กับสินเชื่อโพสต์ไฟแนนซ์ ซึ่งปล่อยกู้ให้กับคนซื้อที่อยู่อาศัย
สภาพปัญหาคือสินเชื่อพรีไฟแนนซ์ ดีเวลอปเปอร์มีการกู้เพื่อซื้อที่ดินกับก่อสร้างโครงการ ใช้เป็นเงินทุนหมุนเวียนทั้งค่าการตลาด เงินเดือนพนักงาน ฯลฯ ถ้ายอดขายไม่เดินไปตามเป้าจะมีปัญหาจ่ายคืนเงินกู้ ขณะที่สินเชื่อโพสต์ไฟแนนซ์ถูกตรวจสอบเข้มข้น จนทำให้การยื่นกู้ 10 ราย กู้ไม่ผ่าน 6 ราย

金融機関のローンに関する問題は2種類あるが、これらが今の住宅市場デッドロックの原因となっている。
1つはデベロッパーに貸し出す開発ローンであり、もう1つが住宅を購入する顧客に貸し出す住宅ローンである。
開発ローンの場合、デベロッパーは用地取得費、建設費等の開発費用、そしてプロジェクトのマーケティング費用や従業員の給料等のワーキングキャピタルに使うのであるが、住宅の売れ行きが目標を下回る場合、資金力のないところは返済に窮しデフォルトすることになる。
一方、住宅購入者が借りる住宅ローンも与信チェックが厳しくなっているため、6割が住宅ローン審査に落ちるという状況である。

ในขณะที่ภาพใหญ่ของเศรษฐกิจมหภาคประเมินว่า มาตรการล็อกดาวน์ถ้ากินเวลา 3-4 เดือนจะกระทบต่อการฟื้นตัวทางเศรษฐกิจที่เคยคาดหวังให้เป็น U-shape อาจต้องกลายเป็นการฟื้นตัวในโมเดล L-shape ซึ่งหมายถึงโอกาสฟื้นตัวทางเศรษฐกิจจะทอดยาวออกไปอีก 

ロックダウンが3~4カ月に及べば、これまでU字型回復が予想されていたタイ経済はさらに悪化し、L字型回復になる。つまり、経済の回復はさらに長引き先が見えなくなる。

“ผลกระทบล็อกดาวน์ธุรกิจขนาดกลาง-ย่อมที่มีพลังน้อยอยู่แล้วก็คงจะเหนื่อยอีกรอบ ในส่วนตลาดคอนโดฯปีนี้ไม่คิดว่าจะมีการแข่งกันเปิดโครงการ แต่อาจจะมีสต๊อกที่ดินที่ซื้อไว้แล้วจำเป็นต้องพัฒนาต่อ ซึ่งเป็นการเปิดโครงการเพื่อประคับประคองงบการเงิน แต่ไม่ใช่เปิดเพราะอยากจะแข่งว่าใครใหญ่กว่าใคร ใครมากกว่าใคร”

ロックダウンが中小デベロッパーに及ぼすダメージは特に大きい。彼らは既に体力を消耗してしまっていているので、これ以上の負担には耐えられず、2021年にコンドミニアムの新規プロジェクトを売り出すところはほとんどないであろう。
ただし、既に用地取得してしまっているものについては、新規プロジェクトとして売り出してくるものはあるだろう。しかし、これは他社との競争という前向きなものではなく、資金に窮しているのでどうしても売りたいという、財務上の問題からくるものである。

昨年も別のブログ記事で書きましたが、今年は中小デベロッパーで資金ショートにより建設途中で破綻し、プロジェクトごと銀行に差し押さえされてしまうところが出てくるかもしれません。

そして、私のバブル崩壊時の経験からも、
そういう例が何件も出てくると、次はコンドミニアム市場全体が総崩れするので、今のコロナの問題が解決の見通しが付き、潮目が変わったのを見届けるまでは、しばらく不動産市場には近寄らない方がよさそうです。



タイに来て以来、不動産市場最悪の年。来年は光が見えるか!

ミャンマー国境
いよいよ大晦日となり、今年もこれが最後のアップです。振り返ってみれば、2018年の後半から次第に低迷が始まっていたコンドミニアム市場が、今年3月のコロナ危機によってほとんど息の根を止められてしまったという1年でした。

私も昨年初め頃までは、まだ不動産市場がどこかの時点で回復する可能性もあると考えていたので、
このブログや現地ビジネス誌「アレイズ」等の雑誌の連載等でも「待つも相場なり」と書いていたのですが、今年に入ってどんどん市場が悪化していくのを見て、とにかく今は「休むも相場なり」のみで一旦全面撤退した方がいいというトーンに変えました。

そして、12月に入って新たな感染爆発が起こった現在は、来年のタイ経済やコンドミニアム市場回復の鍵ともいえる外国人投資家がいつ戻ってくるのか全く読めなくなっています。

私が2011年にタイに住み始めて以来、まさかのコロナ危機により今年が最悪の不動産市場になるとは思ってもいなかったのですが、私個人の不動産投資に関しては、2018年後半に始まったコンドミニアム市場の低迷が、2019年に入るとかなり長期化しそうになったので、自宅を除き、当時3物件持っていた投資用コンドを2019年末までに全部「出口」処分しました。

今となっては本当にラッキーだったと思っていますが、このブログでも今年の初め頃から、コンドミニアム購入は底値買い狙いをすべきということを何度も書いてきたので、読者の人が価格の高いコンドミニアムを買わなかったことを祈ります。

いずれにせよ、投資家目線でいえば、現在のバンコク不動産市場、特にコンドミニアム市場はリスクばかり高くて魅力に乏しい投資対象になってしまっています。この時期でも買うことを勧めるのは仲介業者ぐらいで、確かに運が良ければ将来儲けられるかもしれませんが、今の市場環境ではそのリスクを取るに見合わないと思います。つまり、ハイリスク、ローリターンの投資環境ではないかと思うのです。

そんなこともあり、今年は否定的な話以外、バンコクの不動産投資に関して書くこともなくなったので、このブログではこれまでの「バンコク コンドミニアム物語」話だけでなく、「タイランド太平記」という新しいジャンルを作って、タイの政治、経済、その他全般のトピックを書き始めました。

また、タイの政治、経済、コロナの動向をしっかり見ていれば、その潮目が変わってきた時に不動産投資のチャンスが再びやってきたのがきっとわかると考えています。

まあ、そんなことで今年もこれが最後のコラムになりますが、ちょうど今朝、日本のニュースサイト「アゴラ」で、私の書いた今回のタイの感染爆発に関するコラム記事が掲載されたので、よければ読んでみてください。

ではまた、来年もよろしくお願いします。



それでも2021年のコンドミニアム市場は底堅い?

ロックダウン危機1
恐れていた通りのことですが、サムットサーコーン県のロックダウンと夜間外出禁止で県内やその周辺のホテルやレストランでは、ほとんどの予約がキャンセルとなり、既に10億バーツを超す売り上げが消えてなくなったということです。

そして、遠く離れたパタヤでさえも、年末年始は100%予約が入り、久しぶりにフル稼働が見込まれていたところに、感染が始まってから既に30%の予約がキャンセルされたそうで、やはり、今回の感染爆発はタイ経済全体、特に観光業界にまたも大きなダメージを与えることになりそうです。

それに、規制はまだまだ始まったばかりで、今日からバンコク都内ではマッサージ店、ナイトクラブ、カラオケ等の娯楽施設の閉鎖が始まることから、今後はさらに経済的ダメージが広がりそうです。

2021年市場予測
さて、こんな状況下で、不動産業界からも来年の不動産市場について、住宅購買意欲がまたも落ち込むので政府のサポートに期待しているという記事が出ています。

これは現地のオンライン新聞、プラチャーチャート・トゥーラギットが業界関係者から聞き取りをした結果を書いているのですが、以下がそのサマリーです。

หวั่นล็อกดาวน์สมุทรสาครดับฝันอสังหาฯฟื้นตัวในปี 2564 เป้าตลาดรวมโต 5-10% อาจไปไม่ถึง “คอลลิเออร์สฯ” ชี้ไม่มีโควิดรอบใหม่ คอนโดฯเขตกรุงเทพฯก็อ่วมอยู่แล้ว แนวโน้มตลาดติดลบ 20% ฟาก “AREA-ศูนย์ข้อมูลฯ” ชี้ปีหน้าตลาดทรงตัว นายกอสังหาฯสมุทรสาครเชื่อมั่นรัฐบาลคุมเกมอยู่หมัด ลุ้นมาตรการรัฐ-ดอกเบี้ยต่ำตัวช่วยพยุงตลาด

今回のサムットサーコーン県でのロックダウンがきっかけで、来年は不動産市場が回復に向かうという
夢が消えてしまった。
不動産アドバイザーのコリアーズインターナショナルによると、当初の目標である5-10%の市場成長の達成はまず無理だろうとのこと。バンコクのコンドミニアム市場は既に低迷しているが、来年はさらに20%のマイナス成長になると見込む。
一方、AREA不動産研究所は、市場は既に十分下落しているので、来年の不動産市場はむしろ堅実で、そうは落ち込まないだろうと予想している。
また、サムットサーコーン県の不動産部門の責任者は、政府が今回の感染危機をうまく制御し、金利や市場サポート策の実施で不動産市場全体を支えてくれると信じているとのこと。

私もこのブログで、そろそろ市場は底値圏に達しつつあるので、今後2割も3割も価格が下がるということはちょっと考えづらいということを書いてきました。

そういう意味ではAREAと同じだったのですが、しかし、また新たな感染拡大が起こるということは想定してなくて、今のような状態になってしまえば、コリアーズのいう通り、まだまだ市場が縮小する可能性があり、当然、来年のコンドミニアムの売行きは細り、完成在庫に対するさらなる値引きが出てくる可能性は大いにあるのではないかと思っています。

ロックダウン
先に書いたように、既にホテルやレストランの予約キャンセルが出ていて、その上、バンコクでも娯楽施設の閉鎖が決まり、最悪、来年早々にはタイ全土のロックダウンもありえるわけであり、そうなれば、さすがに不動産市場は無傷でいられるわけがありません。

いずれにせよ、今回の感染爆発をタイ政府がどこまで食い止めることができるかを見定める必要があり、「休むも相場なり」でしばらく様子を見るしかないと思っています。

また、こうなってくると、学生たちも反政府デモはしばらく中断して、少なくとも3月の感染危機を無事に乗り切ったプラユット政権の手腕に協力して、ここはしばらくおとなしくしているべきなのかもしれません。



1,000万バーツのコンド購入で永住権がもらえる!

永住権の付与1
これはもう1か月も前のことになりますが、政府が瀕死状態のコンドミニアム市場の救済策として、現金でコンドを購入し、最低でも5年間保有してくれた外国人に対して永住権を付与することを検討しているという以下のような話題がありました。

Deputy Prime Minister Supattanapong Punmeechaow and the Situation for Economic Administration are pushing to maximise both foreign investment in Thailand and foreign tourism earnings as part of the government’s economic recovery strategy. As well as simplifying the Special Tourist Visa scheme and boosting visitor numbers through it, the government is also reported to be looking at granting permanent residency for foreigners with debt-free condo units held for over 5 years.

 

政府はタイ経済復興のために、外国からの投資と観光客を呼び込むべくSTV(特別観光ビザ)の基準緩和とタイのコンドミニアムをキャッシュで買い、かつ5年以上保有した投資家に永住権を与えるスキームを検討中。


実際、この記事は10月末に出たものですが、その時は私はこんなのは無理だろうと思っていたので、どうせそのうち立ち消えになると取り上げませんでした。ところが昨日の17日、財務省がいよいよ検討を始めるという発表をしたので、もしかしたらとの期待も込めてこのブログで書いてみることにしました。

そもそもの発端は次の記事でわかると思います。大手デベロッパーには増収増益だとか何とか表向きは強気なことをいってるところもありますが、
マーケットの動きを見ていればこんなのはポジショントークだとすぐにわかることであり、実態は不動産市場、特にコンドミニアム市場は大変な窮地に立っています。

฿1 trillion in unsold property in Bangkok right now as debt levels throughout the kingdom soar

Last week, a real estate analyst in Bangkok, Wichai Wirat, told the local popular Thai newspaper, the Daily News that there was upwards of ฿1 trillion of unsold or vacant property in Bangkok as the country’s household debt to GDP ratio is predicted to skyrocket to as high as 90% of GDP by the end of the year from a current projection of 84%.

「国内が借金まみれになる中、1兆バーツもの販売在庫が積み上がったバンコク不動産市場」
タイの対GDP家計債務比率が84%から年末には90%に急増すると予想される中、不動産の販売在庫も1兆バーツに積み上がっている。


さて、今回の提案は、不動産業界の各団体からの提案をまとめて不動産協会が政府に提出したもので、今の窮状
を見かねた財務省が前向きに検討することになります。

現在の具体的な提案内容によると、購入するコンドミニアム価格によって以下の3種類のビザを出すことで検討がされるようです。


1. 300万バーツ(約1,000万円)以上のコンド購入で5年間のビザ

2. 500万バーツ(約1,800万円)以上のコンド購入で10年間のビザ

3. 1,000万バーツ(約3,500万円)以上のコンド購入で永住権

ところで、1,000万バーツ以上のコンドミニアムを買えば10年の投資ビザがもらえるというのは既にある制度だし、私のように50歳以上の人はリタイアメントビザが簡単に取れるので、1.と2.についてはあまり興味がありませんが、3.の永住権には大きな価値があります。

特にまだ40代でリタイアメントビザが取れず、エリートカードを買うしかなかった外国人が無期限の永住権をもらえるわけですから、もし承認されれば、相当数の中国人が我先にとコンドミニアムを買いにくると思います。

それに、既にバンコクのコンドミニアム市場はほぼ底値に近付いていて、更なる下落リスクも小さいと思います。

ただし、まだ検討段階であり、あまり期待するのはよくありませんが、もし承認されたとしても、多分、現在の不動産業界が窮地を脱するための短期間時限立法になるのではないかと思います。

それにしても、確かフィリピンの永住権を買う場合でもキャッシュで350万円ほどかかると聞いたことがありますが、それがタイの場合、1,000万バーツのコンドミニアムを買えばおまけでついてくるとなれば、これは千載一遇のチャンスでもあり、是非承認してもらいたいものです。

以前、「マレーシア不動産から撤退する中国人バイヤー」で書きましたが、最近、日本人にも人気のあったマレーシアMM2Hビザが突然、凍結されてしまいました。タイのロングステイビザも更新が必要である以上、突然の変更や凍結、最悪の場合、廃止ということも起こりえます。

それでなくても、最近は健康保険への加入義務や80万バーツの預金を更新前後の半年間は維持しなければならないとか、最低でも半分は残してしておくこと等、次第に条件が厳しくなってきていて、そのうちこの80万バーツが200万バーツとかに引き上げられることもあり得ると思います。

その点、永住権というのは一旦取ってしまえば、法律は過去に遡って変更したり無効にすることはできないという大原則がある以上、犯罪でも犯して国外追放にでもならない限り、剥奪されることはないので、この機会に取っておくいいチャンスだと思います。

もっとも、いくら救済策といっても、本当にタイ政府がタダ同然で永住権など出すのか大いに疑問ですが...。



アメリカの監視強化でバーツ高はさらに続く?

バーツ高2

最近のタイバーツ高は留まることを知らず、このグラフからもわかるように、今朝の時点でとうとう1ドル30バーツを突破してしまいました。

1年のスパンで見ると、結局、今年初めとほぼ同じレベルまで戻ってきたことになりますが、タイバーツも今年はコロナに振り回されてきたということです。

2月からコロナの感染が世界に広がっていくにつれて、新興国から米国へのドル投資資金の回帰が始まった結果、急激なバーツ安が始まり、年初から4月までの4カ月で約1割ものドル高バーツ安が起こったことが、このグラフから手に取るようにわかります。

しかし、これも4月のピークを過ぎたころから、為替市場は次第に落ち着きを取り戻し始めました。そして、再びバーツ高が始まり、結局は1年かけて元に戻ってきたことになります。

そういう意味では、昨年の今頃にバーツを売って米ドルを買い、4月にまたバーツに戻せば、短期間で1割の為替差益がとれたことになりますが、当時、世界中がコロナパニックのようになっていた時に、そんな勇気のある人は少なかったろうと思います。

実際、私も3月の時点で手持ちの株や投資信託を全部処分して結構な損を出してしまいましたが、その後は精神的に随分気が楽になりました。一方、運よくバンコクの投資用不動産については昨年末までにすべて「出口」を迎えられたので、不動産投資への影響は回避することができました。コロナの発生など、誰も予期できなかったことですが、投資リスクというのは本当に読めないものです。

バーツ高1
さて、このままでは輸出産業がやられてしまうことから、タイ政府としてはここでバーツ高を何とか食い止めたいところですが、今朝のタイの新聞、ポストトゥデイの記事によると、アメリカが為替介入操作の可能性があり監視を強化するべき国としてリストアップした10か国の中に、タイが入っているということが書いてあります。

タイのほかには中国、日本、韓国、ドイツなども入っていて、これら10か国は、今後の状況次第では経済優遇措置の撤廃など、アメリカの経済制裁を受けるリスクがあり、下手に為替介入ができなくなっています。

また、ブルームバーグの報告によれば、アメリカが為替操作国とみなす3つの必要条件である1.貿易収支の黒字、2.経常収支の黒字、3.外貨準備高の増加、の中でタイは既に2つを満たしてしまっているとのことで、ここでバーツ高阻止の為替介入などすれば経済制裁を受ける可能性も高いわけです。

タイ政府にしてみれば、観光産業を筆頭に国内経済が大打撃をけている中、頼みの綱である輸出産業を助けるために何とかバーツ高を食い止めたいところですが、今は動きが取れないという状況です。

また、カシコン銀行リサーチはこれからもっとバーツ高は続くと予想していて、これでは輸出産業だけでなく不動産市場にとっても、外国人投資家がますます手を出せなくなるので、来年も厳しい状況になりそうです。


バーツ高3


ただ、このブログでも何度か書いてきていますが、今のタイバーツは実力以上に強すぎると私は個人的に思っています。それに、上の10年間のドルバーツの動きを見ても、今はバーツに対して米ドルがもっとも安く売られている水準にきていることから、カシコン銀行のいうように今後さらにドル安が続くとしても、これ以上そう大きくドル安バーツ高になる可能性は低いのではないかと考えているのですが...。

いずれにせよ、この調子では来年は多分、再び不動産投資を始めるタイミングはやってこないような気がしているというのもあり、タイバーツであれ、米ドルであれ、来年も虎の子の投資資金は現金で温存しておく方がいいように思います。



デベロッパーの最新ブランドランキング(その3)

1. Construction materials
2. Security system 
3. After sales service 
4. Interior living space 
5. Down payment, installment payment 
6. Interior and exterior design 
7. Promotions, discounts, giveaway 
8. Environment 
9. Society of good neighbors 
10. Common areas and facilities

ところで、このリストは今回のテラメディアコンサルティングのアンケート調査でわかった、タイ人が新築物件を買う場合の重要ポイントリストです。

ただし、大前提として最も重要なのは価格であり、自分の予算に合わなければいくら良くても買えないという
当たり前のことが書いてあります。

これは予算内に入ることが重要なのであり、他と比べて何より割安感のある物件を買うという意味ではなく、ブランドがあるプロジェクトでかつこれらの要求項目を満たしている予算内の物件を、消費者は購入したがっているということです。

