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最近、バンコクポストなどでもバイデン新大統領の時代になり、タイはこれからトランプ時代よりもっと軽視される可能性があるという社説が出ていますが、その理由は以下のようなものです。

From Washington's vantage point, other non-allied countries in the region such as Vietnam, Indonesia and Malaysia have already moved up the security ladder and now occupy the top ranks among US strategic partners. Singapore has always been a preferred strategic partner status -- a virtual ally of sorts.

ワシントン内部では、本来同盟国ではないベトナムやインドネシア、マレーシアといった国々と、これにシンガポールを加えた4か国がアメリカの戦略的パートナーとして最高クラスにランクされるようになっている。

These strategists often cite Vietnam as a successful country which has won Washington's support due to its clear security posture. The lawmakers in the Beltway also give importance to Hanoi because it has stood up against China. That helps explain why during the Trump era, Vietnam's status in the US global strategy was given a significantly lift, challenging traditional allies like the Philippines and Thailand due to their perceived closed ties with China.

特にベトナムはその明確な国家安全重視姿勢によって、ワシントンの支持を得ることに成功した国であるが、中国と断固として対立するハノイ政府の姿勢も評価されている。その結果、ベトナムはトランプ政権時代に、米国の世界戦略の中でその重要性が一挙に上位に位置付けられるようになった。一方、伝統的な同盟国家であるフィリピンやタイは中国との友好的な関係を続けていることからその位置付けは下がった。

これは以前「南シナ海防衛、海軍力を増強するASEAN」でも書きましたが、南シナ海のなんと90%が中国の領有という無茶苦茶な主張をする中国と真っ向から対立しているベトナムやインドネシア、マレーシアが米国にとって味方と思えるのはもっともなことです。

それに対し、かつての盟友国であるタイのプラユット首相、フィリピンのドゥテルテ大統領は中国寄りとも思えることから、米国からあまり信用されていないというのもわかります。もっとも、フィリピンは領海内の南沙諸島に中国の軍事基地をいくつも作られたりして一番危機的状況なはずなのですが...。

そして最近のポストトゥデイでも、米国にとってタイの存在価値が薄れている理由について書いていますが、バイデンの民主党は民主主義を重視し、クーデターによって樹立されたタイの軍事政権を、
オバマ政権時代から民主的でない国家と見ているというのもあります。

また、最近の学生による反政府運動に対するタイ政府の対応に対し、非人道的な抑圧と批判しており、これも現政権を軽視する理由の一つのようです。

トランプ政権時代は、イデオロギーよりも実利を重視する大統領であったことから、プラユット首相がアメリカを訪問した時にも面談したりしていたのでまだよかったのですが、バイデン政権ではもっと状況は悪くなるというのも仕方がないことです。

バイデン2
そんな中、一昨日のポストトゥデイによると、米国の支持もあって最近台湾独立の動きが出てきたことを受け、そんなことをしたら中国は戦争を起こすとの警告を出しました。

トランプ大統領はビジネスマンなので、貿易戦争はしたが一度も任期中に熱い戦争はしなかった数少ない大統領の一人と評価されていますが、一方でバイデン大統領は、アメリカは民主主義の旗手であるべきという根っからのイデオロギー主義の政治家なので、戦争を起こす可能性は十分あるといわれています。

こうなってくると、これからは領有権を主張する南シナ海周辺国と台湾が米国をも交えた中国との戦火の危機を迎えることになるかもしれません。もっとも、そうなると、中国と尖閣列島問題を抱える日本も対岸の火事とはいっていられなくなるかもしれませんが...。

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いずれにせよ、バイデン政権は南シナ海を巡る中国との領有権問題については、ASEAN側につくと既に明言しているので、実際に戦争が勃発する可能性は十分あると思います。

ただ、この領有権問題に関しては、タイは無関係ということもあって、プラユット政権になってから中国と友好的な関係を続けていることから、同じASEAN国家であっても、戦争には巻き込まれないかもしれませんが、今後もバイデン政権に軽視されることになりそうです。