AREA対REIC
これは最近、不動産調査鑑定会社のAREA(Agency for Real Estate Affairs)が発表した、現在及び将来のタイ住宅市場での販売在庫に関する予測ですが、政府銀行系の調査機関であるREIC(Real Estate Information Center)が出している数字と比べると大きく違っています。

特に、2020年半ば時点での販売在庫数については、AREAの384,000ユニットに対し、REICは293,000ユニットと24%も少ないのです。その結果、REICの数字は今の過剰供給の問題を過小評価しているため、関係者をミスリードしてしまう危険があるというのがAREAの主張です。

AREAは全てのプロジェクトを調査していったようで、その数字には相当な自信を持っているみたいですが、政府や銀行、デベロッパー等が市場の実態を正しく把握していなければ、もっと販売在庫の処分を促し、新規供給を抑えるべき時に、その判断を狂わせてしまうリスクがあるというわけです。

もっとも、政府系のREICとしては、あまり問題を大きくしたくないということでバイアスがかかっているのかもしれませんが...。

一方、金額ベースでは、今年末及び来年の販売在庫ついて逆にREICの方が多くなっていますが、これはREICが使っている住宅平均価格が140,700ドルと非常に高く、AREAが実際に調査した平均価格117,064ドルより2割も高いのが原因の1つであり、もう一つはREICはデベロッパーが今後も新規プロジェクトの開発を減らすとは想定してないからということです。

販売在庫
そして、何より心配なのは、現時点でのコンドミニアム開発進捗状況です。AREAによれば、コンドミニアムの開発で、既に8割以上完成しているプロジェクトは、大きく市場が崩れても完成させてしまった方が得なので、途中放棄のリスクはあまりないものの、例えばまだ開発が始まったばかりのプロジェクトは、今後市場がさらに悪化したりすると、途中で中止になる可能性があるということです。

例えば、この表の中で現在の販売在庫である90,486ユニットの内、実に22,704ものユニットがまだ全工程の2割以下しか開発が進んでいない初期段階です。従って、9,002ユニットが2022年に、14,478ユニットが2023年に竣工予定であり、もし来年にコロナの第2波等で更なる市場混乱が起これば、建設途中で放棄されるプロジェクトが出てくる可能性があるということです。

コンドミニアムというのは1軒ずつ建てていく戸建て開発などと違って、一旦着工すると全体が竣工するまで工事を止められないので、市場悪化や売れ行き不振で銀行に開発ローンが止められた場合など、途中放棄ということも起こります。実際、1997年のアジア通貨危機の時には、完成されないまま放置されてしまったプロジェクトがいくつもありました。

こうなってしまうと、購入者にはそれまで払ったダウンペイメントは戻りません。これをコンプリーションリスクというのですが、プレビルドにはつきものです。そこでAREAは、最悪の場合に備えて、購入者を保護するためにエスクロー制度の導入を主張してもいるわけです。

次回に続く