この中では、私も著書やこのブログでコンドミニアムプロジェクトを評価する際にチェック項目として挙げているのが、アンダーラインを引いた、1.ワッサドゥ(建築資材)、3.アフターサービス(顧客満足度)、4.間取り、6.ファサード等の外観や内装のスペック、7.今のマーケットなら底値買いを狙う、10.共用部施設の使いやすさやグレード、といったところです。

デベロッパーブランド2

ところで、テラメディアコンサルティングはもう一つ面白いアンケート調査をやっています。

今の不動産、特にコンドミニアム市場に当てはまると思うのですが、消費者がそのライフスタイルの変化に合わせて、住宅も車と同じように買い替えていくことが一般的になりつつあるということで、デベロッパー各社のブランドを自動車メーカーに例えればどんなイメージを持っているかという調査結果がこの表です。

面白いのは、ランドアンドハウスのブランドイメージはメルセデスベンツと53%もの人が答えていて、やはり総合デベロッパーとしてクオリティに定評のあるところが、成熟したイメージと信頼感をもたらしていることがわかります。


一方、人気のサンシリは34%の人がBMWのブランドイメージと答えています。BMWはメルセデスよりスタイリッシュなイメージがあることから、多分そうなったのだろうと思います。

あとは、タクシン財閥のSCアセットがその高級感からメルセデスとBMWで半々に意見が割れたのが興味深いところですが、Qハウスがトヨタというのはよくわかりません。

ナナ駅前のQハウスはまさにスーパーラグジュアリーの先駆者だったのですが。
もっとも、トヨタといってもタイにはレクサスからヤリスまであるので、レクサスクラスというのであれば納得ですが...。

また、昔の公団マンションのような素朴ながらアフォーダブルなプロジェクトを作るのがうまいLPNやスパライが大衆車ながらコスパのいいトヨタというのもうなずけるし、オリジンが所詮中国のMGクラスというのもうなずけます。

ところで、最近、私はマイナーチェンジしたばかりのマツダ2を買ったところなので、個人的にはタイで人気のマツダがオリジンのイメージ、というのではちょっとかわいそうに思ったりもするのですが...。

あと、アナンダはBMWとなっていますが、これは正統派のBMWではなく、ミニクーパーということなので、まあそれなら納得です。

まあ、こんな面白いアンケートもやっていて楽しませてもらいました。



デベロッパーの最新ブランドランキング(その2)

ブランド価値2
さて、今回の調査でわかったのが、今の消費者は以下の6つの項目を住宅購入の際の重要な選択基準と考えているということです。従って、これらすべてを含めたブランドイメージがあるデベロッパーがブランド力があるデベロッパーとして選ばれることになります。

6 factors affecting home buying behavior
1. Trustworthiness
2. Business operations according to good governance principles
3. Expertise has Advanced experience
4. Meet the needs of life
5. Environment friendly.
6. Promote the image of residents

この中では、当然Trustworthiness(信頼性)が最も重要だと思いますが、今回、これら選択基準の総合点が一番高かったのがサンシリであり、その結果、彼らのブランド力がナンバー1という結果になりました。

しかし、上のグラフを見ると、サンシリだけがダントツであり、私にはどうもちょっとバイアスがかかっているような気がしないでもありません。

私のイメージでは、サンシリは確かに最近、98ワイヤレスなどで高級ブランドのイメージが出てきたのですが、一方でHQやキーン、クワトロといった優良プロジェクトを開発していた頃に比べて、同じトンロー通りのクンバイヨーやモニュメントなどを見ると、かなり価格面で強気になってきていて割高感が目につくようになっています。

従って、これはむしろ「割高なサンシリ」というマイナスのブランドイメージにもつながり、「出口」で不利になるような気がしているので、私個人はそれほどまでにはサンシリというブランドに価値を感じてはいません。といって、サンシリのブランドに否定的という意味ではなく、確かにブランド力はあるとは思います。

ただ、このテラの解説では、ブランドマネジメント次第では同じプロジェクトが2割から3割高い価格で売れるといっているのですが、それは言い過ぎだろうと思うのです。実際、それなら無理してサンシリを買う必要はなく、私なら他のブランド力があるデベロッパーを買おうと考えると思います。

ブランド価値
いずれにせよ、この認知度ベスト5に載っている5社は確かにブランド力があるし、参考にはなると思います。ただし、プルクサーはコンドミニアムよりも戸建て開発の大手というイメージであり、コンドに関していえば、アドレスやリズム、ライフといったブランドを持つAPの方が認知度が高いように思います。

それと、この中でQハウスのブランド認知度が随分低いですが、兄弟会社のL&Hの陰に隠れてしまっているのかもしれません。また、QハウスもSCアセットもマーケットシェア争いの大量供給をしないことから、
これまで大量供給をしてきたアナンダの方が問題のあるプロジェクトが多いにもかかわらず認知度だけは高いのかもしれません。

しかし、QハウスやSCアセットのブランド価値がアナンダより下などということはまずないと思います。

次回に続く



デベロッパーの最新ブランドランキング(その1)

デベロッパーブランド1
タイには日本のように厳しい建築基準法や品確法がないので、デベロッパーによっては建築コスト削減のための手抜き工事や勝手な仕様変更をされるリスクが比較的高く、コンドミニアム購入には十分な注意が必要です。

施工上の問題については、以前「品確法のないタイ、隠れた瑕疵はこんなに恐い」で6回にわたり、具体例を挙げて説明しているので、そちらを読んで下さい。

一方、日本の場合、国交省が睨みを利かし法的整備もできていることもあり、総合大手5社の物件はもちろんいいですが、いわゆるマンデベと呼ばれるマンション専業企業のプロジェクトでも、タイほどブランドにこだわる必要はなく、消費者はむしろ価格やロケーション、間取り、向き、その他スペックを重視するのが普通です。

従って、私は著書でも、タイの場合はデベロッパーのブランドが非常に重要であることを書いてきましたが、大体、ブランドイメージが高いところは施工もしっかりしていて、問題があった場合のアフターフォローも丁寧だから消費者のブランドイメージがいいわけです。

また、
つい5、6年前まではまだ新築志向が強かったコンドミニアム市場ですが、ダウンタウンやミッドタウンフリンジになってくると、さすがに駅から200メートル以内での用地取得がかなり難しくなった結果、最近は駅から500メートル以上離れた新築よりも、駅前の中古物件を買う人が増えてきています。

そして、こういう場合、消費者がまず最初に頼りにするのがデベロッパーのブランドです。建築のプロでもない一般消費者は、いくら建物をチェックするといっても隠れた瑕疵などわかるわけもなく、結局は信頼のブランドが判断の拠り所になります。

さて、数日前にグルンテープトゥーラギットに載った記事で、テラメディアコンサルティングというところが各デベロッパーの知名度やブランドイメージに対する消費者調査の結果を発表しました。

それによると、サンシリが総合ランキングで3年連続で1位とそのブランド価値は高く評価されています。一方、住宅としてのクオリティについては、やはりランドアンドハウスが1位と評判通りの評価です。

ちなみに、ここで彼らが指摘しているのは、最近はタイでも住宅を購入する目的が次第に変化してきていて、昔は一度買えばそこにずっと住むので、将来の転売価値のことなどあまり考えてなかったのが、今は住宅も車と同じでニーズに合わせて買い替えていく時代になってきているとのこと。

その場合、やはり人気ブランドの物件ほど将来高い値段で売却できるので、消費者も住宅購入を一種の投資として見るようになってきていて、最初からブランド重視で将来の転売時に価値が落ちない物件を買うようになってきているということです。

そういう意味ではタイの住宅市場、特にコンドミニアム市場は、
次第に日本や欧米市場のように成熟してきつつあるのだろうと思います。

では、次回、この調査結果について詳しく見ていくことにします。



買い手不在の中、来年も処理不能のNPLが続々と!(その2)

NPL1
さて、BAMは金融機関から買い取ったNPLに抵当として入っているコンドミニアム等を、任意売却で市場で処分して利益を上げるのですが、参考までに、これは彼らが今売りに出している物件の一つです。

APのアスパイアで築8年、36㎡の1ベッドルームです。BTSプラカノン駅からは900メートルとちょっと離れていますが、近くにはバンコク大学があり、学生の賃貸需要が強いところです。

価格についても、270万バーツというのはたしかに同プロジェクト内の他の売物件に比べると割安です。これを投資対象としてみた場合、駅から遠いのでキャピタルゲインはあまり望めませんが、賃貸需要はある地域なので、中長期で賃貸運用するイールドプレイを目的にするのであれば、検討の価値がありそうです。

実は私も2004年に東京の門前仲町にあるマンションを裁判所の競売で落札したことがあります。バンコクに来る直前までの7年間、賃貸で運用した後、買値の5割増で売却できたので、IRR20%近い投資利回りを実現できました。


NPLの処理ビジネスも、銀行等の金融機関から不良債権をまとめて安く買い取って、担保物件を市場価格より安めに素早く売り捌いて儲けるのですが、レベルイールド法というキャッシュフロー重視型の投資であり、まさに時間との勝負なわけです。

従って、なかなか売れない物件の場合、いつまでも持つことはせず、競売にしたり、さらに値下げしてでも売ろうとするので、継続して見ていれば思わぬ掘り出し物件を見つけることも可能です。

さて、タイではこのNPL買取業者で最大手のBAMが、来年も物件は売れないという判断で、金融機関からのNPL買取基準をもっと厳しくするといっているわけですから、処分できないNPLが銀行等に積み上がっていくはずです。そうなると、売れない中古物件により中古住宅市場もさらに下落することになります。

最近のニュースを読んでいると、サンシリ、アナンダ、ノーブル等大手デベロッパー各社が増収増益とぶち上げていますが、それは2、3年前に売り出したプロジェクトの竣工引渡しが今年であったからであり、来期の決算にこそ、本当のコロナの影響が出てくると思います。

従って、BAMのようなところが投売りの処分価格で売り出してくる差し押さえ物件を底値で拾うのはありだとは思うのですが、基本は市場に何か新しい流れが出てこない限り、来年も「休むも相場なり」で様子見を決め込むのが一番だと思います。



買い手不在の中、来年も処理不能のNPLが続々と!(その1)

BAM1
まず、NPLについてですが、これはNon Performing Loanの略です。日本語だと債務者の返済が滞った"不良債権"のことですが、随分昔のことなので、金融機関で働く人ででもなければ、NPLって何だ?と思う人も多いかもしれません。


今から20年以上前のことになりますが、日本の金融機関がバブル崩壊により何兆円ものNPLを抱えて苦しんでいた時に、外資系金融機関がその焦げ付いた不良債権を買い取り、スペシャルサービサーというプロを使って債権回収をしていったおかげで、日本の金融機関はようやくバブルの後遺症から抜け出すことができたわけです。

もっとも、失われた20年といわれるように、日本経済が新たな成長を始めるには、その後、さらに10年の助走期間が必要だったわけですが...。

ところで当時、私はGEキャピタルというアメリカのノンバンクで不動産投資をやっていたのですが、同じ会社で働いていた同僚のアセットマネジャーたちがこの債権回収ビジネスをやっていました。

不動産のアセットマネジャーといっても、私はいわゆるハードアセットと呼ばれる不動産そのものに投資して運用するアセットマネジャーだったので、建築、施工面だけでなく、空調設備や機械式駐車場、エレベータといったエンジニアリング系の方にも強かったのですが、彼らは
バックグラウンドが不動産そのものというより、どちらかというと権利関係や抵当権といった不動産に関する法律に詳しく、登記簿謄本を読んだだけでその物件の歴史を読み解いてしまうというほどのエキスパートたちで、大量のNPLを金融機関から買い取って債権回収をやっていたわけです。

さて、タイでも1997年のアジア通貨危機で大量のNPLが発生したのですが、その際、窮地に陥ったタイの金融機関を救うために政府によって設立され、金融機関からNPLを買い取って不良債権処理をしていったのがこのBAM(Bangkok Commercial Asset Management)です。

しかし、昨日のバンコクポストの記事によると、BAMが買い取ったNPLの担保となっている不動産の売却が進まず、今期の売上は前期比で77%ものダウンとなり、さらに来年も状況が好転する見込みが立たないことから、来年のNPLの買い入れ基準は特に厳格にするとのことです。

ちなみに、同社会長によれば、かなり安く買っているはずのNPLであってもその担保不動産が売れない理由は以下とのことで、今はミドルクラスの購入者層にとって、値段が安くてもコンドミニアムを買える状況にないことがわかります。

“Sales of our assets are very tough because people don’t have money,” said Mr Bunyong. “Some of our debtors are still on debt repayment waivers because of the impact of the pandemic.”

我々にとって不動産の売却が非常に難しくなっている最大の原因は、人々にお金がないことにある。また、買い取ったNPLの債務者の中には、コロナ不況の影響で今も債務返済の免除を受けているものもいる

次回に続く



年末一掃セール、でもすぐまた新年一掃セール?(その2)

ルンピニ年末値引1
これはルンピニの年末クリアランスセールです。同社が開発する大半のプロジェクトが郊外のアフォーダブルですが、2013年に久しぶりにCBDであるスクムビット24の奥で売り出したラグジュアリープロジェクト、ザ・ルンピニ 24で成功を収めました。

プリセール当時で平均価格が17万バーツ/㎡と割安感があり、さらに魅力的なファサード外観もあって
売れ行きも非常に良く、現在もこのプロジェクトを一押しする不動産業者も多いようです。

しかし、竣工時に私も見学に行ったところ、これはやっぱりルンピニ仕様だなと思いました。外観は格好いいのですが、使用しているワッサドゥ(建築資材)が全体的に安っぽく、湾曲した開口部等、使い勝手も悪そうで、ラグジュアリーという域には達していないというのが私の印象でした。

実は私が以前購入して住んでいたアソークのグランドパークビューもルンピニなのですが、コンクリートの流し方が雑でジャンカらしきものが出ていたり、戸境壁が波をうっていたりと、施工精度もあまりよくありませんでした。

ただし、ルンピニの場合、致命的な欠陥もなく、値段が他社に比べて割安でコスパの良さが彼らの持ち味です。
従って私の印象では、ルンピニは、昔、田の字型マンションを考案し量産した長谷川工務店(今のハセコーアーベスト)みたいなデベであり、ミドルクラス庶民向け普及型コンドのパイオニアです。

そういう点では私の好きなデベロッパーでもあるのですが、彼らにとってあまり経験のない、場違いなCBDでやるプロジェクトには何となく違和感を感じてしまいます。

ルンピニ年末値引2
さて、その後にルンピニが次のCBDプロジェクトの目玉として取りかかったのが、このルンピニスイート(ペチャブリ-マッカサン)です。ただし、これについてはあんまり成功したとは聞いていません。

小さなユニットが多く駅からも遠いということでどこか中途半端であり、やはりこれも
値段が安いのだけが取り柄です。そして今回、その完成在庫を10ユニットに限り、同社の開発コストで売却するということです。

価格も279万バーツからということであり、多分、一番小さな23㎡のスタジオタイプだと思いますが、それでも12万バーツ/㎡というのはさすがに安く、確かに彼らのコスト値なのかもしれません。つまり、それだけ市場では人気がないということだろうと思うし、将来のアップサイドも見えてきません。

ワンワイアレス1
これに比べれば、駅からは若干距離があるものの、APがやっているワイアレス通りのライフ・ワンワイアレスのクリアランスセールの方が、投資としては面白いと思います。

いずれにせよ、これはと思ったお気に入りの物件が見つかれば、買って悪いタイミングではないとは思いますが、多分来年に入ってもハッピーニューイアーセールとか銘打った新たなクリアランスセールが出てくると思うので、コロナのワクチンが普及していよいよ外国人観光客、そして外国人投資家が戻ってくるのが見えてくるまでは、買いを焦る必要はないと思います。



年末一掃セール、でもすぐまた新年一掃セール?(その1)

アナンダ年末値引1
最近、頻繁にデベロッパー各社の年末在庫一掃セールの広告がメールやFBに入ってきます。特に完成在庫物件に対する今年最後のラストスパートというところです。

しかし、いつもこれが最後とか、最高の値引額、ユニット数限定などという、顧客の購買意欲を誘引しようとする売り文句が並んでいて、正直、もう見飽きたというのが本音です。

2017年前後に起こった中国人投資家の爆買いもあって、その竣工引渡しがちょうど今年行われた結果、決算でその分が売上として上乗せされ、大手デベロッパー各社は増収増益となりました。しかし、実態は昨年と今年の売行き不振や大量の完成在庫の存在により、このまま来年も市場が回復しなければ、来期決算あたりからその影響が出てくるものと思っています。

アナンダ年末値引2

さて、これはアナンダが現在出している広告ですが、4つのアイディオ・モビの年末一掃セールです。このブログを長く読んできてくれている人であればわかると思いますが、私個人の評価としては、デベロッパーのアナンダとその系列の仲介会社、ザ・エージェントの評価はともに最低ランクに入っています。

また、日本人投資家の多くが誤解しているのですが、同じアナンダのプロジェクトでも三井不動産とJVのプロジェクトは大丈夫ということは全くなく、何ら違いはありません。

従って、私の場合、彼らの名前を見ただけでもうそのプロジェクトには興味がなくなるのですが、中でも特にこの中級グレードのモビは水漏れ等の欠陥工事、無責任な仕様変更や工期遅延等の問題が多く、タイ人の間でもあまり評判がよくありません。

ただし、そうはいってもこの4つのプロジェクトを見たところ、スクムビット66だけは、我々外国人投資家にとってロケーションが有望だと思います。

以前、「ナイツブリッジ・プライム・オンヌットの底値買い」で、このプロジェクトのロケーションは悪くないのでこういうのを底値買いするのは賛成、ということを書きましたが、ただし、デベロッパーのオリジンも施工面でいろいろと問題が多いので、その施工リスクについては注意するように念を押しておきました。

実際のところ、タイのコンドミニアムの場合、施工面での欠陥リスクは日本では考えられないほど高く、できるだけ評判のよい信頼できるデベロッパーを選択するべきなのです。とはいっても、それでも「品確法のないタイ、隠れた瑕疵はこんなに恐い」で6回にわたり書いたような問題にぶつかってしまうことがあるので、こればかりは運でもあります。

次回に続く



不動産投資で儲けたければミッドタウン!(その3)

フィリピンと中国人エクスパット
さて、これがここ数年急増中のフィリピン人と中国人の働くセクター別のグラフです。

まず、フィリピン人については67%が英語の教師ということです。また、ホテルやレストラン等のサービス業で7%、その他20%となっていますが、これについても英語を使っての仕事だろうと思います。

フィリピンはASEANの中で唯一英語を日常語として使う国であり、その中でも高等教育を受けたネイティブに近い英語教師がたくさんタイにやってきています。

アジア各国の英語レベル

一方、
この表で見ると、タイは世界の中でも英語力が低いとみなされていて、ASEAN10か国の中でもカンボジアとミャンマーに次いで英語能力が低いことがわかります。

そこで、以前「タイ人も実は英語はすごく苦手(その2)」で以下のように書きましたが、タイが世界からのASEANに対する投資のハブになるためには、英語力の向上が必須ということで、タイ政府はこれから特に英語教育に力を入れようとしているわけです。

タイの文部大臣が、コロナが落ち着いたら英語教育に力を入れる。そのために、1万人の欧米人ネイティブスピーカーを教師として雇い入れると発表しました。
既に今、タイにはネイティブの英語教師が7,000人もいるそうで、欧米人の教師がプラカノーンやオンヌットあたりにもたくさん住んでいます。これが今後さらにその倍以上の1万人の増員というのですから、大変な熱の入れようです。
そういう意味では、スクムビットライン沿線のミッドタウンで、駅に近いコンドミニアムに対する欧米人の賃貸需要はもっと増えてくるはずです。

実際、スクムビット50のローライズコンド、The Linkなどには欧米人のデジタルノマドや英語教師が多く住んでいます。DDプロパティによると、オンヌット駅周辺の賃貸物件の内、実に7割が外国人テナントということであり、今後は欧米人だけでなくフィリピン人エクスパットも含めて、オンヌット以遠のミッドタウンでの賃貸需要は増えていきます。

一方、中国人は日本と同じく製造業が多いですが、これは米中貿易摩擦もあり、工場を中国からタイにシフトしてアメリカ向け輸出品に関税をかけられないようにするのが主な理由とのことです。

そこで、CBREがこれからの不動産投資先として指摘しているのが以下です。すなわち、これまで私が著書やブログで書いてきたように、「脱日本人駐在員」がこれからの不動産投資のキーワードということになります。

“This means affordable midtown condominiums along mass transit lines with a maximum of two interchanges away from expatriate office hotspots could become increasingly attractive to investors seeking rental properties with expatriate demand as expatriate areas could de-centralise outwards in line with high-growth expatriate nationalities and their respective preferred areas”
 
外国人エクスパットの賃貸ニーズは、今後バンコク中心部から外に向かってシフトしていくことになる。マストランジットの駅近にあり、2回以内の乗り換えで職場に行けて、かつ家賃もリーズナブルなミッドタウンのコンドミニアムへの需要が高まるので、こういう物件が投資家にとっても魅力が出てくる。




不動産投資で儲けたければミッドタウン!(その2)

中国人とフィリピン人
さて、これが現時点での労働許可証を持つ日本人(28,560人)、中国人(25,811人)、フィリピン人(18,472人)のエクスパット数と、日本人エクスパットがピークであった6年前との比較です。この分では、数年後に日本人が中国人エクスパットに追い抜かれるのはほぼ間違いないと思います。

不動産コンサルタントのCBREによれば、タイ人従業員が育ってきてローカルに仕事を任せられるようになってきたこと、人件費等の値上りでベトナムやカンボジアに生産拠点を移す企業が増えてきたことが、日本人エクスパットが減少している主な理由とのことです。

CBRE Research reveals that extensions of downtown Bangkok such as Rama IX and Ratchadapisek have become Chinese expatriate hotspots due to amenities such as Chinese-centric restaurants, shops and convenient MRT access. Similarly, On Nut is a preferred area for Filipino expatriates due to lower rentals than early to mid-Sukhumvit while still affording convenient BTS access.


