アジア各国の英語レベル
ところで、タイでは上流階級の人達は海外に留学していた人も多く、英語を流暢に話すとよくいわれます。しかし、これまでの私の経験上、一般のタイ人で英語がうまい人は実はあまり見かけません。

この分布図はEnglish Proficiency Indexと呼ばれるもので、世界100か国の英語レベルを調査し色分けしたものですが、アジアではフィリピンとシンガポール、マレーシアが“高度なレベル”であると評価されています。

タイ人の英語レベル
一方、タイは74位と世界的にも“非常に低い”レベルであり、年々順位が下降傾向にあるものの53位と何とかまだ“低い”レベルに留まっている日本に比べても、英語が苦手なことがわかります。

例えば、これはちょっと変な例かもしれませんが、先に書いた大手のタイ語学校、UTLには主に20代、30代の教師が20人以上いました。当然、
全員が大学を卒業して高等教育を受けているにもかかわらず、その教師のほぼ全員が英語をほとんど話せないのです。

また、英語で授業をやると聞いているアサンプション大学の学生が、BTSの中で隣に座っていて、流暢な英語で友人と話しているのが聞こえてきたことがあります。それをよく聞いてみると、英文法をちゃんと勉強してないので、単語が正しく並んでないまましゃべるため、私にはなんだか意味がよくわかりませんでした。

もちろん、同校の学生みんながそうだというわけではありません。ただ、タイ人は
日本人と違って文法や発音が間違っていても気にせず自信ありげに話す人が多く、流暢に聞こえますが、実際には文法をしっかり勉強している日本人の方が正しい英語を話すと私は思います。

日本では、わかったように日本の文法偏重教育を非難し、だから日本人はいつまでたっても英語が話せないのだ、という人が多くいます。しかし、これは私だけでなく、海外留学した日本人の多くがいうことでもありますが、英語は文法がしっかり頭に入ってないと、ある段階で必ず壁にぶつかってしまい、それ以上は上達しなくなります。つまり、中級以上になりたければ文法力がものをいうのです。

例えばEメールでもいいですが、その人の文法力は書いた文章を見ればわかります。文法力がないと長文が書けず、簡単な短文の羅列になります。しかも、それにもかかわらず文法の誤りが次々と見つかります。

そして、私の仕事上の経験からも、タイのデベロッパー等との英語によるメールのやり取りで、簡潔で論理的な文章を書いてくるタイ人ビジネスマンはほとんどいませんでした。そういうことからも、一般のタイ人ビジネスマンや大学生の英語レベルというのは実は大したことはなく、むしろ、とつとつと話す日本人の方が英語レベルは高いと思うのです。

日本人の英語レベル
もっとも、この時系列表からわかるように日本人の英語力もジリ貧で、毎年順位が下がっているわけですから、タイ人よりも英語レベルが高いといってもさっぱり自慢にはなりません。

これは、日本人の英語力が毎年低下しているのではなく、ワールドランゲージとして世界で英語が普及し、それに伴って中国や韓国といったかつては日本と同様、英語が苦手であった国がレベルアップしていく中、日本だけが取り残されているということです。

すなわち、
日本人の英語音痴は世界でもトップクラスということであり、政府がちょっと英語教育に力を入れたぐらいではなかなか治らないのかもしれません。だから、先に書いた著書の「タイ語って簡単?」の中で、もしどうしても英語が苦手なら、あまり文法の束縛がないタイ語の勉強をした方がいいかも、と書いたりもしたのですが...。

ところで話は変わりますが、この記事によると、タイ政府は英語教師以外に中国語のネイティブ教師も1万人雇い入れる計画とのことです。これからグローバルパワーとなる中国の経済力を考えると、中国語も非常に重要になるからだそうです。

しかし、現在タイに進出している日系企業は5,000社とも6,000社ともいわれる中、
自動車産業だけでGDPの2割のシェアを占めるというほど日本企業が貢献しているわけで、1万人とまではいわなくても、タイ文部省はせめて5,000人ぐらい日本人教師を雇って日本語教育にも力を入れるべきではないのか、と思ったりもするのですが...。