南シナ海2
今、タイ国内はプラユット首相の辞任を要求して学生のデモが続いていますが、6年前にクーデターで軍事政権が成立した際、アメリカのオバマ大統領を筆頭に民主主義諸国は、軍事政権は民主的ではないとして非難していました。

もっとも、私の記憶では、安倍政権はこの件についてはだんまりを通していたように思いますが...。5,000社もの日系企業がタイに進出していただけに、迂闊なことはいえないという立場上、仕方がなかったのだろうとも思います。

それに対してプラユット首相が起こした行動が中国政府へのすり寄りです。アメリカにとってタイは地政学的にも非常に重要で、タイが中国寄りになると困ることから、結局、オバマ政権も次第にトーンダウンしてしまったのですが、そういう意味で、プラユット首相は策士としては優秀でした。

一方、中国の習政権にしてみれば瓢箪から駒で、思わぬところで味方が増えたわけです。それ以来、中国政府とタイ政府は良好な友好関係が続いていますが、それもあって多くの中国人観光客や個人投資家がタイにやってきてコンドミニアムを買ったりしています。さらに、タイは中国と南シナ海の領有権問題がないし、国内に米軍基地もないというのも大きな理由です。

米中戦争
少し前に「マレーシア不動産から撤退する中国人バイヤー」で、マレーシアに移住した中国人は南シナ海の領有権問題や最近の米中間の争い激化で危機感を覚え、母国に戻る人も出てきていると書きましたが、彼らにとって友好国であるタイに対しては、その危機感がないわけです。

しかし、フィリピンやベトナム、インドネシア、マレーシアなどにとって、南シナ海の90%以上の領有権を主張する中国のいいがかりは到底受け入れられません。

タイのオンラインニュース、ポストトゥデイによれば、中国は既にパーセル諸島で20もの基地を建設し、その海域全体を手中に収めようとしていて、フィリピンは急いで海軍増強のために駆逐艦や潜水艦をオーダーしたそうです。また、ベトナムとインドネシアも同様に海軍力を急ぎ増強中です。

ただ、残念ながら、アメリカのペンタゴンによると、中国海軍は今、350隻の軍艦、52隻の潜水艦、2隻の空母、4隻の核搭載大陸間弾道ミサイル艦を持つ世界最強であり、ASEANで最強の海軍力を誇るベトナムでも到底太刀打ちできないということです。

南シナ海1
ところで、これは尖閣諸島の領有権を主張する中国ともめている日本も同じような状況です。しかし、このニュースでは、「10月26日、
米軍は尖閣諸島で中国と事が起これば日本に協力して軍隊を派遣すると宣誓した」とも書いていて、南シナ海で中国にやりたいようにやられているASEANにとっては、米国という心強い味方がいる日本が羨ましいのかもしれません。

これは、
2014年にオバマ政権が尖閣諸島は日本の領土であると表明してくれたおかげです。もっとも、いざとなった場合、本当に米軍が助けてくれるかどうかはわかりませんが、少なくとも日米安保条約の存在は、中国に対する大きな抑止力になっているのだろうと思います。