ところで、中国人エクスパットは中国大使館があるラチャダーピセーク通り沿いに好んで住む傾向があります。それもあって、中国人観光客までもがこの周辺に宿泊するようになりましたが、2016年あたりから急増してきた中国人個人投資家が、ラーマ9を中心にラチャダーピセーク通り沿線のコンドミニアムを買い漁った理由がこれです。

かつて日本の個人投資家が日本人駐在員が多かったプロンポンやトンローのコンドミニアムに好んで投資したのと同じ現象です。

そういう意味では、ラチャダーはかなり供給量が多いので物件選択がちょっと難しいものの、「入口」でミスさえしなければ、今後価格も上昇し賃貸利回りも安定すると思うので、高いIRRが期待できる有望エリアの一つです。

従って、もし私が中国人投資家であれば、ラーマ9、フワイクワン、タイカルチャーセンターの3つに絞って駅から200メートル以内、信頼できる大手デベロッパー開発のハイライズという投資クライテリアで物件探しをするだろうと思います。

一方、フィリピン人エクスパットも数の上では18,472人とちょっと遅れを取っていますが、増加率では中国人と同じ45%と急増中です。しかし、彼らにとってはバンコクの不動産には割高感があり、フィリピンの個人投資家がタイの不動産を買っているとはほとんど聞きません。

ただし、彼らが好んで住むのが、欧米人が多く英語で生活できるエリアで、かつ家賃水準もリーズナブルなところということであり、上のリサーチ結果にも書いてある通り、オンヌットを中心とするスクムビット通り沿線ミッドタウンです。

次回に続く



不動産投資で儲けたければミッドタウン!(その1)

日本人の減少
2018年の5月に上梓した著書、「バンコク不動産投資(実践編)」の第2章5項で「ミッドタウンに向かう外国人投資家マネー」と題してミッドタウンのプロジェクトに外国人投資家の人気が出てきたことを書きました。そして7項で「5年後に様変わりするロケーション」として、プラカノン、オンヌット、サムローンを挙げました。

さらに、今年の初めに出した「バンコク不動産投資(2020年版)」の第4章1項でも「既存の高級住宅地よりもこれから発展するエリアへ」と題して都心部にはそろそろ見切りをつけた方がいいと書き、2項で「CBDからフリンジ、ミッドタウンへ」と題して、先の3つに加えてウドムスクやプンナウィティも推薦しました。

その理由は、不動産投資で最も重要な投資指標であるIRR(内部収益率)で見た場合、アソークからトンローにかけての従来の人気エリアには、投資対象としての面白みがもうあまりなくなってきていると思っているからです。ただし、これからずっとダメというわけではなく、向こう4、5年はやめておいた方がいいという意味ですが...。

そして、その理由とは別にもう一つ、第5章2項で「勝ち残りたければ脱日本人駐在員」と題して、減少が続く日本人駐在員を入居者ターゲットにする旧態依然とした投資をしていたら、空室リスクばかり高くなるのでやめた方がいいとも書きました。

日本人数

さて、これが直近の労働許可証を持つ日本人エクスパットの推移です。この6年間、
ジリジリと減ってきているのがわかります。しかも日系企業の経費節減策として駐在員を帰国させ、代わりに現地採用の日本人を増やす傾向が続いているので、実際にはこの中での駐在員の比率はさらに小さくなってきています。

つまり、この6年間で23%減少したのではなく、企業から派遣された駐在員に限定すれば、2014年のピーク時から3割、4割と減ってきていると考えられます。

一方、2016年に始まったラグジュアリーコンドブームにより、ちょうどそれらが竣工を迎えつつある昨年あたりから、トンローあたりでは賃貸物件のオーバーサプライが起こっています。すなわち、5万バーツ以上の高額家賃が払える日系企業の駐在員が減りつつある中、入居者需要と高級賃貸物件の供給でミスマッチが起こりつつあるわけです。

その結果、
これまで日本人駐在員に人気のあったトンローのHQやクワトロでも、次第に入居者募集が難しくなり、新築物件にとって代わられていくと思います。

また、欧米人が新しさよりもインテリアの趣味や部屋の広さを重視するのに対し、日本人は新築好きなので最初の2、3年間は新築効果もあって入居者も付くかもしれません。しかし、よほどロケーションがいいとかグレードが高いという人気物件でなければ、これらも数年後にはありきたりの物件に格下げされてしまい、結局は空室リスクに泣くことになります。


それに、CBDで50㎡の新築物件を買うだけで1,500万バーツ(約5,000万円)もの資金を海外不動産投資に振り分けられるのは、日本でも結構なお金持ちであり、我々のような平均的個人投資家にとっては、金額的にリスクが大きすぎます。

そういうことで、これからは日本人駐在員に固執せず、現地採用の日本人や欧米人などのエクスパット、そしてタイ人アッパーミドルクラスの賃貸需要が増加中のミッドタウンに投資先をシフトすべきと思っているわけです。


次回に続く



急ぐな、焦るな、コンドの底値状態は来年も続く!

住宅販売在庫推移1
住宅大手のプルクサーによると、バンコクのコンドミニアムの販売在庫は第2四半期末で9万ユニットとのことです。

販売在庫については、6万ユニットから10万ユニットまでといろんなところが違う数字を出しているのでなかなか掴みにくいのですが、私は基本的に独立系のAREA(Agency for Real Estate Affairs)が一番バイアスがかかっていないと思っているので、彼らの数字を好んで使います。

完成在庫予測
それによれば、販売在庫は6月末時点で90,408ユニットとプルクサーの数字とほぼ同じですが、さらに細かく見ていくと、販売在庫の中で今年と来年に竣工するユニットがまだ5万ユニット以上もあることから、完成在庫は来年末には3万ユニットを超える可能性があると思っています。

After heavy discounts to clear inventory and a sharp decrease in new supply, the Bangkok condo market will likely be in a correction until next year and take a few years to return to normal.
バンコクのコンドミニアム市場は供給過剰状態の調整が来年も続くが、デベロッパーによる在庫一掃の大幅値引と新規供給抑制の努力により、2~3年後には通常の状態に戻る

そしてこれが、昨日のバンコクポストのコメントですが、私もこれが妥当な予想だろうと思います。クーデター後の2014年後半に始まったように、外国人投資家がタイ市場に一斉に戻ってきて買い始めるとか、タイ経済が急回復してミドルクラスの収入が大きく増え、需要が急回復するのでもなければ、少なくとも2021年に需給が大きく改善することはないだろうと思っています。

住宅販売在庫推移2
ただし、これからどこまでも価格が落ちていくこともないだろうと思うので、今のように販売率が極端に落ち込む中、大手デベロッパーが大幅値引きで出してくる物件でこれはというものを見つけたら、来年以降は底値でぼつぼつ拾っていくいいチャンスでもあると思っています。

"Many developers offered discounts and campaigns to attract buyers because they needed cash flow. When their financial status improves, discounts may be unnecessary.
The second half of 2020 should be a recovery period for many sectors in the market, but the key challenge will be the ongoing financial pressure that both consumers and companies have to face"
資金繰りに苦しむデベロッパー各社は、大幅値引や販売キャンペーンで販売在庫処分に注力しているが、今後資金的に余裕が出てくれば、値引幅も縮小していく。
2020年の下半期も調整期が続くが、デベロッパーと消費者双方にとってのこれからの最大の課題は資金手当である。

以前、「危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場」でも書いたように、来年は、資金繰りがつかず破綻する、もしくは途中で工事が止まってしまうプロジェクトが出てくる危険もあるので、デベロッパーにとっても正念場だろうと思っています。

一方、収入減で金融機関の与信基準を満たせず住宅ローンが借りられない消費者にとっても資金手当てができないため、解約キャンセルが続いているわけですが、こういう時こそ、もともと現金買いしかできない我々外国人投資家が優位に立てる、Cash is King! の状態が来年も続くことになります。

ところで、著書でも書きましたが、タイの不動産投資は「入口」よりも「出口」のタイミングの見極めと売却方法が難しいので、こういうチャンスにこそ「入口」で安く買っていく必要があります。そういう意味では、来年はじっくり時間をかけて掘り出し物件を探すいいチャンスではないかとも思います。

コロナの影響はあっても、遅くとも
数年後には中国人投資家がまた戻ってくるのはほぼ間違いないと思うし、ミドルクラス向けの住宅も需要自体は大きいので、次第に景気が良くなり、住宅ローンさえつくようになれば需給が締まり動き始めるのは目に見えているので、そういった意味でもバンコクのコンドミニアムは来年、再来年あたりが、底値買いのチャンスだろうと思っています。

ただし、カシコン銀行経済研究所もいっているように、今回の不況はV字回復というよりも、U字回復で時間をかけながら回復するということです。
コロナの経済全体へのダメージがかなり大きいだけに、長い時間をかけて戻ることになりそうです。

従って、不動産市場についても、かつての大洪水やクーデターの時のような一時的な不況による短期リバウンドは、今回は期待しない方がよさそうです。



タイランドエリートカードで不動産市場を活性化?(その2)

エリートカード3
この記事によれば、まだ初期段階ではあるものの、500万バーツ(1,800万円)以上のコンドミニアムを買った人には最長5年間タイに住めるビザ、1,000万バーツ(3,600万円)以上の物件なら最長10年のビザ発行を検討しているらしいです。

従って、もしこの新ルールが実現すれば、中国人だけでなく、日本人や欧米人の間でもロングステイ希望者の間で一挙にコンドミニアムに対する需要が高まるのではないかと思います。

もっとも、これがゆくゆくはエリートカードの会員でなくても適用されるようになれば、逆にエリートカードの価値が半減してしまうかもしれませんが...。

いずれにせよ、500万バーツであれば金額的に我々のようなミドルクラスでも手が届くので大いに食指が動きます。それに、来年あたりコンド市場がいよいよ底値圏に入ると思われることもあり、キャピタルロスのリスクは低く、物件選びさえ間違えなければ、特定事業税のかからなくなった5年後に売却してゲインが取れる可能性も十分あります。

普通ならこんなビザは出ないのでしょうが、今はタイのGDPの1割近くを占めるともいわれる不動産業界が窮地にあるので、その救済策でもあり、ある意味、50歳未満の人にとっては不動産の底値買いと長期ビザ取得のダブルチャンスなのかもしれません。

ただし、1,000万バーツで10年というのは、すでに期間10年の投資ビザの制度があるので、あまり魅力はありません。わずか500万バーツで5年というところに魅力があるのです。

エリートカード4
ところで、この不動産購入に関するメリットとは別に、エリートカード自体はどんな人にとって価値があり、どんな人にとってはないのかちょっと調べてみたのですが、結局、滞在期間以外は大したメリットがなく、以下のような結論になるようです。

Is it worth It?

The answer totally depends on you. If you‘re able to afford 8,333 baht a month and live hassle-free with this visa, then it’s totally worth it with all the conveniences you get.

On the other hand, if you’re eligible for other long-term visas and don’t mind dealing with paperwork and the bureaucratic system, then the Elite Visa isn’t for you.

エリートカードの価値

その人次第であり、ビザ申請などの面倒な手続きをスキップするために、月額8,333バーツの出費が気にならない人にとってはその価値がある。

一方、50歳以上でリタイアメントビザを取る資格があったり、他のロングタームビザが取得できて、しかもその申請手続きのためのペーパーワークや官僚的なシステムに振り回されるのが嫌でなければ、エリートカードを購入する価値はない。


これに説明を付け足すとすれば、私の知人で夫婦でバンコクにやってきた人がいます。本人は50過ぎで簡単にリタイアメントビザを取れたのですが、奥さんがまだ40代ということで、奥さんには5年のエリートカードを買ったそうです。

これがマレーシアのMM2Hであれば、自分が住む不動産を買えば、家族全員にビザが発行されるので子供も連れて移住できるのですが、タイのリタイアメントビザはこれができません。そういう意味でエリートカードには価値があります。

また、プラカノンやオンヌットに多く住む、ITを駆使してタイで働く外国人デジタルノマドたちにとっても、1か月わずか8,333バーツ(3万円)で合法的にタイに住むことができるというエリートカードは非常に価値があります。

著書で「増加の一途、外国人デジタルノマドを狙え」と題して、最近増えているフリーランスのITエンジニアのことを書きました。その中で例として挙げている30代の日本人ITエンジニアは月収が40万円~50万円あり、やはりエリートカードを買ってトンローに住んでいましたが、このくらい収入があれば、バンコクの方が日本より物価が安いし住みやすいことを考慮すれば、月に3万円は安いものです。

一方、50歳以上で、80万バーツ(280万円)の貯金をして保険料の低額な健康保険にさえ入れば、ジェンワタナーで半日で簡単に取れるリタイアメントビザのために、50万バーツものお金を使うのはもったいないと考える人にとっては、エリートカードはその価値がないことになります。

リタイアメントビザの取得は複雑で発行されないケースも多々あると書いてあるサイトもありますが、私の経験ではそんなことは全然ありませんでした。日本で取ろうとすると集める書類が多く結構面倒なようですが、タイで取れば難しいことはありません。

それに、バンコクにはリタイアメントビザの取得をサポートしてくれる業者も数社あり、そこに頼めば15,000バーツほどで面倒な書類作成や手続きをサポートしてくれるので、コスト的にはこちらの方が全然割安です。

ただし、来年からこの期間5年のエリートカードは60万バーツに値上げされるようですが、結局、自分が50歳以上かどうか、また、50歳以上であっても申請手続きや毎年の更新は面倒で、どうしても嫌だと思うかどうかの問題だと思います。



タイランドエリートカードで不動産市場を活性化?(その1)

エリートカード2
6万ユニットを超えるコンドミニアムの販売在庫、その中でも「危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場(その2)」で書いたように、竣工しても引取り手のいない完成在庫が急速に積み上がる中で悲鳴を上げている不動産業界ですが、タイ政府に対して外国人バイヤーを増やす政策を嘆願しています。

昨年初めの頃までは、各デベロッパーはミドルクラス以下の国内実需層にターゲットを絞って、郊外で100万~200万バーツの廉価なコンドミニアムを次々と開発していたのです。しかし、今年に入ってコロナによる経済不況が襲い、ミドルクラスの多くが失業したり収入が激減した結果、金融機関の住宅ローンの却下等でこのセグメントもキャンセル続出となり、さっぱり売れなくなってしまいました。

一方、もともと転売目的が多かったアッパーミドルクラスや富裕層の投資家層の間でも様子見が続いているので、国内での販売ターゲットがもうほとんどいなくなってしまったわけです。

そこで最近、「苦戦が見え隠れするザ・エッセトンロー」でも書いたように、シンハーが100社ものエージェントを使って、もう一度外国人に売り込もうとしていますが、これはどこの大手デベロッパーも状況は同じで、こうなったらもう外国人しかいないということで、一刻も早く中国人を中心とする外国人バイヤーが戻ってくるのを心待ちにしているわけです。

そこで政府も不動産業界からの嘆願に沿ったかたちで、まずは比較的裕福な会員が集まるエリートカードの保有者にコンドミニアムを買ってもらおうと検討しているようです。まだ何も決まったわけではないということではありますが、今後どんなプランが発表されるのか興味深いところです。

ちなみに、以前「政府はまたもや非常事態宣言の延長へ!(その1)」の中で、「この2か月間で、期間5年のタイランド・エリートカードを取得した人が急増したそうです。つまり、どうしても母国に帰れない、もしくは帰りたくない外国人にとって、このカードは最も手っ取り早くタイに合法的に居残ることができるライセンスだったわけです」と書きましたが、カード会社の発表によると、このエリートカード購入者で一番多かったのは中国人だそうです。

エリートカード5
さて、今回ターンセータギットに載った記事では、政府は来年のタイへの資金流入や収入増のために、次の4つの目標を立てています。

1. EECに関して外国からの投資の呼び込み
2. 外国人観光客の誘致
3. タイの不動産を買う外国人投資家に長期ビザを発行する新ルールの制定
4. 富裕層の観光客を誘致し多くの消費を促す

そこで、まずはそのとっかかりとして、エリートカード会員に対し、タイで不動産を買ってもらえば特別な権利を付与するということを検討しているとのことです。

どんな特権かは、現時点では明確ではありませんが、ゆくゆくはエリートカード会員だけでなく、
マレーシアのMM2Hビザのように、タイでセカンドホームを買った人には、長期で滞在できるビザを出すことを検討しているようで、タイに住む日本人にとっても興味深いのではないかと思います。

次回に続く

  

苦戦が見え隠れするザ・エッセトンロー

エッセトンロー1
トンロー駅前のエッセの売行きが悪くて、2017年11月のプリセールから2年経った昨年末でもまだ販売率が6割弱と聞いたことがあるのですが、それが今でも7割に達してないようで、シンハーエステートのこの1年間の苦戦が透けて見えます。

