ドル高バーツ安4
さて、以下は年初にバンコクポストに載っていたエコノミストによるコラム記事ですが、実は私はこれを読んで、タイバーツを米ドルにしてきてやはりよかったのかもと安心した次第です。

2020年は世界各国の政府がコロナ対策として大量の借金をしてきました。これはタイ政府も同じですが、タイのようにGDPの2割にも相当する観光収入がほとんどなくなってしまった国が、昨年のラオマイティンガン(我々は誰も見捨てない)や、今のラオチャナ(我々は勝利する)といった国民援助を続けた結果、政府は2021年は1兆バーツ以上の借金をする必要があり、その資金が枯渇するリスクがあるというものです。

There is a type of capital inflow called "hot money" which flows into a country for speculation, usually in foreign exchange, not for actual investment. I estimated that there was $12.2 billion of hot money flowing into Thailand in 2020. Once converted into Thai baht, it was about 400 billion baht which nicely satisfied the remaining financing gap for the government.

122億ドルの投機的なホットマネーが2020年にタイに入ってきたと思われ、これがタイバーツに交換された結果、4,000億バーツの資金供給となり、昨年はタイ政府の資金需要を満たすことができた。

My deep concern is, what will happen when it flows out? The Thai monetary system will be 400 billion baht short of liquidity is the answer. Does it sound like what happen in 1997?

しかし、問題はこの4,000億バーツもの投機資金が海外に流出し始めればどんなことが起こるかということである。タイの財政は資金ショートを起こすことになり、これは1997年のトムヤムクン危機と状況が似ているのである。

Luckily, there is still about 750 billion baht of excess liquidity left in the system. But that still leaves a financing gap of 250 billion baht and, if hot money does flow out, the gap will increase to 650 billion baht. That's enough to trigger a liquidity crisis.

現時点ではタイには7,500億バーツの手元流動資金がある。しかし、今年はさらに1兆バーツもの資金が必要なことから2,500億バーツの資金不足となる。しかも、もしこの4,000億バーツが海外に逃げ始めれば合計6,500億バーツの資金不足となるため、資金流動性の危機が再び起こる可能性がある。

政府は以前のように国債を発行して調達すればいいと考えているのかもしれませんが、かつては世界4位、2兆ドルもあった観光収入が消えてなくなった先進国でもないタイの国債を、これからも外国の投資家が買うというのは安易な考えです。

米国のトレジャリーボンドや日本の国債なら信用力があるので海外の投資家も買ってくれるでしょうが、世界でもワーストクラスに入るほどGDPが落ち込んでいる発展途上国タイの国債を誰が買うのかと考えると、このエコノミストが書いているように、確かに流動性危機があるような気がします。

また、2019年並みに4,000万人もの外国人観光客がタイに戻ってくるのは2023年か2024年といわれている中、タイ経済がそう簡単に回復するはずもなく、一方で米国は景気も次第に好転しつつあり、最近長期金利が上がり始めたことから、今のドル高バーツ安はこのホットマネーがアメリカに還流し始めているのかもしれません。

もっとも、私は為替のトレーダーでもないし、あまりタイバーツばかり持たずに米ドルや他の通貨にある程度分散しておくほうがよさそうだと思って、昨年来、米ドルにシフトしてきたのであり、手持ちのタイバーツを全部外貨に換えた方がいいとは考えていませんが...。