憧れのタイ2
今回の感染爆発でそもそもの発端となったミャンマーからの不法労働者について、プラユット首相も密入国者やそれをアレンジする違法業者の取り締まりをさらに厳しくするように指示しました。

しかし、感染防止という意味では今更遅く、合法不法を問わずもう何十万人という労働者がミャンマーからタイに入ってきています。特にコンドミニアムの建設現場で働く労働者のほとんどがミャンマー人といわれているほどです。

現地オンライン紙、ポストトゥデイによれば、いくら彼ら不法労働者を捕らえて刑務所に入れても、今度はその刑務所関係者が感染し、やがてその家族や周りの人に感染が広がるので、結局制御できないということで、全くそうだと思いました。人を捕らえて拘束してもウイルスは鉄格子など関係なく浮遊するので始末が悪いのです。

ところで、この記事が問題にしているのは、現時点で最も感染リスクの高いミャンマー人を中心とする外国人労働者たちに優先的にワクチン注射をするのかどうかについてです。

タイ政府はアストラゼネカ社と2,600万接種分のワクチンを購入する契約をしていますが、ワクチンは2回接種する必要があるので、実際には約7,000万人いるタイ人の内、1,300万人分しかないわけです。

その後、パトゥンタニ工場での量産が軌道にのればもっと出回るのだろうと思いますが、当面はこの1,300万人分を誰に振り分けるかが課題となっています。

当初は医療従事者、高齢者、基礎疾患を持つ人などのコロナ弱者を優先するという計画だったのですが、今回の感染爆発で事情が変わってきました。一番感染リスクの高いミャンマー人を最優先しないと、この後もさらに感染拡大が続き制御できなくなる可能性があるのと、彼らを無視するのは人道的な問題もあるのです。

これは1,100万人もの不法労働者がいるといわれるアメリカや、タイと同じように下級労働者のほとんどが外国人労働者であるシンガポールでも同じ問題があり、議論されています。不法移民に厳しいトランプ大統領は反対で、バイデンは人道的見地から不法労働者にもワクチンを接種するべきということで考えが違うようですが、シンガポールは外国人労働者にも接種を認める考えのようです。

ちなみに、ここでタイ語でต่างด้าว(ターンダーウ)と書いてありますが、同じ外国人を意味するคนต่างชาต(コンターンチャート)とは少しニュアンスが違います。前者は発展途上のミャンマー人やラオス人、後者が先進国の人という意味合いで使い分けられていて、我々日本人は先進国人なので、今回優先的にワクチン接種は受けられません。

しかし、この記事によれば、北部の国境では日常的にミャンマー人とタイ人が行き来する自然にできた小道がたくさんあり、これからもミャンマー人はタイを目指して続々と入ってくるようですが、そうなると、ワクチンはいくらあっても足りなくなります。

彼らにしてみれば、母国ミャンマーでは仕事もなく、コロナの感染爆発で既に医療崩壊が起きていて、病院もこれ以上の患者を受け入れられないという状況の中、コロナに感染したらそれこそ手の打ちようがないことからタイを目指してくるのだそうです。

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そんな中、ミャンマー軍は、昨年インドから購入したオンボロ潜水艦を披露して軍事力を誇示し、
コロナの感染で苦しむ国民のことなどほったらかしで、盛大な式典を行ったというのです。

ミャンマーではそれだけ無能な軍部が権力を握っているということだと思いますが、これに比べれば、経済運営がヘタな軍事政権とはいえ、政府がコロナ制圧に全力を尽くしていて、さすがにこんなバカなことはしないタイの方がよほど住みやすそうです。

そして、こういう状況がわかってくると、ミャンマー人たちにとってみれば、仕事があって、しかもコロナの感染もない安全なタイは、すぐ隣にあって歩いて行ける天国なのかもしれません。