瀕死のタイ航空2
さて、このコラム記事の題は「Time to bid farewell to Thai Airways?(タイ航空にお別れを告げる時が来た?)」というもので、要点は以下です。

1. 3月2日はタイ航空が会社再建プランを提出する期限であり、これを受けて5月に破産裁判所が債権者を集めて賛否を問う

2. 債権者集会で債権者の過半数がプランに賛成すれば更生執行人が任命されプランの実行に入るが、拒否された場合、タイ航空に破産宣告がなされ解体となる

3. タイ航空は1月2日、2月3日とこれまでの再建プラン提出期限に対して2度延期してきた(上の図右下の枠にある通り、再建プランの提出は最大2回まで延期できる)が、3月2日が最後であり、これにも失敗すればその時点でゲームオーバー

4. タイ航空はこれまでなぜ2度も再生プランの提出を延期してきたのかについて、何の公式説明もしてない。しかし、大赤字を抱える100%子会社タイスマイルの処分方法、航空機の半数削減に伴う債権カットについて債権者間で生じる不公平、そして最大の問題として、昨年5月の会社更生法申請以来、タイ航空は2万人の従業員の給料を始めオペレーションコスト支払いのために隠れて借金を続けてきていて、それについて何の説明もしてない、という3つの理由で債権者の同意が取れず、にっちもさっちもいかなくなっていると推測される

5. タイ航空は2万人の従業員を抱える大会社であり、コロナ前には年間24百万人の客を運んでいたが、今は月間10億バーツ(35億円)以上もの赤字を垂れ流している。再建するには少なくとも300億バーツ(約1,000億円)もの追加資金投入が必要であり、コロナによる観光客激減がこれからも続く中、そんなタイ航空に出資する投資家などいない

瀕死のタイ航空3
もともとタイ政府が過半数のシェアを持つ株主であったタイ航空は、“親方日の丸(タイ政府)”であり、これまで政治家と軍人に資金源としていいように利用されてきただけでなく、一方で
従業員側も組合が強くて経営合理化案には何でもかんでも反対するだけだったという役人体質なことから、「タイ航空を救え?」で「タイ航空はかつての日本航空と同じで、人件費も高く経営効率が悪いので毎年赤字のエアラインです。また、かつての日本の都銀のようにエリート意識ばかり強いバンコク銀行、そして、タイ航空も国営のナショナルフラッグキャリアとしてのエリート意識が強いのか、あまりタイ人一般庶民からは好かれていないようです」と書いたように、今でもそれほどタイ国民からの支持はないように思えます。

この辺、タイ航空がいかに問題が多いかは「誰がタイ航空をこんなにした?(その2)」で外国人アナリストや元財務相等のコメントを書いているので、それを読んでもらえば多額の追加資金を投入して再生させるに値しない会社であると思うはずです。

従って、どう見ても追加資金の導入が難しそうな赤字体質のタイ航空をそれでも存続させることに何の意味があるのかといえば、観光大国のタイにナショナルフラグキャリアがないというのは格好がつかない、将来また年間4,000万人もの観光客がくるポテンシャルがあるのに、このドル箱路線を外国のエアラインに全部持っていかれるのはもったいないということなのだろうと思います。

私は個人的にはタイ航空はもう破産宣告、即解体がベストではないかと思いますが、これを決めるのは既存の債権者たちです。しかし、タイ航空が新たな投資家を見つけてきて説得力のある再建プランを3月2日に出せなければ、過半数の債権者たちが同意するとも思えず、結局5月にはこのコラムの題名からクエスチョンマークが取れて「
Time to bid farewell to Thai Airways(さらばタイ航空)」となる可能性が高いのかもしれません。

もっとも、タイ政府のことですから土壇場で追加出資に応じるなどといい出しかねず、もしそうなったりするとその無駄銭はまたタイ国民の肩に重くのしかかるわけですが...。