コロナの影響でどこもキャンセルが出ているのはわかりますが、スーパーラグジュアリーの代表格ともいえるエッセがこんな状態では、トンロー、プロンポン、アソークで2017年以降に売り出されたラグジュアリークラスはどこも苦戦が続いているのだろうと思います。

著書でも書きましたが、2016年に始まったラグジュアリーブームは、国内実需の層が薄く
市場自体が小さかったことから、あまり長続きせず、2017年後半には既にブームは終焉を迎えつつありました。このエッセはそんな中で売り出されたこともあり、ちょっと売り出すタイミングが悪かったわけです。

また、以前「損切りが始まったLaviqは要注目!」で、トンロー駅周辺で価格的にこなれてきたLaviqの方を推薦しましたが、この中で私は以下のように書いています。

laviq3
最近、BTSの車窓から見える竣工したばかりのLaviqのモダンなルックスに興味を持ち、いろいろと調べたのですが、このプロジェクトはなかなかいいと思います。
もし、トンローで底値買いを狙っているのであれば、いよいよ引渡期限が迫り、投売りも出てきつつあるので、このLaviqはこれから要注目だと思います。
特に、トンローはこれから駅周辺や偶数側が住宅地としてのステータスを上げてくると私は思っているので、トンロー通りの奥に入って行って30万バーツ/㎡を超えるようになってしまったバカ高いスーパーラグジュアリーを買うよりも、このLaviqのある駅周辺やスクムビット36や38の方が買いだと思っています。

当時、このLaviqが20万バーツ/㎡以下で予約権の投売りが出ていたのですが、今はもう出てないので引渡し期限が過ぎたのだろうと思います。従って、もし読者の中でこの時に19万バーツ台で買った人がいれば、今でも決して悪くない投資だろうと思います。

一方、これに比べると、エッセトンローはさすがに
今の時期で35万バーツ/㎡を優に超える値段では難しいだろうと思います。上のターンセータギットに載ったインタビュー記事ではシンハーの住宅開発の役員が自信満々のようなことをいっているのですが、あれは単なるポジショントークだと思った方がよさそうです。

エッセトンロー2
実は、面白いことにThe Nationでも同じ記者会見に関する記事が出ているのですが、そんな提灯記事ではなく、この記者はプロジェクトの実態を書いているように思います。

Singha Estate plans to work with over 100 agencies to sell condos to foreigners, aiming to achieve sales of 70 per cent of units by year-end.
シンハーエステートはブローカー100社に販売委託して外国人に対してマーケティングし、ザ・エッセの販売率を70%に持っていく計画である。

Natthawut Matthayomchan, chief property development officer at Singha Estate Pcl, said that the impact of the Covid-19 outbreak had greatly reduced the company’s sales which relied heavily on foreign customers. “As foreigners are not yet allowed to enter Thailand, we are planning to invite over 100 property agencies, both big and small, to help sell our condos to foreign customers who are interested in buying condos in Thailand” .
シンハーの開発部門の役員によると、コロナの影響で、外国人購入者に大きく依存する同社のプロジェクトは売上が落ち込んだ。また、外国人は今もタイへの入国が許されていないことから、これから大小100社の仲介業者に販売委託して、外国人をターゲットにマーケティングしていくことを計画している。

Due to the outbreak the company has also adjusted the ownership transfer target from Bt9 billion to Bt4 billion. “In the first half of 2020 we have achieved over Bt1 billion worth of ownership transfer from our customers, 40 per cent of whom are foreigners” 
コロナの影響で落ち込んだ売上により、当社は今年の引渡し目標を当初の90億バーツから40億バーツに引き下げた。今年上半期は10億バーツ以上の引渡しベースの売上が達成できたが、このうちの40%が外国人購入者であった。

竣工したエッセトンローだけでも売上ベースで65億バーツのプロジェクトですが、それ以外にもエッセアソーク等もあるので、今年上半期で会社全体として10億バーツしか引渡しができてないということなのかどうかはわかりませんが...。

いずれにせよ、当初計画の90億バーツの引渡しを40億バーツと半分以下にまで下げたということなので、
資金繰りも結構大変ではないかと思います。

それとこれは余談ですが、実はこの物件のすぐ南側にフラグラントプロパティが持つ土地があります。半年ほど前に日本のデベロッパーと話していた際に、フラグラントからこの土地を買うか、どこか買いそうなところを紹介してくれといわれているという話を聞きました。既に資金繰りが厳しくなっていたのかもしれません。

フラグラントはよくスクムビット通り沿いでサークルシリーズのコンドを開発している中堅デベです。印象の薄いデベロッパーですが、確かパタヤで失敗したプロジェクトのために資金繰りが逼迫し、仕方なく4年ほど前にシンハーにこの虎の子ともいえる駅前の土地を分割して売却したと記憶しています。

そしてその残りの土地ですが、これが最近、買主が決まったのかもしれません。何でも超高層の建物がそこに建つという噂が出ているので、南側に向いている部屋はなるだけ買わない方がいいと思います。といって、西側はノーブルがあるので、東か北しか眺望が開けてないことになります。



マレーシア不動産から撤退する中国人バイヤー

MM2H
中国人がタイでコンドミニアムを買い漁っていた2017年、実はマレーシアでも同様のことが起こっていました。

マレーシアは以前「東南アジアでリタイア、人気リゾートベスト3(その3)」で書いたように、中国語が通用すること、不動産価格が安くミドルクラスでも容易に買えること、そして何よりMM2Hビザに魅力があったことから、多くの中国人ミドルクラスが自己居住を目的にセカンドホームとして住宅不動産を買ったわけです。

マレーシア:
ラグジュアリーコンドミニアムは、他のアセアン諸国に比べて価格が非常に安い。しかも、マレーシアで自己居住用不売動産を購入し、かつ生活費をマレーシアで働かなくても自己資金で賄えるという証明ができれば、マルチエントリーが可能な10年間のビザを発行してもらえるというマレーシア独自のプログラム、MM2H(Malaysia My Seconf Home)があり、東南アジアでも特に人気がある。また、このビザを取れば、同伴家族についても同じく滞在許可が出る。

ところが、最近、マレーシア政府はこのMM2Hビザの発行を凍結したのです。実は昨年の9月から11月の間も、9割のMM2Hビザ申請が却下されるという事件が起こったのですが、今回は完全に凍結です。

MM2H2
政府はこのビザの廃止を正式にアナウンスしたわけではありませんが、少なくとも当面はこのビザで移住することができなくなったわけで、特に中国政府の干渉やデモによる混乱を嫌ってマレーシアに移住しようとしていた香港の中国人などは、行き場をなくしてショックを受けているという記事もあります。


マレーシア
また、英字紙The Nationによると、既にマレーシアに移住していた中国人社会に与えた影響も大きく、MM2Hの凍結で中国人の新規購入がほとんどなくなったことや、コロナの感染を恐れて中国に戻った人もいることから、中国人の多いボホールなどの住宅は値崩れを起こしているそうです

それどころか、マレーシアに見切りをつけて、購入した住宅を損切りしてでも手放す中国人も出てきているということですが、
なぜこんなことが起こっているかというと、マレーシアで不動産を買った中国人は、その生活環境やライフスタイル、子供たちの教育のことを考えて、実際に自分たちで住む目的の人が多かったからです。

一方、タイの不動産を購入した中国人は、もともと値上り益や賃貸で利回り収入を得る投資目的の人が多く、自分で住まないのでたとえ将来、ロングステイビザや投資ビザが発行されなくなっても、不動産市場に与える影響はそれほど大きくないと思います。

もっとも、タイのコンドミニアム市場も値下りが続いているのですが、マレーシアとはちょっと事情が違っていて、GDPがマイナス8%というアセアンでも最悪の経済状況や供給過剰による販売在庫の積み上りが主な原因です。


米中戦争
ところで、興味深いのは、中国人がマレーシアを敬遠し始めた理由の一つに、南シナ海での中国の勝手な振る舞いに対して、マレーシア国民が嫌中意識を持ち始めていることがあります。さらに、最近の米中摩擦もあります。彼らは最悪米中戦争が起こった場合、マレーシアは米国側につくと考えていて、その場合、彼らは敵国民となり、ここに住んでいると危ないと考え始めているようです。あまり不動産投資とは関係ないようにも思えますが、カントリーリスクというやつです。

そういう意味では、南シナ海をめぐってフィリピンやベトナムも嫌中意識があるので、中国人はたとえ自分で住まないにしても、これらの国での不動産投資は積極的には買わないように思います。

ところで、ではタイは大丈夫かというと、タイも中国側にはつかないでしょうが、この図で見てもわかるように、タイには米軍基地もないし、今のところ、特に嫌中意識もないことから、フィリピンやシンガポール、マレーシアよりも中立的な立場でいられます。

従って、中国のJuwai.comによれば、今でも中国人投資家の間ではタイの不動産が一番人気があります。
また、タイの不動産業界もそれを知っていて、中国人投資家が戻ってくるのを心待ちにしていることもあり、タイとマレーシアではかなり状況が違うようです。



危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場(その2)

住宅引渡推移
これは、REICが出しているこれまでの竣工引渡ユニット数の推移と今後の予想で、オレンジ色がコンドミニアム、青がその他の戸建てやタウンハウス等のネーウラープと呼ばれる低層住宅です。

ここで、少なくとも2020年はあと3か月もないことから、今年の数字はほぼ予測が可能で、今後いくら年末のキャンペーンがうまくいっても限られた期間ではそう大きくは変わらないはずです。

2017国別シェア

ところで、今年竣工したコンドミニアムは3~4年前に売り出されたものがほとんどですが、当時は香港経由を含めて中国人投資家が爆買いしていたこともあり、デベロッパーもいけいけで年間6万ユニット近い大量の新規プロジェクトを売出していたのです。

しかし、今年、それらがいざ竣工引渡となって実際に移転登記がされた物件数(オレンジ部分)が2019年に比べてもかなり減っています。つまり、少なくともその差が、キャンセル等で引渡しができずに完成在庫としてさらに積み上がってしまっていると考えられます。

年末値引きセール
しかも、REICは2021年は第4四半期になると、需要が増えて市場は上向くと予想しているわけですが、コンドミニアム市場が特にコロナの第2波や外国人投資家の動向に大きく影響される特性があることから考えて、1年先の予想はあまりあてになりません。

また、以前「2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!」で書いたように、このREICの楽観的予測に対して独立系調査会社のAREAが異論を発表しましたが、どちらが正しいかは来年の半ばぐらいになってやっと先が見えてくるのだろうと思います。

ただ、REICもAREAも共通していっているのは、今は不動産市場全体に危険信号が灯りつつあるということです。

従って、今のような超大型の台風が接近しているようなときに、果敢に底値買いをするつもりで新しく購入したり、誰も買おうとしていない市場で、手持ち物件を無理に売りに出したりするのはやめておいた方がいいということだと思います。

在庫一掃キャンペーン

この絵のように、今、大手デベロッパー各社はこれでもかとばかりに年末の追込みキャンペーンを展開していますが、私には全然興味がありません。彼らの在庫一掃戦略に乗せられて買ったら、来年になってもっと大きな値引が出てきたなどということも大いにありうるからです。

同様に、住宅ローンの与信基準の緩和や税金の減免等が行なわれなければ、タイ人も積極的に買おうとはしないはずで、多分、今回のキャンペーンでも大して売れないと思います。

特にプレビルドの購入予約権などは、万が一デベロッパーが破綻したりして開発を中止してしまえば、その予約契約書はただの紙切れになって、それまでに払ったダウンペイメントも失ってしまうリスクがあります。

私は普通の個人投資家なので、不動産業者のように売買仲介料を稼ぐために、無理にそれでも買った方がいいとか、今は売った方がいいとかいう必要もありません。むしろ、嵐が去って市場が底を打ったと確信できたときに動くので十分間に合うはずだと思っています。



危険信号が灯り始めたコンドミニアム市場(その1)

販売在庫の積み上がり
年初からデベロッパー各社は販売在庫、特に完成在庫の一掃を目標に値引き合戦や、キャンペーン合戦を続けてきましたが、結局、販売在庫は増えるだけで減らなかったという結果になっています。

政府系銀行の不動産調査部門であるREIC(Real Estate Information Center)の発表によれば、大手デベロッパー各社は、年末に向けて特別値引キャンペーン等で消費者の住宅購買意欲を刺激し、販売在庫を一掃しようと懸命であるが、最悪、住宅全体の販売在庫は319,000ユニット、金額にして1.4兆バーツ(約5兆円)にも上る可能性があり、政府や金融機関のさらなるサポートが必要とのことです。

実際、今年前半はコロナの影響もあってほとんど住宅の販売が進まず、上半期の終わりで293,319ユニット、金額で1.32兆バーツ(4兆6,000億円)もの販売在庫が残ったということで、さらにその後に新規で売り出されたものやキャンセルされたものを入れると、最悪の場合、年末にはもっと増えて319,000ユニットもの販売在庫が残るという予想です。ただし、これはコンドミニアムだけでなく戸建て等を含めた住宅全体の数字です。

特にコンドミニアムの場合、この中に占める完成在庫の比率が高くなるので、デベロッパーの資金繰りを圧迫することになり、REICはこのままでは不動産業界全体が危険水域に入ってしまう可能性があるというコメントをしていて、来年の不動産市場はまさに波乱があるかもしれません。

"The key point is the government should start doing something. If the scheme proves successful, other regions can follow this path", said Chanond Ruangkritya, president and chief executive of SET-listed Ananda Development.

アナンダCEO談:外国人投資家誘致のポイントは、とにかく政府がすぐに何かを始めることだ。そして、そのスキームが正しければ、それを見たほかのエリアも後に続く


こんな状況でもあり、学生デモだけでなく、タイのGDPの1割をも占めるといわれる不動産業界からも優柔不断で対策が遅れ気味の政府に不満がたまっていて、以前、「外国人投資家誘致策、とにかく政府は何か始めるべき!」で、アナンダの社長が上のようなコメントで、外国人投資家の激減で苦しむ中、政府の無策に、まずは何か行動を起こしてくれと苦情をいっていました。

また、数日前、大手サンシリの社長もデモに対する政府の強権行使に対し、学生側を援護していましたが、実際のところは、何もしない現政府に対する不満が不動産
業界の一致した意見なのではないかとも思います。

次回に続く



そろそろタイバーツは売りのタイミング?(その2)

ドルバーツ5

ところで、これは投資家のジム・ロジャースが日本人にこれまで何度もアドバイスしていることですが、「日本円資産だけでなく、もっと外貨資産を持つべき」というのには私も賛成です。

しかし、外貨資産とはいえ、今のタイバーツでいいのかといえば、私は基軸通貨である米ドルのような安心感はないと思います。特に今回のコロナによる景気悪化で、タイの2020年のGDPはタイ中央銀行で8%、カシコンリサーチなどは10%のマイナス成長になると予想している中、「タイのGDP収縮は世界でワースト3(その1)」で書いたように、これは世界でも最悪のレベルです。

従って、今のようなバーツ高というのは、そう長くは続かないのではないかと私個人は思っているし、一方で
アメリカ経済は次第に回復が見えてきつつあることもあり、今はタイバーツを売って米ドルへシフトするチャンスではないかと考えています。

また、私の場合、本来はバンコクでの不動産投資が主な収益源なのですが、「不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番」で書いたように、今回の不動産不況は相当深刻で、ほとんど先が読めない中、市場回復にまだかなりの時間がかかると思っています。

従って、タイで再投資することはしばらくないと考えているので、今はとにかく
将来のバンコク不動産の底値買いに備えて、昨年売却した投資物件の売却資金を米ドルに換えて海外で定期預金にして運用しています。

東南アジアの場合、それでも5%の預金利息が付くので、今のような不動産市場の潮目の変化がなかなか読めない投資家にとっては、バンコクで不動産投資をするよりも安全かもしれません。

ドルバーツ1

ところで、日足ベースでのドルバーツの動きを見ると、ここ半年ほどボックス圏に入っているように見えるのですが、10月10日にバーツが急騰し、米ドルが一気にボックス底値圏まで売られました。

私自身は、先に書いたようにそろそろドル高バーツ安が始まるのではないかと考えるようになっていたので、様子を見てもっとタイバーツから米ドルにシフトするつもりだったこともあり、すぐにオンラインで手持ち資金の一部を米ドルに換え、海外にある米ドル定期預金口座に追加で送金したところです。

ただし、為替相場はどんなトレーダーでもしょっちゅう予想が外れるし、不動産市場の先を読むよりもはるかに難しいので、案外、さらにバーツ高が進む可能性も大いにあります。

もっとも、外国人がタイで不動産を買うには「購入代金の全額を海外から外貨で送ってきた資金で支払わなければならない」というルールがあるため、私の場合は、将来の再投資に備えていずれにせよ一旦資金を海外へ移動しておく必要があるという裏事情もあって、米ドルに換えて運用しているのであり、無理して余計なリスクを取る必要のない年金生活者やリタイアメントビザでセカンドライフを過ごしている人にはお勧めしません。



そろそろタイバーツは売りのタイミング?(その1)

ドルバーツ3

つい先日も「中国人投資家が投げ捨てたキャンセル物件が続々と…」と題して外国人、特に中国人投資家による、バイジョーングと呼ばれるコンドミニアム購入予約権のキャンセルが積み上がってきていると書いたところですが、その理由は物件価値の値下りだけでなく、為替にもありそうです。

このグラフは昨日時点のものですが、中国人がタイの不動産を爆買いしていた2016年から2017年当時に比べて、今の人民元はタイバーツに対して1割から2割下落しています。

従って、今ここでデベロッパーから竣工引渡しを受けてしまう、つまり75%の残金を今の為替レートで一括支払いすると、物件の値下りだけでなく、
将来人民元高が始まれば大きな為替差損をも被ってしまう可能性があるわけです。つまり、物件価値が2割下がって為替差損も2割なら、単純計算で4割もの損になります。

これではなかなか損を取り戻すのは難しいだけでなく、まだ値下りが続く中、不動産市場の底が見えてない今は、ダウンペイメントを捨ててでも傷口がさらに広がるリスクを避けて、売買契約を解約した方がよいと考える中国人投資家は多いはずです。

特に最近の中国経済は、鉄鋼の国内需要が増えて輸出に回さなくなりつつあるという報告も出ているように、順調に回復が進んできているようで、今後は次第に人民元高になるのではないかと思います。

ドルバーツ4

一方、これは日本人投資家にとっても為替差損という意味では同じなのですが、ただし、日本円が無茶苦茶に高かったのは1万円を4,000バーツ以上で交換できた2012年初めまでです。

しかし、当時プレビルドで不動産を購入した人は、2015年前後に竣工引渡しを受けているので、今回の大量キャンセルには関係がありません。むしろ、クーデター後に始まった急激な価格高騰で、含み益が出ている可能性もあります。


今、引渡しに応じずキャンセルが続出しているのは、大半が2017年前後にプリセールで売り出されたプロジェクトです。従って、その頃にこういった物件を買った日本人投資家にとっては、当時の交換レートである0.31から0.34バーツから見れば、為替変動はほとんどゼロか最大でも1割程度であり、やはり不動産市場の下落が主なキャンセルの理由だろうと思います。

次回に続く




2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その3)

