反政府デモ1
前回にもちらっと書きましたが、どうもこのところ、反政府デモの中でも王制改革について意見が割れているように思えます。

この現地ニュース記事を読んでいると、2日前の11月1日夕方、ウドムスクでデモがあったのですが、実はこれは反主流というか、もともとは7月に最初の頃の反政府デモが開かれた頃からのリーダーであり、ピープルズパーティ・バンコク東部地区のリーダーでもあるナットウット・ソンブーンが、「‘All People Endgame’(全員ゲームは終わりにしよう)」というグループ名で集会を開いたものだそうです。

そして、その中で彼が表明したのが以下です。

เรียกร้องต่อรัฐบาล 3 ข้อ ได้แก่
1.นำรัฐธรรมนูญฉบับ 2540 กลับมาใช้ใหม่
2.ยุบสภา เลือกตั้งใหม่
3.ร่างรัฐธรรมนูญฉบับประชาชน โดยประชาชนและเพื่อประชาชน
政府に対して次の3つの要求をする
1. 変更前の2017年の憲法に戻ること
2. 議会を解散し新たな選挙を行うこと
3. その後、国民による国民のための新憲法を草案すること

すなわち、このグループはそもそも7月に始まった当初デモの要求に戻り、憲法を元に戻した上で議会を解散し、新しく選挙で選ばれた政府のもとで国民主権の新憲法を草案するというものです。

そして、原点に返ってこの要求が通ればもうデモは終わりにしようというもので、9月ごろから出てきたもっと急先鋒のニューリーダーたちによる王室制度の改革要求を敢えて除外したわけです。

これを聞いたマスコミはピープルズパーティがその要求を引下げてきたと一斉に報道したのですが、実はそれには裏事情があり、反政府デモの中でも意見の食い違いが出てきているようだ、というのがこの記事の興味深いところです。

ピープルズパーティ

The mostly young demonstrators have been demanding a new constitution and the resignation of the current government that remains closely aligned with the military.

But some leaders of the movement have also been pressing for reform of the monarchy, an issue that has provoked strong reactions from more conservative elements of society.
(9月のタマサート大学キャンパスでの集会で)
デモ参加者のほとんどが若者で、憲法改正と軍部と癒着する現政府の辞任を求めていた。しかし、リーダーたちの一部には王制改革を要求するものも出てきて、これが社会の保守層から反感を持たれることになった。


一方、これに対して、現在のリーダーの一人、ニックネーム"ペンギン"は、そんなことは容認してないし、彼らが勝手に言い出していることであり認められない。これからも今まで通り、王政改革を含めた要求を続けるという声明を出したわけです。

これで、ピープルズパーティといっても実は1枚岩ではなく、最初に首相の辞任と議会解散、憲法改正を求めて始まったデモがいつの間にかもっと過激なリーダーたちに扇動されてしまい、内部分裂が始まっているということなのかもしれません。

しかし、こういうのを読んでいると、昔、日本でも団塊の世代やそれ以前の人達がやっていた学生運動に似ているように思えます。

私は出身が早稲田ですが、学生運動がとうに終わって世の中はしらけの時代に入っていたにもかかわらず、その頃でもまだ、法学部は民青でその他の学部は革マルとか、なんだかわからないイデオロギーの違いみたいなのでいがみ合っていたのを覚えています。

従って、日本の学生デモのことは確か中学時代でよく覚えてないし、興味もなかった世代ですが、日本の歴史が証明するように、学生運動も度が過ぎていくと、東大安田講堂の占拠や機動隊との激しい衝突があったし、今の香港でも同様の混乱が起こっています。

デモというのは長引くと最後は暴力的になっていくと思っているので、今回のデモも次第に過激なリーダーに扇動されていくのが怖いです。

平和的なデモを続けているうちに、首相が辞任を決意し、議会が解散され、王政改革については新憲法のもとで国民に選ばれた新政府に任せる、というのがベストな落としどころではないかとも思います。

もっとも、実際には、この国でそんなに民主的にことが進むはずがないというのもわかっていますが...。