地価推移1
これは最近、不動産調査会社であるAREAが1994年までさかのぼって、27年間のバンコクCBDの地価の動きをグラフ化したものですが、これまでのバンコクCBDの変遷がこのグラフを見ると手に取るようにわかります。

私の最初の著書、「バンコク不動産投資・基礎編」でも書きましたが、もともとバンコクのCBD(中心部ビジネス街)として発達したのはヤワラート(中華街)でした。当時、タイ経済を牛耳っていたのがタイジーンと呼ばれる中華系タイ人であったことから、ビジネスの中心はこのヤワラートだったわけです。

ちなみに、今もタイ経済の中枢にいるのはこのタイジーンなのですが、シンガポールやマレーシアの華僑と違って、彼らは自分たちは中華系である前にタイ人だと考えているので、タイ人であることに誇りを持っていて華僑とは一線を画しています。それもあってタイ社会においてうまく溶け込んでいるといわれています。

その後、CBDは次第に交通要所であったシーロム通りとスリウォン通り周辺に移っていったのですが、これも1999年12月にタイで初めてのマストランジットシステム(大量輸送機関)、BTSスクムビット線が開通したのを契機に、サイアム、チットロム、プルンチットといったスクンビット線沿いへとさらに移っていきました。

そして、次に地下鉄MRTが開通すると、その2路線が交わるアソークが新たなビジネスの中心地となって現在栄えているわけです。

しかし、BTSやMRTといったマストランジットの駅はもう動くことはないので、将来アソークやプルンチットがかつてのCBDであったヤワラートのように衰退していくということはまずないと考えていいと思います。

特にアソークは、今後ラーマ9、クイーンズシリキット、ワンバンコクといった新ビジネス街とプルンチットやチットロム、シーロムの既存CBDを連結させる基幹駅として、今後ますます重要性を増すと私は考えています。

一方、今は建設中の新線であるオレンジラインやイエローラインの沿線でも大量のコンドミニアムが開発されつつありますが、自宅としてタイ人が実需で買うのとは違い、外国人の投資先として見た場合、マストランジット沿線の駅であればどこでもよいのかというとそれは違います。

例えば、地下鉄MRTの走るラーマ9からラートプラウ、そしてパホンヨーティン周辺などは、中国人の爆買いが始まった2016年以降、デベロッパーがいけいけで大量の新規供給をしたところです。

しかし、2019年4月のLTV規制以降に顕著となったコンド市場の失速、そして2020年のコロナ禍と続いたため、住宅銀行の調査機関REICによれば、中国人の半数がキャンセルに動いたといわれるほど大量の解約が出たようです。その結果、今も大量の完成在庫による供給過剰がひどく、少なくとも向こう3年は需給が締まらないと私は思っています。

次回に続く