完成在庫予測
ところで、この表を見るとAREAの調査では、現在の販売在庫である90,486ユニットの内、2020年には22,622ユニットが竣工します。今の販売不振だけでなく既契約のキャンセルも続出する中、2019年以前に竣工している在庫と合わせて約29,000ユニットもある完成在庫が、年末までの半年で急激に減ることは思えず、2021年に入っても依然2万ユニット以上が完成在庫として残っていると思います。

そして、2021年にはさらに28,051ユニットが竣工します。「不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番」で書いたように、REICも2021年は依然販売在庫が増え続けると予測していますが、完成在庫もさらに増えることになります。

しかも、この表には今後新たに売り出される新規プロジェクトは入っていないので、それらを含めると、実際には2022年と2023年に完成するユニットはもっと増えます。

従って、
AREAが指摘するように、販売在庫ユニット数を正しく把握して新規供給を抑制させなければ、いつまでたっても供給過剰の問題は解決されず、市場回復はさらに遅れることになります。

ところで、先のREICの予想では、販売在庫は増え続けるものの2021年末には住宅市場は回復し始めるというのですが、デベロッパーにとって最も資金負担のかかる完成在庫が増えるにもかかわらず、市況が回復するというのはどうも納得がいきません。

やはり、不動産市場が回復を始めるのには、早くても2022年以降のように思えるし、むしろ、AREAが指摘するように、今も市場が低迷する中、今後さらに一段と市況が悪化するようなことが起これば、途中で開発がストップしてしまうプロジェクトが出てくる波乱もあるという話の方が説得力があるように思います。

タイの住宅不動産の位置

とはいうものの、タイはやはりアセアンの中ではその経済規模や地理的な観点からハブともいえる国であり、その首都バンコク不動産の投資対象としての魅力は、不動産投資で最も重要な指標である平米単価、利回り、そして過去の上昇率を周辺各国と比べた場合にバランスが取れていることだと思うのです。

すなわち、バンコクはデベロッパーによる供給過剰という大きな問題を抱えているものの、国内需要だけでなく外国人需要も大きいので、今後供給を抑えていけば解決できますが、香港やシンガポールのように平米単価が既に高すぎる、カンボジアのように利回りはそれなりに高いものの、経済規模が小さいので不動産市場の規模も小さくて脆弱などと考えていくと、個人投資家にとって、比較的安定したアジアでの適格な投資対象国はある程度限定されてきます。

そこで、これはという投売物件を見つけた場合、底値買いをするのは悪くないとは思うのですが、今の状況では、できれば完成物件を買った方がいいし、開発途上のプロジェクトの購入予約権を買うのであれば、ほぼ竣工が近づいているコンプリーションリスクの小さいものを選ぶべきです。

また、いくら安くても資金的に体力のない中小デベロッパーは、苦しくなってくると手抜工事をしたり施工不良に対するアフターフォローもしなくなるので、評判のいい大手デベロッパーのプロジェクトに絞った方がよさそうです。


もっとも、こんな状況では先が全く読めないこともあり、やはり今は特別なチャンスにでも出会わない限り、無理せず来年までは何もしないことを私はお勧めしますが...。



2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その2)

販売の内訳
ちなみに、コンプリーションリスクについてですが、日本では国交省がプレビルド、つまりオフプランを認めてないので、購入者がデベロッパーに払った手付金はすべて保全され、こういうリスクはありません。

しかし、これに慣れていない日本人はよく違いがわからないと思いますが、プレビルドとは完成しないリスクであるコンプリーションリスクを取って割安に予約権を買う完成物件の先物買いです。つまり、デベロッパーの開発リスクを一部負担して開発に協力するわけですから、プロジェクトが破綻し中止になってからそんなことは聞いてないといっても仕方がないので注意が必要です。

まさに今起こっているように、最初に割安に買ったからといっても竣工引渡しまでに必ずしも値上りするとは限らず、数年前に値上りを狙って多くの投資家達がプレビルドの購入予約権を買ったものの、市場悪化で値下りした結果、泣く泣く切り捨てることも起こりえます。

この場合、デベロッパーは購入者のダウンペイメントを差し押さえて収益にできるのでまだいいですが、今のように最初からあまり売れなかった場合など、銀行が途中で開発ローンを止めてプロジェクトが破綻してしまうこともあるわけです。

そこで、開発中止によりダウンペイメントを失うことを防ぎたければ、AREAがいっているようにエスクロー口座といってデベロッパーが勝手に引き落とせない口座にダウンペイメントを積むのが安全ですが、政府が動かなければなかなかそうもいきません。

従って、自己居住目的の住宅を買うタイ人には用心深くて完成した物件しか買わない人もたくさんいます。完成物件には日照や通風、間取りの確認、施工面で隅々まで内部をチェックできるというメリットもあります。実際、私もこれまでにバンコクで6物件に投資してきましたが、そのうち、プリセールで買ったプレビルドは3物件で、他の3物件は築浅中古でした。

次回に続く



2021年、バンコク住宅市場は回復か大波乱か!(その1)

AREA対REIC
これは最近、不動産調査鑑定会社のAREA(Agency for Real Estate Affairs)が発表した、現在及び将来のタイ住宅市場での販売在庫に関する予測ですが、政府銀行系の調査機関であるREIC(Real Estate Information Center)が出している数字と比べると大きく違っています。

特に、2020年半ば時点での販売在庫数については、AREAの384,000ユニットに対し、REICは293,000ユニットと24%も少ないのです。その結果、REICの数字は今の過剰供給の問題を過小評価しているため、関係者をミスリードしてしまう危険があるというのがAREAの主張です。

AREAは全てのプロジェクトを調査していったようで、その数字には相当な自信を持っているみたいですが、政府や銀行、デベロッパー等が市場の実態を正しく把握していなければ、もっと販売在庫の処分を促し、新規供給を抑えるべき時に、その判断を狂わせてしまうリスクがあるというわけです。

もっとも、政府系のREICとしては、あまり問題を大きくしたくないということでバイアスがかかっているのかもしれませんが...。

一方、金額ベースでは、今年末及び来年の販売在庫ついて逆にREICの方が多くなっていますが、これはREICが使っている住宅平均価格が140,700ドルと非常に高く、AREAが実際に調査した平均価格117,064ドルより2割も高いのが原因の1つであり、もう一つはREICはデベロッパーが今後も新規プロジェクトの開発を減らすとは想定してないからということです。

販売在庫
そして、何より心配なのは、現時点でのコンドミニアム開発進捗状況です。AREAによれば、コンドミニアムの開発で、既に8割以上完成しているプロジェクトは、大きく市場が崩れても完成させてしまった方が得なので、途中放棄のリスクはあまりないものの、例えばまだ開発が始まったばかりのプロジェクトは、今後市場がさらに悪化したりすると、途中で中止になる可能性があるということです。

例えば、この表の中で現在の販売在庫である90,486ユニットの内、実に22,704ものユニットがまだ全工程の2割以下しか開発が進んでいない初期段階です。従って、9,002ユニットが2022年に、14,478ユニットが2023年に竣工予定であり、もし来年にコロナの第2波等で更なる市場混乱が起これば、建設途中で放棄されるプロジェクトが出てくる可能性があるということです。

コンドミニアムというのは1軒ずつ建てていく戸建て開発などと違って、一旦着工すると全体が竣工するまで工事を止められないので、市場悪化や売れ行き不振で銀行に開発ローンが止められた場合など、途中放棄ということも起こります。実際、1997年のアジア通貨危機の時には、完成されないまま放置されてしまったプロジェクトがいくつもありました。

こうなってしまうと、購入者にはそれまで払ったダウンペイメントは戻りません。これをコンプリーションリスクというのですが、プレビルドにはつきものです。そこでAREAは、最悪の場合に備えて、購入者を保護するためにエスクロー制度の導入を主張してもいるわけです。

次回に続く

中国人投資家が投げ捨てたキャンセル物件が続々と…

外国人のキャンセル2
最近、不動産仲介会社のREMAXが外国人投資家向けと題して、Foreign Quota(略称FQ)物件の特別セールを始めました。外国人が購入していたキャンセル物件の特別セールなのかもしれません。

ノーブル、サイアミーズ、スパライの3社のデベロッパーから特別委託されて売っているようですが、ノーブルとサイアミーズは今、外国人だけでなく、タイ人からもかなりのキャンセルが出ているようなので、これまでにこのブログでも書いてきたように、結構資金繰りが厳しいのではないかと思います。

スパライだけは大手の総合デベロッパーであり、そういう問題はないと思いますが、このオリエンタルというプロジェクトは25階建が2棟、35階建が2棟と規模が非常に大きいだけでなく、スクムビット39の日本人が特に多く住むエリアということで、2017年のプリセール時には中国人投資家が多く買っていましたが、そのFQのキャンセルが多いのだろうと思います。

外国人のキャンセル1

さて、ここで売り出されているプロジェクトを見ると、これらの多くが2018年後半から始まったコンド市場のダウントレンドにより、最初のプリセール価格より今の市場価格の方が下回っているように思えます。

今のようなマーケット下落時は、タイ人の実需がメインである郊外プロジェクトの方が底堅く、むしろ外国人の投資対象であったプロジェクトの方が値下りも大きくなる傾向にあります。

例えば、ノーブルプルンチットは第一期のものはまだいいですが、最終期のものは20万バーツ/㎡を超えていました。しかし、今の市場価格はそれを割り込んでいるので、そういうのがデベロッパーの販売在庫として売れ残っているのではないかと思います。

また、今も覚えていますが、販売開始と同時に即日完売したノーブルリコールは、平均18万バーツ/㎡がプリセール価格でした。しかし、これも新築未入居とはいえ、今の市場価格はこれ以下に落ちているように思います。従って、そのすぐ隣に開発されたノーブルBE19にいたっては、プリセール価格が22万バーツ/㎡前後だったので、これを買った人にはかなりの含み損が出ているはずです。

今回の特別セールが本当に安いのかどうか調べてないのでわかりませんが、デベロッパーが自分で売らずに外国人に限定してエージェントに販売委託するということは、値引が大きいので既存の買主からのクレームを恐れてのことかもしれません。

本来なら、このようにプリセールを下回るぐらいまで価格が落ちてきたら、そろそろ底値買いで入っていくべきなのです。しかし、GDPのマイナス幅でいえば、タイの不動産市場崩壊で始まった1997年のアジア通貨危機をも超えた今回のコロナ不況は、全く先が読めません。

10月から政府が始めた特別観光ビザも、これでもし感染が広がればまたロックダウンや感染2次波が始まる可能性もあるので、コンドミニアム市場も大きな影響を受けます。

それもあって、今は完全な買い手市場であり、いくら安くしても売れなければ市場価格はもっと低いことになり、特に中古物件の相場は闇の中というのが実情です。

2017国別シェア

いずれにせよ、これらのプロジェクトには、2016年から始まり2017年にピークを迎えた中国人投資家の爆買いで買われた物件が多く、その分キャンセル物件も多いはずです。

タイ人の場合は最初は投資で買っていても、うまく転売ができなければ自己居住に切り替えることができるので、ダウンペイメントを捨てて損切りするのを避けようとする人も多いのですが、中国人バイヤーは基本的に投資目的だけなので、今も続くダウントレンドの中、どこまで価格が落ちるかわからない空室物件を抱えたまま長期間塩漬けにするよりも、さっさとダウンペイメントを切り捨てて撤退し、次のチャンスを待つという人が多く、この時期に中国人に買われた物件は、特にキャンセル比率も高くなります。

ちなみに、私が年初に上梓した著書「バンコク不動産投資 2020年度版」では、今年は底値買いのチャンスが来ると書きましたが、その後、想定外のコロナ不況が不動産市場を直撃し、その予想ははずれてしまいました。

そこで、先日「不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番」でも書いたように、今の私は、買うのも売るのも無理して動かないのが一番、つまり「休むも相場なり」で少なくとも今年いっぱいは様子見を決め込むのがベストだと考えています。

では、次回は独立系のAREAが、前回ここで書いた「来年末には市場が回復するが販売在庫は増え続ける」という政府系の調査機関であるREICのデータや予測について、恣意的だと真っ向から反論している最近のレポートについて書いてみます。

AREAはこれからのコンドミニアム市場でプロジェクト破綻の危険性や市場回復の予想について書いているのですが、私もどちらかというとこっちの話の方が真実味があると思っています。

不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番

市場回復時期
最近、政府住宅銀行のリサーチ部門であるREICからこの写真のようなプレス発表があったのですが、いつになったらタイの経済不況が底を打つのか見当もつかない状況なのに、不動産市場が回復を始めるのは来年末だとかいわれても、ほとんど説得力がありません。

外国人の入国規制が緩和されて大幅に伸びなければ、観光客だけでなく、タイのコンドミニアム市場で大きなシェアを持つ外国人投資家も戻ってきません。特に
今のような時期は、どんな投資家も慎重になっているので、物件やロケーションを自分の目で確認しないで海外不動産を買う投資家など、ほとんどいないだろうと思います。

REICもどういう根拠でこんな結論になったのか詳細がわかりませんが、私は
今のような状況では、コンドミアム市場が底を打つのは再来年以降になる可能性も十分あると考えています。

そんなこともあり、このブログでも最近はあまりコンドミニアムに関する記事を書かなくなり、むしろ、もっとマクロ的なタイの政治や経済について多く書くようになってきています。ファンダメンタルズともいえる投資環境がまずよくなってこないことには、不動産市場の回復はないと思っているからで、「休むも相場なり」で様子見とすべき状態がまだしばらく続くと思っています。

だからといって、絶対何もしない方がいいというわけではないのですが、そのためのクライテリアとして、これから竣工を迎えるロケーションのいい物件で、プリセール価格から2割以上安く買える掘り出し物件であるとか、もしどうしても逆張りで不動産投資がしてみたければ、「ハードアセットがダメなら株式市場で不動産投資」で書いたように、今は「出口」がほとんど読めなくなっている現物投資よりも、換金流動性の高い不動産会社の株を買う方がリスクが低いのではないかと思っています。

いずれにせよ、REICの予想のように、少なくとも来年末ごろまでコンドミニアム市場は回復しないという意味では賛成で、今はとにかく、消極的に様子見をするのが一番だと考えています。




ナイツブリッジ・プライム・オンヌットの底値買い(その3)

ナイツブリッジ オンヌット3
ところで、このプロジェクトはほとんどのユニットが22㎡
26㎡、31㎡であり、たとえ中堅企業の日本人駐在員であっても狭すぎて借りないサイズです。もしそういう日本人駐在員をターゲットにするのであれば、数は少ないですが、高層階に55㎡の2ベッドルームもあります。
ナイツブリッジ オンヌット7
ちなみに、この中でもし私が買うとすれば
スタジオタイプか31㎡の1ベッドルームですが、賃貸のことを考えると、1ベッドルームの間取りは使い勝手が悪そうで、むしろスタジオの方が3メートルは開口部があって使いやすく、家賃もボリュームゾーンの13,000バーツ程度で収まるので貸しやすいと思います。

一方、26㎡の1ベッドルームタイプは間取りにかなり無理があるので、敬遠しておいた方がよさそうです。大体、タイ人だけでなく外国人単身者も自分で料理などほとんどしないので、ただでさえ狭い開口部にわざわざキッチンを持ってくるのは非効率です。

また、55㎡の2ベッドルームは家賃が3万バーツ以上になるので入居者が駐在員に限定されてしまうことになります。もっとも、この高層階の55㎡が11万バーツ/㎡前後で出てきたら、希少価値があるし、
特に自己居住用なら問題ないので買いかもしれませんが…。

ところで、このプロジェクトは私も3年前のプリセール時に見に行きましたが、たしか
平均価格は14万バーツ/㎡台半ばだったと思います。従って、前回、参考として載せた投売り広告を見ても、ざっくりいって20階以上のユニットを11万バーツ/㎡前後で底値買いできれば、まあ損はしないだろうと思っています。

ただし、私もそうなのですが、スタジオタイプをわざわざ1ユニットだけ購入というのでは、投資金額が800万円とちょっと小さく、手間がかかる割に投資効率が悪いと考える人もいると思います。

その場合、55㎡の2ベッドルームにすることも考えられるのですが、オンヌットの賃貸マーケットの特性から見て、貸しやすい22㎡のスタジオを2つ買うか、31㎡と合わせて2つのタイプを買った方がいいと私は思います。


このプロジェクトに興味があれば、「底値買いは「ขายขาดทุน」のキーワードで探せ!」で書いたように、自力でこれから根気よく探して行けば、いよいよ決済期限が近づいた売主からの投売りで11万バーツ/㎡台がもっと出てくるだろうし、指値交渉してもいいのではないかと思っています。

また、他社のプロジェクトと同様、今の市場低迷により、このプロジェクトも既に多くの購入者からダウンペイメントを捨てたキャンセルが出ているはずなので、デベロッパーは現時点で少なくとも3割前後、つまり200ユニットぐらいは完成在庫を抱えているのではないかと思います。

従って、決済期限がきても引き渡しに応じなかった購入者からダウンを没収した後、速やかに特別値引セールを始めるはずです。もっとも、やはり購入者、特にFQの購入者の投売りを狙ってプリセール価格から2割以上の値引が取って買う方が、より割安に買えるとは思いますが...。

ところで、まだ4~5プロジェクトだけではありますが、これまで私が竣工した同社のプロジェクトを実査してきた印象からいえば、オリジンというデベロッパーは施工監理があまりよくありません。つまり、ダメ工事が多いのです。

従って、たとえスタジオであっても、引渡しを受けた後に施工上のトラブルで頭を痛めるよりも「品確法のないタイ、隠れた瑕疵はこんなに恐い(その2)」で紹介したような、プロを使って竣工引受検査をしっかりやっておくことを、強くお勧めします。


ナイツブリッジ・プライム・オンヌットの底値買い(その2)

ナイツブリッジ オンヌット6
さて、著書やこのブログでも書いているように、バンコクの日本人駐在員が減りつつある中、これからは脱日本人駐在員というのがバンコクでの不動産投資のキーワードだと私は思っています。

また、駐在員であっても、最近は家族帯同が減り、単身赴任が増える中、過剰供給により空室リスクが高くなっているCBDのラグジュアリー物件よりも、単身赴任者だけでなくデジタルノマドや外国人現地採用者、タイ人アッパーミドルクラスにも賃貸できるミッドタウンで、価格も500万バーツくらいまでの物件の方が「出口」リスクも小なく狙い目だと思っています。

そういう意味では、このプロジェクトはデジタルノマドや単身の欧米人英語教師、
日本人現地採用者等が多く住むオンヌットにあり、さらにオンヌットはタイ人アッパーミドルクラスに人気ナンバー1「2019年の人気ロケーション、ベスト5(その2)」であることからも、投資物件としてのポテンシャルは決して悪くないと思うのです。

しかも、先日「タイ人も実は英語はすごく苦手(その2)」で書いたように、これから欧米人の英語教師が大増員される計画もあり、家賃の予算が13,000から15,000バーツがボリュームゾーンの彼らにとって、プラカノンからオンヌットは最適な家賃水準のエリアでもあります。

一般的にこういう人たちは車で通勤したりしないので、BTSまで徒歩圏である必要があります。また、
みんな若いので病院はそれほど重要ではありませんが、買い物や食事等の生活利便性が最重要です。

その点、最初の写真にも写っているように、
このプロジェクトの隣には大型スーパーのBIG-Cがあり、周辺にはたくさんの店やレストランもあることから、オンヌット駅前のプロジェクトに優るとも劣らない生活利便性があります。

しかも、タイ人と違って欧米人は駅まで7~8分歩くことはあまり気にしないので、この距離は何とか許容範囲だと思います。

もちろん、「そうはいってもやはり日本人駐在員に貸したい」という人もいると思いますが、そういう人は「出口」リスクが高くなりますが、「損切りが始まったLaviqは要注目!」で書いたようなトンローやエッカマイでラグジュアリークラスの投売りを買う方がお勧めです。

次回に続く


ナイツブリッジ・プライム・オンヌットの底値買い(その1)

ナイツブリッジ オンヌット1
この写真は最近竣工して既に引渡しが始まっている、オリジンプロパティの「ナイツブリッジ・プライム・オンヌット」です。

オンヌット通りでは最高層の47階、ユニット数が600という大型プロジェクトであり、
ちょうど今、このブログを書いている私の書斎から撮った写真です。逆光ではっきり見えませんが、ファサードもなかなか格好いいデザインで、しかも地型がコンドミニアムの開発にはもってこいの長方形です。

ナイツブリッジ オンヌット2
それもあって、大通りからグリーンエリアを通って少しセットバックした建物にアクセスするというランドスケーピングもなかなか魅力的です。
ナイツブリッジ オンヌット5
ただ、せっかく表面積が大きく取れる理想的な建物形状にできても、22㎡、26㎡、31㎡の3つの小さいユニットを無理やり詰め込んだことで、残念ながら1ベッドルームは開口部の狭いちょっと窮屈な間取りになってしまっています。

ナイツブリッジ オンヌット4
また、「ナイツブリッジ」はデベロッパーであるオリジンの最高級ブランドなのですが、間取りだけでなく内部で使用しているワッサドゥ(建材)は安っぽいし、開口部の窓もハイサッシになっておらず、50センチも壁が下がっているために、せっかくの天井高3メートルの魅力が薄れてしまっています。

さらに、ユニット数に対するエレベーター1機の負担比率も150ユニットと多く、朝の通勤時間帯などでは結構待たされるかもしれません。ラグジュアリーといわれるにはやはり100ユニット程度であるべきで、しかも機械式駐車場なので、車の出し入れも時間がかかりそうです。

従って、建物のスペックとしては、アッパークラスというところだと思いますが、APならライフ、アナンダならアイディオ級のミドルレンジという感じです。

もっとも、BTSオンヌット駅から600メートル以上離れていることから、このロケーションでラグジュアリー級のスペックにしたら場違いでもあり、販売価格もかなり高くなるので、これは仕方がないことだとも思います。

ではなぜ、このプロジェクトに私が注目しているのかというと、やはりそのロケーションと空室リスクの低さです。

次回に続く


外国人投資家誘致策、とにかく政府は何か始めるべき!

