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まず、NPLについてですが、これはNon Performing Loanの略です。日本語だと債務者の返済が滞った"不良債権"のことですが、随分昔のことなので、金融機関で働く人ででもなければ、NPLって何だ?と思う人も多いかもしれません。


今から20年以上前のことになりますが、日本の金融機関がバブル崩壊により何兆円ものNPLを抱えて苦しんでいた時に、外資系金融機関がその焦げ付いた不良債権を買い取り、スペシャルサービサーというプロを使って債権回収をしていったおかげで、日本の金融機関はようやくバブルの後遺症から抜け出すことができたわけです。

もっとも、失われた20年といわれるように、日本経済が新たな成長を始めるには、その後、さらに10年の助走期間が必要だったわけですが...。

ところで当時、私はGEキャピタルというアメリカのノンバンクで不動産投資をやっていたのですが、同じ会社で働いていた同僚のアセットマネジャーたちがこの債権回収ビジネスをやっていました。

不動産のアセットマネジャーといっても、私はいわゆるハードアセットと呼ばれる不動産そのものに投資して運用するアセットマネジャーだったので、建築、施工面だけでなく、空調設備や機械式駐車場、エレベータといったエンジニアリング系の方にも強かったのですが、彼らは
バックグラウンドが不動産そのものというより、どちらかというと権利関係や抵当権といった不動産に関する法律に詳しく、登記簿謄本を読んだだけでその物件の歴史を読み解いてしまうというほどのエキスパートたちで、大量のNPLを金融機関から買い取って債権回収をやっていたわけです。

さて、タイでも1997年のアジア通貨危機で大量のNPLが発生したのですが、その際、窮地に陥ったタイの金融機関を救うために政府によって設立され、金融機関からNPLを買い取って不良債権処理をしていったのがこのBAM(Bangkok Commercial Asset Management)です。

しかし、昨日のバンコクポストの記事によると、BAMが買い取ったNPLの担保となっている不動産の売却が進まず、今期の売上は前期比で77%ものダウンとなり、さらに来年も状況が好転する見込みが立たないことから、来年のNPLの買い入れ基準は特に厳格にするとのことです。

ちなみに、同社会長によれば、かなり安く買っているはずのNPLであってもその担保不動産が売れない理由は以下とのことで、今はミドルクラスの購入者層にとって、値段が安くてもコンドミニアムを買える状況にないことがわかります。

“Sales of our assets are very tough because people don’t have money,” said Mr Bunyong. “Some of our debtors are still on debt repayment waivers because of the impact of the pandemic.”

我々にとって不動産の売却が非常に難しくなっている最大の原因は、人々にお金がないことにある。また、買い取ったNPLの債務者の中には、コロナ不況の影響で今も債務返済の免除を受けているものもいる

次回に続く