Moriya2
前回書いた全米女子オープンに関するコラムは、ちょうど大会3日目を終えたところということもあり、随分多くの人が読んでくれました。しかし、最終日の結果は期待通りにはならず、渋野選手もモリヤ選手も最後で力尽きてしまい、本当に残念でした。

実は昨年のホンダLPGAの時、私もパタヤまで観戦に行ったのですが、その時に初めてモリヤとアリア・ジュタヌガーン姉妹を目の当たりにしました。ただ、その時は、ああ、この2人が有名なタイのスター選手かと思っただけでした。

ちなみに、アリアはあまりに長距離ヒッターなので、ゴルフバッグにはドライバーが入っておらず、代わりにフェアウエイウッドの3番でティーショットをすると聞いていたので、本当かなとわざわざ近寄って見てみると、確かにドライバーが入ってなかったのを覚えています。

しかし、その後間もなく彼女たちの映画「プローメイ」が封切りされて見に行ったのがきっかけで変わりました。2人の
生い立ちや苦労がわかると親近感がわくもので、それ以降、私はこの姉妹のファンになってしまったのです。

ところで、彼女たちがその厳しい父親と決別して、まだ10代の頃に母親と一緒に海外でツアーを始めたのですが、当時の生活の様子が映画の中でも描かれています。

当たり前のことですが、
世界はそんなに甘くなく、最初はなかなか勝てない中、ツアー参加のための交通費や宿泊代、キャディフィーにも苦労する生活を続けていました。

そんな苦労の末、やっと妹のアリヤが17歳の時、つまり2011年あたりから世界で成績を残せるようになり、それが2016年の全英女子オープン、そして2018年の全米女子オープンでの優勝につながったわけです。一方、姉のモリヤの方も、2018年にLPGAで優勝し、姉妹で世界ツアーの優勝経験者となりました。


アリア インタビュー
ところで、実は今回、テレビでの彼女たちのフラッシュインタビューを初めて見たのですが、その英語のうまいことに驚きました。映画の中では、父親が学校にも行かせずゴルフの特訓に明け暮れる毎日で、本人たちは満足に教育を受けてないようなことを描いていたのですが...。

Moriya
彼女たちはまだ10代半ばという若いころから世界ツアーの荒波にもまれながら生活していくしかなかったことから、必死で英語を覚えていったのだろうと思います。

貧乏な家の出身であり、ツアー生活の中で英語学校に通うなどという余裕があるはずもなく、サバイバルイングリッシュとして英語を自分のものにしたのだろうと思います。その結果、今も単語の末尾を上げるタイ英語独特のアクセントは少し残っているものの、欧米マスコミからのインタビューの中で冗談を交えながら、ほとんどネイティブの英語でやり返していたのですからすごいものです。

以前、「
タイ人も実は英語はすごく苦手(その3)」で書きましたが、日本人は英語が下手だとバカにするようなタイ人も一部にいますが、実際には一般的にはタイ人は日本人以上に英語が下手であり、そんなことをいわれる筋合いはないと私は思っているのですが、この2人の英語には感心させられました。

渋野日向子
ところで、渋野選手は全英女子オープンを制覇した際のインタビューで、「私も英語が喋れるようになりたい」といっていました。そして今彼女は、これから全米ツアーに挑戦していきたいともいっています。

そうなると、あと3年もしたら欧米人記者とのインタビューで、いつものスマイルだけでなく、
ジュタヌガーン姉妹のように通訳を介さずとも冗談を交えながら英語で応じられるようになっているかもしれません。

そうなったら、英語のインタビューにも応じられたかつての世界テニス界の伊達公子のように、まさに世界の渋野であり、格好いいだろうなと思った次第です。

PS: 映画プローメイに興味のある方はプロモーションビデオの「โปรเม」を見てください。