不動産購入促進
先日閣議決定した「特別観光ビザ」により、やっと来月から外国人にも入国が認められましたが、長期滞在の観光客限定であり、しかも費用のかかる14日間の検疫義務があることから、大した効果は見込めません。

そんな中、経済状況管理センター(CESA:Center for Economic Situation Administration)は苦境にある不動産業界を救うため、2年前まで市場全体で大きなシェアを占めていた外国人投資家を呼び戻す打開策を検討し始めたところです。

それに対して、大手デベロッパーアナンダのCEOは、中国人投資家をターゲットにしてまずプーケットやサムイのリゾート地で外国人の入国を受け入れてみることを提案しています。

ただし、これは政府が一方的にやるのではなく、感染が広がるリスクを現地の住民が承諾することが前提であり、もしそれで以前の外国人観光客の2割でも呼び戻せたら、観光産業だけでなく不動産業界もその恩恵を享受できるとのこと。

一方、不動産コンサルタントのコリアーズ・インターナショナルは、不動産の法定リース(借地借家権)期間を現行の最長30年から50年に延長することを提案しています。

バンコクや海浜リゾートのフリーホールド(土地所有権付き)コンドミニアムは、外国人比率が上限49%までというFQ(外国人割当)があるため、外国人がもっと安心してリースホールド(借地)物件を買えるようにと、リース期間を50年に延ばすことをアドバイスしているわけです。

とにかく、世界的な経済低迷が続く中、周辺の国々でも外国からの不動産投資を呼び込むために、いろんな策を打ち出してきています。コリアーズによると、ベトナムはリース期間を70年に延長したし、マレーシアも外国人の不動産購入下限価格を引き下げたりしてきていることから、タイも何らかの対抗策が必要だということです。

また、CESAは1万人を超える外国人メンバーがいるタイランド・エリートカードにも協力してもらい、それを取り扱う代理店には不動産ブローカーも多いことから、不動産も購入してもらうようにマーケティングしていくとのことです。

成否は分かりませんが、いろんな対策案が出ています。しかし、今のところ、具体的な外国人投資家誘致策が何も施行されていないというのが実情であり、外国人投資家を呼び込めなければ、不動産市場の回復も望めません。

結局のところ、以下のアナンダのコメントに集約されるように、とにかく政府はすぐに何か始めて欲しい、というのが業界全体の本音だと思います。

"The key point is the government should start doing something. If the scheme proves successful, other regions can follow this path", said Chanond Ruangkritya, president and chief executive of SET-listed Ananda Development.

(アナンダCEO談:外国人投資家誘致のポイントは、とにかく政府がすぐに何かを始めることだ。そして、そのスキームが正しければ、それを見たほかのエリアも後に続く



ハードアセットがダメなら株式市場で不動産投資(その3)

株式投資3
ところで、ここでちょっと私と株との関係について、プライベートな話を少し書かせてもらうと、実は海外不動産の仕事をやり始める前は、私は日本の金融業界で株のファンド運用をしていました。

そこではファンダメンタルズの分析、PER、EPS、BPSといった数字や企業の事業計画書と毎日向かい合っていたのですが、
当時はまだバブルの初期で、新人類相場と呼ばれていました。つまり、私と同年代である30代初めの新人類と呼ばれたファンドマネージャーたちが、とにかく買いまくって日本の株式市場をどんどん上昇させていたころです。

しかし私個人は、当時日系デベロッパーがニューヨークのロックフェラービル等、欧米の一等地でトロフィービルと呼ばれる希少価値のあるビルに投資し始めたのを見て、毎日目まぐるしく相場が動く株式市場よりも、海外に住んで現地でじっくり仕事ができる海外不動産の仕事の方に興味を持っていたのでした。

それもあって、ブラックマンデーと呼ばれた市場の暴落を機に日系デベロッパーに転職し、それ以来、希望通りロンドンに8年間駐在してオフィスビルの開発をしたりと、ずっと不動産の世界にいるわけです。

株式投資4
さて、これはあくまで参考情報ですが、最近、カシコンリサーチセンターが公開した、下半期に明らかに業績回復が見込める銘柄と、コロナのワクチンができると収益の急回復が見込める銘柄、という2つのグループがあります。

前者は今年上半期に比べて下半期にはほぼ確実に増収増益が見込める銘柄で、ロックダウン以降、国内需要関連の業種が次第に業績が回復つつあることから注目しているようです。業種としてはエネルギー、商業、建設、不動産、そして公益事業関連となっています。


そして、第2グループである、コロナのワクチンができれば業績が急回復する銘柄としては、
旅行、運輸、メディア(映画等)、金融、商品等です。

例えば、この中でカシコンが第1グループで推薦している大手不動産会社として、スパライがあります。前回書いたように利回りは3%弱とやや低いものの、彼らはホテルやオフィスビルの開発もやる総合デベロッパーであり、今年の下半期は住宅よりも商業不動産での市場回復が見込まれていて、彼らの業績も回復すると読んでいるわけです。

株式投資7

これ以外には、商業不動産に関連して建設資材のSRICHAなどが推奨されていますが、これらからわかることは、以下のようなことです。

1. 住宅、特にコンドミニアムの開発がメインであるマンデべの業績回復は、しばらく難しいだろうということ

2. 投資期間が1~2年程度であれば、クレジットリスクを取ってマンデべの高配当株を狙うよりも、むしろ、商業不動産開発を多く行っている総合デベロッパーの方が下半期に早速業績回復が見込めることから、配当だけでなくキャピタルゲインも期待でき、最終的に配当と売却益を合わせた総合投資利回り(内部収益率)も高くなりそうであること

とまあ、こんなことを私は考えたわけですが、QHはちょっと利回りが低すぎるかもしれませんが、スパライとLHに興味を持ってみています。

ただし、株式市場というのは不動産市場よりもトレンドが変わるのが速いので、投資判断は必ず自己責任でお願いします。

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ハードアセットがダメなら株式市場で不動産投資(その2)

株式投資6
これが、大手不動産デベロッパーの9月時点での株価に対する配当利回りの比較ですが、黄色の枠で囲ってあるのが、どちらかというとリスクのある投資対象であり、オレンジの枠が来年の不動産市場がさらに悪化しても、まず破綻はないだろうと思われる安全度の高いデベロッパーです。

特に、総合デベロッパーであるランドアンドハウスとクオリティハウスは、このブログでも何回か推薦しているブランドですが、プロジェクトのクオリティに対する信頼感もあるし、顧客に対するアフターフォローも他社よりいいというのが、これまでLHのザ・ルームと今の自宅のQハウスに投資してきた私自身の経験からの実感でもあります。

株式投資9

それに、アナンダやAP、オリジンのように大量のコンドミニアム供給を行って、マーケットシェア争いを展開してきたデベロッパーとは一線を画しているので、財務内容でも安心感が持てます。

このことは日本を例に取ればわかりやすいのですが、これはいわゆるマンデべと呼ばれるマンション専業デベロッパーと、地所、三井不、東急、野村、住不に代表される大手総合デベロッパーとの力と余裕の違いです。

マンデべの場合、かつてマンション供給日本一を誇っていたサーパスやライオンズマンション、長谷工などに見られるように、簡単に倒産したりどこに行ったのかわからなくなってしまうほど業務縮小してしまうところが多いのですが、それだけビジネスが偏りすぎていて財務体質が弱いということでもあります。

それもあって、こういうLHやQH、スパライのような総合デベロッパーはあまり株価が下落しておらず、利回りはそれほど魅力的ではないのですが、ここで頭に入れておかなければならないのは、タイの場合、日本と違って株式の売却益、すなわちキャピタルゲインに対する課税がないことです。

従って、半年先になるか、それとも1年先になるかはわかりませんが、とにかく会社が生き残ってさえいれば、やがて不動産市場が回復してきた時に実現できるキャピタルゲインは、決して小さくないのではないかと、私は考えています。

むしろ、コンドミニアムというハードアセットに直接投資して価値が2割上昇する可能性よりも、商業不動産開発も行う総合デベロッパーの株価の方が先に2割上昇する可能性の方が高いと思うし、現物資産を売却する場合、特定事業税や印紙税、移転税等の税金を取られてしまうことを考えると、今のような時期は「出口」が読めない不動産市場よりも、流動性の高い株式市場で不動産投資をする方が投資妙味があると思うのです。

株式投資5
しかも最近、CBREは以下のようなコメントを出しました。

ซีบีอาร์อี ชี้ตลาดคอนโดมิเนียม กทม.อยู่ในภาวะฟื้นตัว หลังคลายล็อกดาวน์ มีแนวโน้มเปิดโครงการใหม่ต่อเนื่อง อย่างไรก็ตาม แนะจับตาหน่วยก่อสร้างแล้วเสร็จ ปี 2563 สร้างความผันผวนรอบใหม่

CBRE談:ロックダウン緩和以降、新規プロジェクトの売出しが増加傾向にあり、バンコクのコンドミニアム市場は回復途上にあるようだ。今後の完成在庫数の増減に注目し、新しい動きを注視していく必要がある)


ここでCBREがいう“市場が回復途上”というのにはなかなか同意できませんが、こんなことをいうところも出てきているので、遅くとも来年後半あたりからは、少しずつ状況も好転するのではないかと思っています。

また、株の先読みといって、現物市場に先んじて株価が先に上り始めることも多いので、そういう意味では今頃がちょうどいい仕込み時のような気もします。

ところで、最近、カシコン銀行リサーチも不動産株を推奨するようになってきているので、次回はそれを紹介してみます。

次回に続く

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ハードアセットがダメなら株式市場で不動産投資(その1)

株式投資1
相当深刻な不動産不況ということもあって、最近は不動産関連株が全体的に値下りしています。実際、このブログでも何回か書いてきましたが、大手デベロッパーでも完成在庫がなかなか掃けない中、ディベンチャーで直接市場で調達していた資金の償還期日が続々と到来しつつあり、資金繰りが苦しいところもかなり出てきています。

販売在庫

もう半年近く前になりますが、「今や買ってはいけないバンコクのコンドミニアム(その3)」の中で、グルンテープトゥーラギットの表をもとに「この中で、ブランドがあり、かつ資金繰りがかなりタイトに見えるという観点からスクリーニングすると、100億バーツ以上の大きな販売在庫を抱えていて、負債資本倍率の高いところとして、プロパティパーフェクト、ノーブル、アーリヤ、そしてメージャーが目につきます」と書きましたが、やはりデベロッパー各社の株価は下落し、今回、上のターンセータギットの記事が指摘しているように、今年上半期決算に対する配当は相当高い利回りになっています。

例えば、ノーブルの配当はなんと年率で7.97%にもなるということであり、ここまで利回りが高くなってくると、下手にハードアセット(現物不動産)に投資して、入居者募集や手抜き工事によるトラブル、そして今は最も難しい「出口」リスクを取るよりも、いつでも手放せる換金性の高い株式による不動産投資を選ぶべきではないかとも思うのです。

本来、ハードアセットへの投資メリットは、自分名義で所有でき、株式のように投資先が倒産した場合に価値がゼロになるリスクがありません。また、貸すにせよ、売却するにせよ、すべて自分の判断で行えること、そして家賃やキャピタルゲインも全部自分のものになるところにあります。つまり、投資家がオーナーとして不動産投資そのものをやれるところにあり、また、日本で申告する場合は節税メリットもあります。

しかし、今の完全な買い手市場の中、将来の
「出口」がさっぱり読めない状況では、特に日本人のような外国人投資家にとってハードアセットは不利であり、先のブログでも”今は買ってはいけない”と書いたように、よほどの底値買い物件にでも出会わない限り、しばらくは様子見とすべき時期だとも思います。

そこで最近、私が目を向けるようになってきたのが、株式市場での高配当デベロッパーへの投資です。以下は、ターンセータギットが高配当デベロッパーの例として今回挙げている4つの大手デベロッパーですが、今はオンヌットなどのミッドタウンフリンジでも、新築の駅前コンドミニアムは表面利回りでせいぜい5%ぐらいでしか回らないことを考えると、換金流動性の高い高配当株式の方が投資妙味があるように思うのです。

もっとも、株式の場合、投資先が倒産したら元も子もなくなってしまうので、ノーブルのような資金繰りがかなり苦しそうなところは、ちょっと慎重に検討した方がいいとも思うのですが...。
高配当デベロッパー

次回に続く



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希少価値のある中古物件への見直し買い(その2)

建設コストと地価2
そして、最後にAREAは以下の非常に興味深いコメントで、この調査結果を締めくくっています。

ปรากฏการณ์นี้เป็นเครื่องบ่งชี้ว่าการก่อสร้างที่อยู่อาศัยขนานใหญ่เช่นที่เกิดขึ้นตลอด 3 ทศวรรษที่ผ่านมา อาจจะผ่านไปไม่ผ่านกลับมาอีก เพราะต้นทุนค่าที่ดินแพงขึ้นมาก

これを私なりに意訳するとこうなります。

「過去30年間にわたり、バンコクでは大量の住宅供給が行われてきた。しかし、ここまで地価だけが一方的に値上りしてしまうと、開発コスト全体に占める用地取得費用の比率が高くなりすぎて、過去で起こってきたような住宅の大量供給はもうできないのではないか」

つまり、こういうことだと思うのです。最近はCBDの駅前一等地に開発される高級コンドミニアムの用地取得費用は
開発コスト全体の4割を占める、ともいわれるようになっているのですが、この比率が将来、5割、6割とさらに上がってくると、コンドミニアムを買うというよりも、むしろ、そのロケーションに対する土地の持ち分を買っているようなものになってきます。

例えば、ロンドンのメイフェアやケンジントン、ニューヨークのセントラルパークが一望できるアッパーイーストの高級住宅地がそうですが、既に市場では築年数などほとんど問題にならず、そのロケーション価値に対して中古物件が高額で取引されていますが、これと同じようなことが、バンコクでもやがて起こるということではないかと思います。

最近はロケーションを優先して中古コンドミニアムを購入するタイ人も次第に増えてきつつはあるものの、バンコクではこれまで30年間、ほぼ毎年、大量の新築物件の供給が行われてきた結果、コンドミニアムに関してはタイ人の新築志向が強く、中古よりも新築を買う人が圧倒的に多数派でした。

従って、他の国に比べて、今も中古の割安感が大きいのですが、「今年も値上りが続くバンコクの地価」でも書いたように、都心部の地価が上り続ける中、建設コストに対する用地コストの比率がますます大きくなってくると、当然、ロケーションのいい中古物件にもっと見直しが入るはずです。少なくとも、地価の値上りが続く一等地にある中古物件が、今後、2割も3割も値下りするということは考えにくいのです。

もちろん、今はコロナによる不動産市場の低迷で、新築であっても投売り物件をかなり安く買えるようになっています。従って、予算に余裕があれば、別に中古に固執する必要はなく、新築を狙っても問題はないと思いますが、その場合は、以前にも書いたようにざっくりいって、3年ぐらい前のプリセール価格から、さらに2割安く買うのが底値買いの基準になると、個人的には考えています。

いずれにせよ、AREAが指摘するように、地価が高騰したために過去30年間のような大量の住宅供給は今後はもうできない、のであれば、今は希少価値のある都心部やミッドタウンの駅前高層物件で、しかもブランドのあるデベロッパーが開発した眺望のいい物件を安値で買える、最後のチャンスなのかもしれません。

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希少価値のある中古物件への見直し買い(その1)

建設コストと地価
これは、不動産鑑定及び市場リサーチの大手であるAREAが最近出した調査結果ですが、まず、これに関する彼らのコメントを要約すると以下です。

1.
20年前と現在を比べた場合、バンコク首都圏の地価は2.5倍となった。一方、建設コストは1.7倍であった。この理由は土地は限られた資源であることから一貫して値上りしてきたが、一方で、建設コストは不景気の時は建設工事自体が減ってしまうため、値上りが抑制された。

2.しかし、1996年からの26年間を見た場合、建設コストは2.1倍、地価は2倍と、建設コストの方が値上りしている。この理由は、1997年のアジア通貨危機により、数年間だけであるが、地価が初めて下落したからである。今後も、こういった一時的な地価下落の場面は出てくると思われるが、少なくともコロナ不況の現時点では地価下落の兆候は出ておらず、上昇が続いている。
2020年地価上昇3
3.特に2014年以降は、建設コストが上がらない中、地価だけが上昇している。これは、世界的な景気低迷により、セメントや鉄の建設費材の需要が減少したため、建設資材が値上りしなかったからである。しかも、この間、タイ経済はそれ以上に低迷していたため、労働力を含めた全体の建設コストが値上りしなかったからである。

4.地価が値上りを続けたもう一つの理由として、バンコク各地で建設されつつあるマストランジットシステム(スカイトレインやMRT)がある。こういう新線沿線の地価が値上りしたことで、バンコク首都圏全体の地価が値上りした。

