完成在庫予測
ところで、この表を見るとAREAの調査では、現在の販売在庫である90,486ユニットの内、2020年には22,622ユニットが竣工します。今の販売不振だけでなく既契約のキャンセルも続出する中、2019年以前に竣工している在庫と合わせて約29,000ユニットもある完成在庫が、年末までの半年で急激に減ることは思えず、2021年に入っても依然2万ユニット以上が完成在庫として残っていると思います。

そして、2021年にはさらに28,051ユニットが竣工します。「不動産投資、少なくとも今は「休むも相場なり」が一番」で書いたように、REICも2021年は依然販売在庫が増え続けると予測していますが、完成在庫もさらに増えることになります。

しかも、この表には今後新たに売り出される新規プロジェクトは入っていないので、それらを含めると、実際には2022年と2023年に完成するユニットはもっと増えます。

従って、
AREAが指摘するように、販売在庫ユニット数を正しく把握して新規供給を抑制させなければ、いつまでたっても供給過剰の問題は解決されず、市場回復はさらに遅れることになります。

ところで、先のREICの予想では、販売在庫は増え続けるものの2021年末には住宅市場は回復し始めるというのですが、デベロッパーにとって最も資金負担のかかる完成在庫が増えるにもかかわらず、市況が回復するというのはどうも納得がいきません。

やはり、不動産市場が回復を始めるのには、早くても2022年以降のように思えるし、むしろ、AREAが指摘するように、今も市場が低迷する中、今後さらに一段と市況が悪化するようなことが起これば、途中で開発がストップしてしまうプロジェクトが出てくる波乱もあるという話の方が説得力があるように思います。

タイの住宅不動産の位置

とはいうものの、タイはやはりアセアンの中ではその経済規模や地理的な観点からハブともいえる国であり、その首都バンコク不動産の投資対象としての魅力は、不動産投資で最も重要な指標である平米単価、利回り、そして過去の上昇率を周辺各国と比べた場合にバランスが取れていることだと思うのです。

すなわち、バンコクはデベロッパーによる供給過剰という大きな問題を抱えているものの、国内需要だけでなく外国人需要も大きいので、今後供給を抑えていけば解決できますが、香港やシンガポールのように平米単価が既に高すぎる、カンボジアのように利回りはそれなりに高いものの、経済規模が小さいので不動産市場の規模も小さくて脆弱などと考えていくと、個人投資家にとって、比較的安定したアジアでの適格な投資対象国はある程度限定されてきます。

そこで、これはという投売物件を見つけた場合、底値買いをするのは悪くないとは思うのですが、今の状況では、できれば完成物件を買った方がいいし、開発途上のプロジェクトの購入予約権を買うのであれば、ほぼ竣工が近づいているコンプリーションリスクの小さいものを選ぶべきです。

また、いくら安くても資金的に体力のない中小デベロッパーは、苦しくなってくると手抜工事をしたり施工不良に対するアフターフォローもしなくなるので、評判のいい大手デベロッパーのプロジェクトに絞った方がよさそうです。


もっとも、こんな状況では先が全く読めないこともあり、やはり今は特別なチャンスにでも出会わない限り、無理せず来年までは何もしないことを私はお勧めしますが...。