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タイは今、特別観光ビザで30日以上の長期滞在をする外国人に絞って観光客を受け入れようとしています。しかし、例えば日本人観光客の場合、日本で出発前に2週間、タイに着いてから2週間の計4週間、また、タイ国内の他の場所も旅行する場合はさらに1週間の計5週間の隔離検疫が必要という厳しい規則になっています。

これでは、30日ぐらい滞在しても元は取れません。ワークパミットを持っていて、隔離検疫も会社負担ならまだいいですが、観光客やロングステイヤーにしてみれば、なんだかんだで検疫に50万円近い費用を個人負担してまでタイに行こうとはしないと思います。

最近、TAT(タイ観光局)のロンドン支局がヨーロッパで、タイに観光に行きたいという人たちにアンケート調査をしたところ、隔離検疫があってもタイに行きたいという観光客はわずか6%しかいなかったという報告も出ていて、やはり検疫は大きなネックであり、今の特別観光ビザの条件では、外国人観光客の増加は大して見込めそうもありません。

そんな中、7月15日から検疫なしで全ての国からの観光客に門を開いたアジアの国があります。タイは観光大国であり、2019年のGDPに対する外国人観光収入の割合が20%と大きいですが、その比率がなんと66%、つまり、GDPの3分の2が観光収入依存という島国、モルディブです。

(CNN) — Though border restrictions and quarantine measures are keeping people from visiting many of the world's most popular travel destinations at the moment, one country famed for its natural beauty is now welcoming all guests -- the Maldives.

As of July 15, this island nation in the Indian Ocean is reopen to international tourism and, perhaps remarkably, very few strings are attached.

Global travelers will not have to enter into a mandatory quarantine upon arrival at Velana International Airport in the capital, Male. Nor will they need to produce proof they have tested negative for coronavirus.

(世界中の有名観光地が、国境閉鎖や隔離検疫で観光客を遠ざける中、その自然の美しさで有名な国、モルディブが世界中からの観光客受入れを始めることになった。
インド洋に浮かぶこの島国は、7月15日から入国規制をほとんど全部撤廃して国の門を開くことを決めたのである。

なんと観光客は入国後の隔離検疫がなく、コロナに感染してないという事前証明書も不要なのである)


大小1,000を超える島からなる地上の楽園モルディブは、コロナの感染防止策としてタイと同じく3月27日からロックダウンを実行し、外国人観光客をシャットアウトしたのですが、7月には、これ以上続ければ国全体が破綻するという経済危機に陥ってしまいました。

その結果、背に腹は代えられぬと、とうとう7月15日に世界中の観光客に対し門を開いたのです。しかも、入国前での感染してないという証明は不要、入国時のPCR検査もなし、その上、隔離検疫もなしというコロナ以前の状況と同じに戻したわけです。

実は南アジアのモルディブに限らず、カリブ海諸国等、観光依存度が極めて高い国は外国人観光客をいつまでも締め出しておくわけにはいかず、このように受入れつつあるようです。

モルディブ5
しかしながら、その結果は期待外れでした。8月末までの1か月半でやってきた観光客はわずか9,329人と、昨年モルディブにやってきた外国人観光客、170万人に比べれば本当に微々たるものでした。

その理由には、多くの
エアラインが欠航しているため、主たる観光客がやってくるヨーロッパからの直行便がなくなったというのもありますが、むしろ、モルディブだけが規制をフリーにしても、ヨーロッパ各国ではまだ検疫義務があるため、観光客が母国に戻った際にやはり隔離検疫が必要ということがネックになっているようです。

モルディブ3
従って「「特別観光ビザ」発行で観光産業のメルトダウンを阻止」で書いたTATの当初目論見であったように、政府間の合意でお互いの検疫を免除するというような取り決めをしなければ、どちらか片方だけが検疫免除してもあまり効果はないということなのだろうと思います。

そいう意味では「英国政府がタイ人観光客に対する検疫免除を決定」にあるように、英国は既にタイ人観光客に対して検疫免除を決定しているので、あとはタイ政府が英国からくる英国人観光客、そして英国から戻ってくるタイ人観光客に対しても検疫免除をすれば、一挙に観光客の往来は増えるはずです。

しかしながら、9月に入って、モルディブ政府は受入方針を変更すると発表しました。その理由は、恐れていた通り、規制撤廃後に感染者が急増し始めたからです。累計でわずか9,000人ほど外国人観光客を受入れただけで、毎日100人前後、多い時には200人もの新規感染者が出始めたのです。

次回に続く