AREAのコメント概要は以上ですが、このグラフを一瞥しただけで、バンコクの土地神話はまだまだ崩壊してないことがわかります。

次回に続く

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外国人バイヤーとデベロッパーの我慢比べ(その3)

引渡し条件の緩和1
従って、果たしてそこまでやってくるデベロッパーは、案外マイナーなのかもしれません。むしろ、上のタイ不動産協会のコメントにもあるように、こんな時期は下手に契約のキャンセルはしない方がよいというのが、今の業界の考えなのではないかとも思うのです。

メージャーデベロップメントがいうように、外国人バイヤーがタイに入国できない以上、今後はタイ人をターゲットに販売率を上げていく、逆にいえば、外国人の契約をキャンセル扱いにせず、根気強く引渡しを待ちながら、一方でタイ人に販売を広げて契約達成率を8割、9割へと上げていくというの考えの方が、デベロッパー業界のコンセンサスではないかとも思うのです。

ただし、これにも限度があり、最近、タイ政府は世界でのコロナ蔓延が収まらなければ、来年1年間、外国人入国禁止が続くこともありうるといい始めており、さすがにそこまでは待てないというのが、デベロッパーの懐事情だろうとも思います。

従って、今は、まさに外国人買主とデベロッパーとの我慢比べが続いているように思うのですが、デベロッパーから何月何日まで支払って残金決済をするようにというメッセージは届くかもしれませんが、これは引渡しに応じさせるためのブラフである可能性もあるわけです。

問題は最後通牒ともいえる、「支払いがなければ契約違反とみなして契約解除し、ダウンペイメントを没収する」とはっきりいってくるかどうかですが、どこの時点でデベロッパーが契約を破棄してダウンペイメント没収に踏み切るのかは、私にもわかりません。

そこで、私のクライアントには、デベロッパーから来たメールに対し、私が自ら返事のメールをドラフトして、それをそのままデベロッパーに返すようにしてもらっているのですが、これを続けることで、「竣工引渡しがきても焦らず引き延ばせ」でも書いたように、
できるだけ時間稼ぎをしようとしているところです。

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外国人バイヤーとデベロッパーの我慢比べ(その2)

Property Recovery
さて、こういうコメントから私が読み取るのは、2、3年前に急速にマーケットシェアを増やしてきた中国人バイヤーを中心とする外国人投資家ですが、彼らのほとんどがプレビルドで購入しています。

しかし、コロナの影響で外国人が入国できなくなった今、運悪くちょうど彼らの購入した物件が続々と竣工引渡しを迎えつつある中、どこのデベロッパーも外国人への引渡しがうまく行っておらず、当面は待つしかない、という状況なのだろうと思うのです。

ちなみに、上の表は世界の専門家200人に対して行った、各国の不動産市場が完全にコロナの影響から立ち直り、以前のレベルまで回復する時期についての調査結果です。
中国人の人気
驚くことに、コロナの震源地ともいえる中国市場は年内に回復し、今後世界の不動産市場を席巻するようになるという意見が多く、中でも1番人気のタイのコンドミニアムはその恩恵を受けることになります。

一方、タイの市場回復は2022年までかかり、日本はさらに遅れて2023年まで待たなければならないという予想です。従って
、「2020年下半期、どうなるバンコク不動産市場(その2)」で書いたように、今後、タイ政府の外国人入国禁止が解除され、中国人バイヤーがタイの不動産市場に戻ってきて新規購入だけでなく、既契約の引渡しに応じてくれることにデベロッパーが期待しているのも間違いありません。

ただし、そうはいっても、デベロッパーによっては、今後、契約を一旦キャンセルしてダウンペイメントを差し押さえるところも出てくるとは思います。しかし、キャンセルされた完成在庫をすぐにタイ人に売れるのであれば問題ないのですが、今の状況ではそれは相当難しいというのが業界のコンセンサスです。

その場合、決算上、これまでのように契約済で引渡し待ちのバックログ、つまり、安全資産としては計上できなくなり、竣工後も売れてないキャンセル住戸は一種の不良在庫としてバランスシートに載ることになります。そうなると、当然、株価の値下りや資金調達にも影響が出てくる可能性があります。

次回に続く

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外国人バイヤーとデベロッパーの我慢比べ(その1)

LPN Wisdom
LPNのリサーチ会社、LPN Wisdomによると、デベロッパー上場企業、全36社の今年上半期の純利益は前年同期比で55%減と急減したとのことです。

それでも表向きは増収だとか見栄を張っているデベロッパーも一部ありますが、実態は売上は増えても完成在庫一掃のための価格戦争で大幅値引きしたのと、竣工しても引渡しに応じられない外国人投資家が増えた結果、予定通りの利益計上ができず、肝心の純利益が激減しているわけです。

私も日系デベロッパーで海外の不動産開発をやっていたからわかりますが、開発ローンは比較的リスクが高いことから、間接金融である銀行から資金を引っ張ると、かなりのスプレッドを要求されます。

それもあって、上場企業はディベンチャーと呼ばれる直接金融市場での資金調達をするのですが、今の状況では新しく直接金融で資金調達をするのは難しく、一方で、過去にディベンチャーで調達した資金の償還期限が次々と迫ってきていることから、多くのデベロッパーが資金繰りに不安を持っているわけです。

そんな状況を念頭に置いて以下の記事を読むと、デベロッパーの苦戦の状況が透けて見えてきます。

  
นางสาวอลิวัสสา กล่าวว่า ในทำเล สาทร ลุมพินี สุขุมวิท พระราม 4 ยังมีโครงการคอนโดลักชัวรีพร้อมโอนเหลือยู่ประมาณ 12,000 ยูนิต และบางโครงการอยู่ระหว่างการก่อสร้าง ซึ่งที่ผ่านมายอดขายยังพอไปได้แต่ไม่หวือหวา ที่สำคัญพฤติกรรมการซื้อของผู้บริโภคต้องการ สินค้าที่สร้างเสร็จแล้วเพราะกลุ่มคนซื้อส่วนใหญ่เป็นกลุ่มคนซื้อที่อยู่เองจึงอยากเห็นสินค้าก่อนที่ตัดสินใจซื้อ
CBREによれば、サートーン、ルンピニ、スクムビット、ラーマ4のCBDでは、まだ12,000ユニットものラグジュアリークラスのコンドミニアムが完成在庫となって売れ残っている。さらに、現在建築工事中のプロジェクトの販売在庫もある。実は既にかなり以前からこれらのプロジェクトの売行きはよくなかったのだが、市場は最近まであまりこれを危惧していなかった。しかし、ここにきて、自己居住目的で買う消費者が需要の中心になってきた結果、彼らは完成した物件を見てから判断しようとするので、プレビルドはますます売れなくなっている。

นายสุริยา พูลวรลักษณ์ กรรมการผู้จัดการ บริษัท เมเจอร์ ดีเวลลอปเม้นท์ จำกัด (มหาชน) กล่าวว่า ปัจจุบันโครงการมิวนีค สุขุมวิท 23 มียอดขายแล้ว 70% ซึ่งยอดขาย 25% เป็นยอดขายจากลูกค้าต่างชาติ โดยลูกค้าส่วนใหญ่เป็นชาวฮ่องกง
ทั้งนี้ จากสถานการณ์การระบาดของไวรัสโควิด-19 ลูกค้าต่างชาติที่ไม่สามารถเข้ามาโอนกรรมสิทธิ์ได้ในช่วงนี้ เพราะต้องรอให้รัฐบาลผ่อนคลายการเดินทางเข้ามาในราชอาณาจักรของชาวต่างชาติก่อน
メージャーデベロップメントによれば、スクムビット23のムニークを購入した外国人のほとんどが香港人バイヤーであるが、コロナ感染の影響でこれら外国人投資家が完成物件の引渡しを受けるためにタイに入国することができなくなっている。そのため、タイ政府が外国人観光客に入国を許すまで待つしかない状況である。

นช่วงครึ่งปีหลังบริษัทมีแผนจัดแคมเปญทางการตลาดกับโครงการดังกล่าว เพื่อกระตุ้นการตัดสินใจซื้อ ด้วยการลงราคาลงมาเหลือ 2.2 แสนบาทต่อตร.ม.จากราคาตลาดอยู่ที่ 2.5-3 แสนบาทต่อตร.ม. ซึ่งเป็นราคาช่วงพรีเซล เชื่อว่าจากการจัดแคมเปญทางการตลาดจะช่วยผลักดันยอดขายให้เพิ่มเป็น 80-90% จากปัจจุบันอยู่ที่ 70%” นายสุริยา กล่าว
従って、メージャーとしては、今後タイ人マーケットを対象に今年後半に特別値引きキャンペーンを展開し、今の7割の販売達成率を8割、9割へと上げていく計画である。すなわち、現在の市場価格である25万バーツ/㎡~30万バーツ/㎡からほぼプリセール価格である22万バーツ/㎡まで値下げして販売展開していく計画である
(注:これについては既に「セレス・アソーク VS ムニーク」で書きました)

次回に続く

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セレス・アソーク VS ムニーク

セレス
昨日、新しくできたセレス・アソークのモデルルームを見てきました。竣工したセレス・アソーク」で紹介しているものと同じ、北東角部屋の70㎡、2ベッドルームのショースイートができたということなので行ってきたのですが、バンコク在住で、もしこの物件に興味がある方は、是非見てくるといいです。

なお、このモデルルームは13階にあるので、左手前にある建物で眺望が一部遮られていましたが、「セレスアソーク、クライアントからの最後の損切オファー」で紹介している私のクライアントが販売中のユニットは28階なのでその建物より高い位置にあり、眺望はもっと開けています。

このモデルルームを見ることで、少なくとも生活していく上で最も重要な使い勝手や内部仕様のクオリティやグレード感がわかります。


ムニーク
一方、その後、セレスのすぐ斜め後ろに竣工したばかりのメージャーデベロップメントのムニーク(正確にはมิวนีคと書くのでミウニーク)も見てきました。

前回「
スクムビットのラグジュアリー需要に回復のサイン?」で書いたように、CBREがポジトークでやたら持ち上げているので、どれほど割安感があるのか興味があり、見比べてきたわけです。

その結果、結論から先にいえば、ムニークはセレスより明らかに格落ちプロジェクト、というのが私の評価でした。部分的には、ロビーがセレスより広々していて開放感があったりするのですが、エレベーターのかごや居住階のホールウエイの仕様がやや安っぽく、しかも、最も重要な専有部分である室内のグレード感も天井は2.7メートルと低く、据付の家具のクオリティも
ラグジュアリークラスにしては満足感を持てませんでした。

また、前回書いたように、30,000バーツ/㎡~80,000バーツ/㎡ものディスカウントという触れ込みで、この値引にはかなりのインパクトがあったのですが、やはり、この話にも裏がありました。

値引が大きいこのホットユニットは全部で10ユニットしかなく、そのほとんどが写真左の建物に面したユニットでした。

私は午後3時前にムニークの現場に行ったわけですが、その時間帯でもこれらの南向きユニットは隣の建物に光が遮られて中は薄暗く、また、距離が近すぎて窓から隣の建物の中までよく見えてしまうという居心地の悪いユニットでした。

これらが値引後で21万バーツ/㎡のホットプライスということだったのですが、いくらCBDの特別値引きユニットとはいっても、これではまず売れないだろうというのが私の印象です。

muniq
そこで、上層階の眺望のいい部屋はないのか聞いたところ、眺望の開けた高層階の55㎡、北東角部屋(赤い線で囲った部屋)が2ユニットだけ残っていて、このうちの一つ、18階の物件が30万バーツ/㎡ということでした。また、そこから直接交渉でいくらかは値引ができるが、棟内で一番人気のあるユニットなので、大した値引はできないということです。

従って、ムニークの場合、高層階のスクムビット23に面している東向きユニットについては、眺望はセレスのそれと全く遜色はないものの、室内のグレード感でやや格落ちというのが私の評価です。

Celes vs Muniq 1

ただし、ムニークがプロジェクトとしてよくないということでは決してなく、この図にあるように、最初のプリセール価格で比べれば、そもそもムニークはセレスよりも58,000バーツ/㎡も安かったことがわかります。それを考慮すると、グレード感でセレスより落ちるのも当然のことだと思うのです。

逆にいえば、これよりグレード感のあるセレスの28階、北東角部屋の損切物件が22万バーツ/㎡台で買えるのであり、ある程度物件のクオリティやグレード、建築工法の違いがわかる人なら、迷わずこのセレスの損切物件の方を選ぶと思います。

ちなみに、アソーク界隈では、最近、次々とラグジュアリークラスの新築プロジェクトが竣工を迎えつつありますが、これらをロケーションを別にして、建物としてのクオリティやグレード、ランドスケーピングに限定して比較した場合、まず横綱級はシンハーのエッセ・アソークだと思います。

そして、大関級がセレス・アソークとロフト・アソーク、それに対し、ムニークはせいぜい関脇級というのが私の評価であり、たとえ眺望の良い高層階であっても、これを25万バーツ/㎡~30万バーツ/㎡も出して買うのなら、正直、私なら食指が動きません。

以上ですが、セレスのモデルルームと竣工間もないムニークのモデルルームを同時に見比べての率直な感想なので、ほとんどバイアスはかかってないし、10年持つことを考えたら、構造的にもやはり、セレスが一押しだと思いました。

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スクムビットのラグジュアリー需要に回復のサイン?

ラグジュアリー
これはCBREのプレスリリースですが、今年はCBDでラグジュアリープロジェクトの新規売出しがほとんどなかったことから、既存の完成在庫物件に対するセカンドホーム需要が回復しつつあるということです。

以下、概要を箇条書きにしてみました。

1.経済不況もあって、デベロッパーは今年、もっとも需要の大きい、300万バーツ以下、150,000バーツ/㎡以下のプロジェクトの開発にシフトしていて、高額なラグジュアリー物件の新規開発はあまりやらなくなった。

2.一方で、スクムビットエリアにある4,000ユニットを超える高級物件の完成在庫の一掃に注力し、5%から最大40%もの値引をしている。その結果、こ
の割安感に7月以降、タイ人の実需層が動き始めている。

3.CBREの調査では、2019年に購入されたコンドミニアム全体の61%が自己居住目的、34%が投資目的、そして5%がセカンドホームとしてであったが、今年上半期では59%が自己居住目的、25%がセカンドホーム、16%が投資目的となり、投資目的が減り、セカンドホームの比率が著しく上昇した。

4.この理由は、現在の経済状況では購入物件の転売が難しいことから投資需要が減り、一方で郊外に家を持っていながら、職住接近の便利さから都心部でもセカンドホームを買おうという需要は減少してないからである。

5.例えば、スクムビット23にあるメージャーデベロップメントのムニークなどは、既に7割が販売済みで、そのうちの4分の1が主に香港の投資家である。しかし、コロナの影響で外国人に売るのが難しくなった今、残りの完成在庫をローカルのタイ人に売るために、30,000/㎡から80,000バーツ/㎡の値引を始めていて、8割から9割へと販売率を高めていこうとしている。

こんな内容の記事なのですが、CBREはセカンドホーム需要が回復してきているとはいうものの、売れているとはいっていません。しかし、需給が好転するサインが出ているというような、なんだかよくわからない内容であり、ムニークの販売エージェントでもあるCBREのポジショントークのにおいもちょっとします。

実際、20万バーツ/㎡を超えるラグジュアリークラスやスーパーラグジュアリークラスの完成在庫は、確かに値下が目立ってきていますが、今も相当苦戦しているというのが、私の印象です。大きく値下されて確かに注目は集まっているのかもしれませんが、まだまだ回復には程遠い状況だろうと思います。

エッセ
例えば、25万バーツ/㎡を超えるシンハーのスーパーラグジュアリー、エッセ・アソーク、そして同じくシンハーコンプレックスのエッセも、7%もの利回り保証をしています。

ルネストンロー5

また、トンローにある20万バーツ/㎡以上のラグジュアリークラスで、日系デベロッパーの信和不動産が開発したルネストンロー5なども、一時は完売したと聞いていたのが、今もキャンセルが続々と出てきているようで、3年間タダで住めるというキャンペーンをしたりと、どちらも完成在庫の一掃にかなりの苦戦をしているのがわかりますが、実際にはそれほど売れ行きはよくないようです。

さらに、この記事で取り上げられているムニークも、実はそんなに安くなってないし、ここでいう値引はプリセール価格からの値引ではなくて、今の値上げした後の価格からの値引なので、実質的には、先日「セレスアソーク、クライアントからの最後の損切オファー」で紹介したライフ・ワンワイヤレスと同じく、プリセール価格を割り込むような値引にはなってないのだろうと思います。

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オンヌットの新築、クライアントからの最終損切オファー

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6月初めに「サイアミーズスクムビット48、地上50階のビューが圧巻」で紹介したオンヌットのサイアミーズですが、その後も不動産マーケットの悪化が進行し、あの価格であっても残念ながら今も売れていません。

そこで、数日前に書いたセレスアソークの最終オファーの記事を見て、実はこのオーナーからも連絡があり、同じようにもう一段値下げした最終オファーを出したいということで、私の方で以下のように広告の内容を全部差し替えたところです。
https://www.facebook.com/groups/prakard/permalink/2009288402540647/?sale_post_id=2009288402540647

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ちなみに、この中で13枚の室内写真をつけていますが、専任エージェントの私だけがオーナー発行のPOAを持っているので、私が何回か現地に行って撮影してきたものです。

リビングの天井高が4.4メートルもあるので開放感がありますが、やはりこの物件の1番の魅力は、地上50階相当の高さからのこの眺望だろうと思います。

また、オンヌット駅から300メートルのロケーションはそう悪くはないし、44㎡という広さも賃貸向きです。家賃が少なくとも25,000バーツは取れると思うので、
現地採用者には厳しいかもしれませんが、魅力的にフィッティングアウトすれば、最近オンヌットで急増している単身赴任の日本人駐在員に賃貸できると思います。

今回、この新築物件を最終値引としてプリセール価格から23%も値下した価格、107,300バーツ/㎡で手に入れられることになり、これだけ安く買えるのであれば、今のコロナの影響でしばらく空室期間が出るとしても、あまり気にすることはないとも思います。

しかし、私がもし今のオーナーの立場であったならば、タイ人アッパーミドルクラス人気ナンバー1(2019年の人気ロケーション、ベスト5を参照)
のオンヌットでそこまで値引するよりも、とにかくぎりぎりまで引渡しを先延ばしして時間稼ぎをした後、最終的に引渡しを受けることを考えるのではないかと思います。

そして、「エッセ・アソークのデザイナーズフィットアウト(その2)」で書いた
ほぼ同じサイズの1ベッドルームでやったように、インテリアデザイナーを使い、魅力的な内装を施して十分に差別化した後、入居者募集、賃貸運用に入ります。

今、私の住む同じオンヌットのQハウスがそうですが、40㎡台のユニットは日本人の単身赴任者に特に人気があります。先日も、知人の日本人投資家がこのQハウスで私と同じ44㎡の2ベッドルームを持っているのですが、これまで日本人駐在員に賃貸していたところ、急に5月末で解約退去となり、コロナで駐在員の新規需要がなくなってしまった最悪の時期での入居者入れ替えとなってしまいました。

しかしその後、このオーナーは内装のリフォーム工事をしてから入居者募集を始めたところ、すぐに次の日本人駐在員が決まったそうです。結局、リフォーム期間を入れて3か月の空室ですんだそうですが、オンヌットで最も人気のあるQハウスだったからということもありますが、こういう賃貸需要が強いエリアこそ、フィッティングアウトで差別化すれば、たとえ新規の駐在員が入国できなくて賃貸需要がなくなっていても、既存駐在員の引っ越し需要でも入居者が呼び込めるということだと思います。

