ドルバーツ2
1月に「やがてタイバーツのスイングバックが始まる?(その2)」と題して以下のように書きました。

バーツ相場の固定5
私はどう見ても今のタイバーツは高すぎると思っているので、遅かれ早かれいずれは市場の中でスイングバックが起こり、1ドル=34バーツが適正値といわれる水準に戻るのではないかと思っているのですが、タイ政府の政策やアメリカの経済制裁、米中対立等、為替変動には要因がたくさんあるのでいつ頃そうなるのかについてはさっぱりわかりません。
ただ、最近はこの写真にあるように、日本円やタイバーツよりも米ドルが避難通貨として投資家に買われる傾向にあるようで、そろそろ反転スイングバックが起こってもいいようにも思うのですが...。

ドルバーツ1

その後のドル・バーツの動きを日足ベースで細かく現在まで追ってみたのが上の罫線ですが、これからわかるのは、最近のタイバーツは明らかに米ドルに押され気味になっているということです。

実際、2月12日にドルは底を打ち、そこからじわじわとスイングバックを始めて、一時は1ドル=30バーツ以下まで売られていたのが、今朝の時点では31.31バーツまで買われてきました。

しかも、これはドルの独歩高で日本円やユーロに対しても高くなっているので、実質的にタイバーツだけが弱まっているのではないと私も考えていたのですが、昨日の英字紙、タイガーの記事を読んでいると、実際には今年に入ってからのタイバーツはASEANの通貨に対しても売られているということです。

すなわち、インドネシアのルピア、マレーシアのリンギット、フィリピンのペソ、シンガポールのドル、そしてベトナムのドンなどのASEANの主な通貨すべてに対してバーツは安くなっていて、今年に入って東南アジアで最も売り込まれた通貨ということです。

つまり、実質的なタイバーツ安が始まっているということではないかと思うのですが、この記事によれば、以下がこのバーツ安の原因ということです。


Thailand’s depreciation is heavily due to the economic downturn as a result of the pandemic which has all but killed Thailand’s tourist-heavy economy. With borders closed, the drop in foreign tourism pumping money into the economy has left a glaring hole.
Before Covid-19, in the third quarter of 2019, Thailand held a surplus of US$11.5 billion. By the third quarter of 2020, the surplus had fallen to $6.6 billion, and by the end of the year, it had slid to a deficit of $1.4 billion.

今のタイバーツ安はコロナ禍によって引き起こされた経済の失速が原因である。タイの場合、経済の観光収入への依存度が高く、国境閉鎖による外国人からの観光収入の激減が大きな穴を空けてしまった。
その結果、コロナ前の2019年には115億ドル(1兆3,000億円)の経常収入があったのが、2020年は第3四半期まででわずか66億ドル(6,800億円)へと半減してしまった。そして、昨年末には、いよいよ14億ドル(1,500億円)の経常赤字に陥ったのである。

経済がボロボロになるまでタイ政府が厳しい鎖国を続けたつけがまさに今、回ってきているようにも思いますが、「トムヤムグン危機の再来でバーツ暴落か(その2)」で書いたように、海外から資金が流入してこなくなっている現在、流動性の問題により今後もタイバーツが売られて暴落する可能性もないとはいえません。

また、この記事によれば、残念ながら投資家や産業界はタイ政府が今行っている隔離検疫期間の短縮、最終的な隔離検疫の免除で外国人観光客を呼び込み、観光産業を回復させるという政策をあまり信用しておらず、その結果、タイバーツ安が続いているということで、これはいよいよ本格的なバーツ安の始まりなのかもしれません。

いずれにせよ、まだまだタイバーツは高いと思うので、
ある程度まとまった額のタイバーツを保有している人は、今のうちにそのメリットを享受して日本円でも米ドルでも、とりあえずは他の主要通貨に換えておいた方が安全ではないかと私などは思うのですが...。