ところで、これは著書でも書きましたが、素人にはデザイナーワークの魅力がわかってない人が多いです。しかし、上のエッセのところで添付している施工前と施工後の写真を比べてみたらわかるように、当初何もないただの地味な新築ユニットが、内装工事次第で魅力的な住宅に大化けするのです。

もっとも、オンヌットであればここまでグレードアップしなくてもいいので、30万バーツもかければ十分魅力的な賃貸物件になるとは思いますが...。

しかし、残念ながらオーナーとしては今のマーケットの地合いの悪さを気にしていて、ここまで値引してもできれば手放したいということなので、今回の最終値引となりました。

ところで、価格が安いので、先日、仲介業者のエンジェルが勝手に中に入って写真を撮ろうとしたようですが、POAを持ってない彼らに勝手に見せるなとデベロッパーのサイアミーズにクレームをつけたところです。

従って、
もしこの物件に興味があれば、私まで直接ご連絡ください。また、私は両手商売などしないので買主から仲介料などは取りません。

なお、他にも何人かのオーナー様から購入した物件の売却をしてくれないかとの依頼を受けてもいるのですが、基本的に私は自分自身が投資家であると同時にコンサルタントであり、実務を伴う媒介業務は引き受けないことにしています。

ただ、セレスとサイアミーズだけは依頼主が以前から付き合いのあるクライアントであり、タイにやって来られない彼らに代わって今回は特別にサポートしていますが、今後も一般媒介はやらないことをご理解ください。

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セレスアソーク、クライアントからの最後の損切オファー

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前回、「竣工したセレス・アソーク」と題してアソーク駅前の高級物件、セレスを4回にわたり紹介しました。

これまでにも書いてきたように、昨年からの不動産市場低迷に加えてコロナの影響と、4月以降、市場ではほとんど売買取引が止まってしまっています。

こんな時期は、プリセール価格から2割ぐらい叩いて底値買いを狙うべき、とこれまでこのブログで何度も書いてきましたが、新築のロケーションのいいプロジェクトでそこまで値引が取れる物件はそうは出てきません。

ワンワイヤレス値引
これは、ちょうど今始まったデベロッパーによるワンワイヤレスの特別値引広告ですが、35㎡の1ベッドルームが5,790,000バーツ、つまり、165,000バーツ/㎡と当初のプリセール価格程度であり、実質的な値引きはほとんどありません。

デベロッパーの場合、郊外物件は別として、こんな人気物件がプリセールを下回ってまで出てくることは今のところほとんどないと考えていいです。従って、底値を狙うとすれば、購入者からの投売りしかないのですが、プリセール価格からさらに2割引きで買うというのがいかに難しいかがわかると思います。

そんな中、まことに皮肉なことですが、私のクライアントが購入したアソーク駅前にある70㎡の2ベッドルームが、竣工引渡しの期限が近づき、これまでに払った340万バーツ(約1,160万円)の手付金を捨てて契約キャンセルすることも考えるしかなくなってしまいました。

もともと、セレスアソークは私のアドバイスで購入してもらったわけではなく、この方が3年前に自己判断で購入されたものですが、以前、別件で仕事をしたことがある縁で、今回、売却のマーケティングを依頼され、引き受けたものです。

しかし、私も多くの売買サイトで広告を出して売却を試みたのですが、さすがに時期が悪すぎて、これまでに5人ほどから問い合わせがあったものの、結局、取引に至っていません。

そうこうしているうちに、デベロッパーから9月24日までにと決済を求められてきたものの、私のクライアントは買い取るつもりはなく、最悪はダウンペイメントを全額捨てて契約キャンセルもやむなしという結論に至ったものです。

そこで、私が新たに以下のような広告を作成し、直接売買サイト等、全部で10近いサイトにアップロードしたところです。なお、このサイトでは、私自身が現地で撮ってきた実際のユニットの写真を載せているので参考にしてください。

躯体部分まではわかりませんが、私がチェックした範囲内では、少なくとも室内の施工はしっかりできているという印象だったので、手抜き工事の心配等はあまりないと思います。
https://www.livinginsider.com/livingdetail/498995/Take-it-or-Leave-it-Offer-by-Japanese-Owner-2-bed-room-unit-703sqm.html

なお、前回書いたように、このプロジェクトはスタイリッシュなグラス・カーテンウォール工法で建設されていて、構造的に建物重量を小さくできて、しかもパノラマビューが実現できる。そして何より、建物劣化が遅く10年経っても古ぼけた感じがしないというところが最大の魅力です。

ロケーション的な魅力では、アソークモントリー通りを挟んで反対側にあるアシュトンアソークに一歩譲るのものの、建物のクオリティではこちらの方が上だと思っています。

今回、オーナー様は3年前のVIPプリセールで購入した価格、18,290,000バーツを15,500,000バーツまで下げて手放すことにしたので、手元に戻ってくるダウンペイメントはわずかであり、実質、1,000万円近い損切となっています。

今後、私の方でもデベロッパーと再度交渉し、もう少し引渡し期限を遅らせられないかトライしてはみるつもりですが、あまり時間もないし、売主様にも最悪契約をキャンセルし、手付流しをすることで腹をくくっていただいたので、これ以上足元を見るような減額交渉はお断りさせていただきます。

実際、本件は2割引きとまではいきませんが、プリセール価格から15%以上の値引きになっています。ワンバンコクやクイーンシリキット等の開発にMRTで直結するアソークはますますCBDとしての重要度が高まります。また、こういう一等地はなかなか値下りしないので、来年以降不動産不況が続いても、ここからさらに1割も2割も値下りするということは考えにくいと思っています。

以下は参考までに同プロジェクトの販売中の全ユニット一覧ですが、いよいよ引渡期限が近づき、焦った購入者から続々と投売が出てきています。しかし、この物件ほど値引しているユニットは今のところないことがわかると思います。
https://www.livinginsider.com/living_project/18/2736/Condo/all/all/1/%E0%B9%80%E0%B8%8B%E0%B8%AD%E0%B9%80%E0%B8%A5%E0%B8%AA-%E0%B8%AD%E0%B9%82%E0%B8%A8%E0%B8%81.html
(注:この中で28階の同じユニットが1,600万バーツで出ていますが、これは現地の業者が仲介料として50万バーツを上乗せしてきているからです。一方、私はそういうのは取らないので1,550万バーツとなっています)

アソーク駅前のスーパーラグジュアリーがほぼ底値で買えることもあり、日本人投資家の方で15,500,000バーツ(約5,300万円)の予算がある方であれば、一考の価値は十分にある投資機会だと思っていますので、興味があれば私までご連絡ください。

なお、売買契約や移転登記等は私が現地で責任をもって行いますので、タイに来られなくても日本にいるまますべての契約が履行できます。

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三井のサービスアパート新規事業には裏事情が?(その2)

市況低迷期間3

そもそも発表の中の「
今後安定的な成長が見込まれる SA 事業に新たに参画します」のくだりは、この業界のことを知っていれば、かなり苦しい理屈だとすぐにわかります。

たとえば、サービスアパートメント市場に関するこのCBREのレポートを見ても、2013年ごろをピークに需要も供給も縮小を続けているのがわかります。

そして、その主たる原因が、デベロッパーがコンドミニアムを大量供給し、それらが
賃貸市場に流れ込んだ結果、サービスアパート業界とバッティングすることになり、廃業したり撤退するところが出てきているからです。

しかも、以前に「10万ユニットの空室がバンコク賃貸市場で猛威を振るう」で書いたように、今も相当な空室があるコンドミニアム賃貸物件のことを考えると、この状況は少なくともあと5年ぐらいは続くと思います。

そんな中、コロナによる外国人入国規制で新規の駐在員需要や観光客需要はほぼないに等しいこの時期に、オペレーターであるアスコット社もなぜ5つもの物件の
運用を引き受けるつもりになったのか、理解に苦しみます。

もしかすると、ターンオーバーレント(固定賃料でなく売上高比例賃料)や、3年目か5年目あたりにブレーククローズ(一方的解約権)といった特殊な契約内容になっているのかもしれませんが...。

しかし、それにしても何でわざわざこんな時期に、外国人観光客がメインのナナをオープンさせたのかと思うと同時に、向こう数年は入居者募集で相当苦戦するのではないかとも思います。

市況低迷期間4
そこでちょっと調べてみたのですが、私の方でわかったのは、この5つのサービスアパートの内、少なくともサトーンとトンローの大型ハイライズについては、アナンダはもともとアイディオのコンドミニアムを開発するつもりで用地取得していたようです。

しかし、2018年後半から崩れ始めたCBDの高額物件市場で、新たにコンドミニアムを開発しても販売が難しいことから、それならサービスアパートにしようという苦肉の策だったのではないかと思います。

もっとも、本来、何百室もある大型コンドミニアムとして開発するはずだったのを、サービスアパートメントに転用するのですから、ちょっと無理があるような気もするのですが...。

従って、「今後安定的な成長が見込まれる SA 事業に新たに参画します」というよりも、むしろ消極的な理由で仕方がなく始めた新規事業、というのが本当のところなのだろう思います。

ちなみに、これからも長期間続くと予想される不動産不況に対し、デベロッパー各社はそれぞれ違った危機回避の対応をしつつありますが、
一旦取得した開発用地を用途変更してでも無理して開発しようとするアナンダ・三井に対し、開発はもう諦めて今のうちに用地を転売処分しようとしているのが、大手のプルクサーです。

プルクサーの場合、短期的には損切りになるのかもしれません。しかし、
来年以降、不動産市場がどこまで落ち込んでいくのか予想もつかない現状では、無理に開発リスクを取らない方が資金繰りも楽になるので、案外正解なのかもしれません。

三井のサービスアパート新規事業には裏事情が?(その1)

市況低迷期間2
先日、三井不動産がアナンダと組んでバンコク都内5か所でサービスアパート事業を始めると発表しました。

これによれば、「今後安定的な成長が見込まれる SA 事業に新たに参画します。当社グループは、これまで国内で培ってきた不動産開発のノウハウを最大限に活かしアナンダ社と共同で本事業を推進しながら、タイにおける更なる事業機会獲得を目指 してまいります」 だそうです。

しかし、今のバンコクの不動産市況に明るい人であれば、どうしてまたこんな最悪の時期に?、と思うはずです。高級なサービスアパートは駐在員、廉価なものは観光客の利用が多いのですが、いずれにせよ、賃貸物件が既にだぶつく中、アジア通貨危機並みの大不況がタイ経済に迫りつつあるのに、敢えてここでサービスアパート事業に乗り出すのは理屈が通っていません。

すなわち、これにはデベロッパー側の裏事情があるのだろうと思うのです。

市況低迷期間1
前回のブログで、「これからの世界的な経済不況は確実で、外国人投資家もすぐには戻ってきそうもないこと、タイ国内で800万人を超える大量の失業者が発生するともいわれるアジア通貨危機と並ぶ大不況により、国内需要も疲弊してしまうことから、少なくとも、今の供給過剰を市場が吸収し、ある程度バランスが取れるまでには、下手をすると3~4年、もしかするとそれ以上かかるかも、と思うようになりました」と私は書きました。

偶然ですが、ちょうど昨日、8月8日付のターンセータギットでも、不動産市場の回復にはあと5年かかるというコラムが載っていて、私の考えと同じような見方をしています。

従って、今のようなアゲインストの時期に、敢えて新規でサービスアパート事業を始めるというのは、アナンダと三井は相当な開発用地を抱え込んでしまっているのではないかと、私は思うのです。

次回に続く

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出口、出口、出口(その7)

新規供給数2
その結果、上のグラフからもわかるように、第2四半期に入って、いよいよ資金繰りが難しくなってきたデベロッパーは新規開発をほとんど止めてしまい、この完成在庫の一掃に必死なのですが、それでも竣工するプロジェクトが次々と出てくるので、減るどころか増え続けているわけです。

従って、今後
数年間はなかなか需給が改善しそうにないことからも、やはり、これからの投資物件選択の第一優先は「出口」リスクのミティゲーション、つまり、軽減最小化だと思っています。

ベストタイミング
以前、このブログで「「待つも相場なり」でもう一段安を待て!(その2)」のところで、こんな素人みたいな安直なことをいうのは間違っているという意味を込めて以下のように書きました。

実は4月20日に、こんな内容の記事が英字紙The Nationに載りました。この執筆者は私と同じく「デベロッパー在庫処分値引きの実例(その3)」で紹介した経済紙ターンセータギットの記事を取り上げていて、デベロッパー各社が在庫一掃の特別値引きを始めた今こそ、コンドミニアムはいよいよ買いのタイミングなのではないか、と考えているようです。
 しかし、前回にも書いたように、私は全く違う考えで、まだまだマーケットは悪くなると見ているので、もう一段安を待った方がいいと考えているわけですが、あと半年もすればどちらが正しいかわかると思います


そして、半年も待たずして、もうその結果は出ています。私のもう一つのブログ「タイランド太平記」で、タイ経済の現状を伝えると同時に、これからの不動産市場動向を逐次考察しているつもりですが、こういうマクロ的な視野で見ると、今が買い時どころか、バンコクのコンドミニアム市場は来年あたり、大波乱がある可能性があると思っています。

これからの世界的な経済不況は確実で、外国人投資家もすぐには戻ってきそうもないこと、タイ国内で800万人を超える大量の失業者が発生するともいわれるアジア通貨危機と並ぶ大不況により、国内需要も疲弊してしまうことから、少なくとも、今の供給過剰を市場が吸収し、ある程度バランスが取れるまでには、下手をすると3~4年、もしかするとそれ以上かかるかも、と思うようになりました。

コンドミニアム市場がうまくこの危機を乗り切れればいいのですが、少なくとも、現時点では投資リスクが大きすぎて、ここで新規投資をするのはただの投機でしかないと私は考えています。

従って、日々の売上しか考えてない仲介業者がよくやる近視眼的な目線で、あの物件はロケーションがよく有望だ、格安だ、今こそ買いだ、というミクロの次元で投資物件を語るのは見当違いです。

こういう時こそ、機関投資家がやるように経済環境を大局的に見るべきです。すると、今の時点ではどんな物件も「出口」がほとんど見えないのです。

従って、今は新たに投資をするタイミングではないし、既に持ってしまっている人は、今売ろうとしてもまず「出口」がありません。また、運よく売れたとしても、相当な安値に叩かれてしまうので、大きな「出口」リスクを抱えているわけです。

それであれば、資金的に余裕があることが条件ですが、あと2~4年、我慢して持ち続けることを、私はお勧めします。そして、将来、「出口」リスクがある程度軽減されてきたところで、これまで書いてきたように、脱日本人駐在員、タイ人アッパーミドルクラスやミドルクラスをターゲットにした投資を再開するべきだと思っています。

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出口、出口、出口(その6)

出口3
最初の著書である「バンコク不動産投資・基礎編」を上梓したのが2016年2月です。不動産市場を混迷に追いやっていた反政府運動を、2014年5月に軍部がクーデターで制圧し、その年の第4四半期あたりから外国人投資家が大挙して市場に戻り始め、当時はその勢いが続いていました。

同時に、それを見たタイ人投資家層も投資を開始した結果、コンドミニアム市場は大きくリバウンドし、これがその後のラグジュアリーコンドブームにつながり、中古を含めて右肩上りの市場拡大が続いていたころです。

従って、この当時は「入口」でアップサイドのある有望物件さえ選んでおけば、その後の「運用」や「出口」でもまず失敗はしないだろうという安心感があったので、「入口」で失敗しないことがもっとも重要であるということを書きました。

しかし、あれから4年が経ち、明らかに市場に変化が出てきたので、今年1月に書いた「バンコク不動産投資・2020年版」では、「行きはよいよい、帰りはこわい」という題で、バンコクのコンドミニアム市場は長年の供給過剰で販売在庫が積み上がり、需給バランスがもう限界にきていること、そして今は「出口」が一番難しくなっているので、これからはまず「出口」リスクの少ない物件選びを投資クライテリアの最優先項目とするべきであることを書きました。

出口5
その結果、日本人駐在員が多く住むエリアに固執せず、職住接近と生活の利便性を優先するタイ人アッパーミドルクラスや、ミドルクラスでも可処分所得の多い連中が好んで買う、もしくは住みたがるエリアを選ぶべきだと思うのですが、これには「2019年の人気ロケーション、ベスト5」が参考になります。

もっとも、私は個人的にはこの中ではオンヌット、そしてアーリーとその近くのパヤータイはお勧めだと思いますが、バンナーよりはむしろプンナウィティからウドムスクがいいと思うし、サパンクワーイやラーマ9にはあまり興味がないという若干の違いがありますが...。

出口4
しかし、残念ながら、その後のコロナ不況も加わって新規プロジェクトはほとんど売れなくなり、需給バランスも既に完全に崩れてしまいました。

しかも、コンドミニアムの場合、一旦着工したプロジェクトを途中で止めることができないので、
年間5万ユニット以上が今年、来年と竣工し続けることになり、一方で、ローンが付かなかったり転売ができなかったことで解約される物件も増えてくるので、引き取り手のいなくなった完成在庫が来年以降も続々と出てきます。

次回に続く

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出口、出口、出口(その5)

junior staff
さて、上の月収範囲がいわゆるロワーミドルクラスですが、大学新卒の給料が大きな会社で15,000バーツというのが今の平均であり、このクラスでは新築の場合、郊外の廉価物件でしかも駅から遠い100万~150万バーツの物件が多くなります。

審査不合格
さらに、これより月収の低いロワークラスを含めたこれらのクラスでは、ちょっと前まで4割が銀行からローンの与信を却下されているという状況でした。

しかし、今はコロナ不況も加わった結果、多分、5割以上の購入者がローンを借りられなくなっているはずです。その結果、
郊外の完成在庫が急増中で、いよいよ底値買いのチャンス到来間近か?(その2)」で書いたように、資金繰りが厳しいデベロッパーからは既に半額処分というものも出てきています。

ちなみに、10年ほど前にこういう郊外物件を、単に安いからという理由で買い漁る日本人投資家が結構いました。しかし、廉価物件は劣化が激しく開発用地も周辺にふんだんにあるため、ほとんど価格が上がらず、というよりもむしろ下がるだけで、まともな「出口」もありません。さらに入居者募集も難しく、大抵の投資家は大きな損をしています。

出口3
著書の中でこれまでの3つのクラスの購入可能物件をまとめたのがこの表です。ただし、この中で引用したこのCity Smartのレポート時点から、現在は金利も低下してきているので、月収に対する返済率が同じ40%でも、今の借入可能額は月収の50倍からもう少し上がっています。

借入限度額

参考までに、最近の月収別借入限度額表を添付しておきましたが、
例えば月収が8万バーツあるアッパーミドルクラスなら、今なら最大530万バーツまでのローンが借りられ、これに自己資金を加えれば、600万~700万バーツ(2,000万円~2,500万円)の物件も買えることになります。

もっとも、実際にアッパーミドルクラスの間で今一番よく売れている物件の価格帯は、300万~500万バーツまでということですが...。

なお、単純にこれだけの月収さえあればいいというわけではなく、車のローン等、他の長期ローンがある場合は当然、借りられるローンの額も減ります。

次回に続く

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お問い合わせ先:bkk.condostory@gmail.com

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