特別観光ビザ
先日、「2021年、タイ観光産業のメルトダウン(溶解消失)が始まる!」で書いたように、タイの観光産業は、今まさに危機的状況に陥っているのですが、監督官庁である観光スポーツ省に属し、観光産業全体をとりまとめているタイ観光局(TAT : Tourism Authority of Thailand)が観光ビザに関する新たな提案を出し、来週、閣議で協議されます。

TATは、タイ政府の中で、苦境に苦しむホテルや観光施設などの実態をもっとも正確に把握している機関だと思われるのですが、政府が来月から施行しようとしている2週間の検疫期間がある「プーケットモデル」だけでは外国人観光客を呼び込むのは難しいという考えで、特別観光ビザ(STV : Special Tourist VISA)の発行を提案しています。

これを受けたタイ観光
スポーツ省も、「このまま第4四半期も外国人観光客が増えなければ、400万人が従事するタイの観光産業で、250万人もの失業者が出てしまう」というTATの進言に従い、観光産業にとって起死回生の突破口ともいえる「14日間の検疫期間なしの特別ビザ」の発行を、来週、プラユット首相以下、閣議で協議することになりました。

現地紙、カーウソット(最新ニュース)によれば、この特別ビザは、コロナ感染リスクの低い国同士での合意に基づくGtoG(Government to Government)の相互協定で、当初90日間のビザが発行され、これを2,000バーツで観光客が取得可能とのことです。さらにその後も90日間の延長が2回可能であり、合計270日まで長期滞在可能とのこと。(注:多分、270日滞在の場合、延長ごとに2,000バーツと合計6,000バーツということになると思いますが、それでも大したことはありません)

特別観光ビザ2
TATによれば、こういった対策がうまくいけば、2019年の4,000万人の外国人観光客に対し、来年はベストケースで2,050万人の外国人観光客が呼び戻せると考えているようですが、確かにこれが閣議決定されれば、以前書いたような「観光産業メルトダウン」の危機を回避できるのかもしれません。

ホテル稼働率
また、ホテルの平均稼働率を30%まで上昇させることができれば、少なくともホテル業界は大量の解雇を回避しながら、なんとか最悪期を乗り切ることができるそうですが、現時点ではタイ人観光客に人気のあるフアヒンを除いて、バンコクもプーケットも30%に達していません。

“We cannot avoid new cases, but the most important thing is to have risk management in place. If there are five cases among 5 million tourists, and we can contain those infections with stringent measures, that would be a good balance between public health and business survival”
(TATコメント:コロナの新規感染を完全に防ぐのは無理だ。しかし、重要なのはリスク管理であり、500万人の外国人観光客が来てくれて、そのうち5人が感染者であったとしても、この感染はコントロール可能である。つまり、国民の健康とビジネスサバイバルを両立させるバランスが重要なのである)

このことは、以前書いたタイ中央銀行の考えとも同じですが、ここでTATのいっていることは世界の趨勢に沿っている正論だと思います。実際、タイと同じような観光立国であるカリブ海諸国などは、既に国民の感染リスクを取ってでも観光産業のサバイバルをかけて、外国人観光客に門戸を開放したということです。

タイ政府は、非常事態宣言を解除せずにいつまでも外国人をシャットアウトし続けていたら、やがて取り返しのつかない犠牲を国民が被ることになると認識し、すぐにはなかなか難しいと思いますが、何とか早くこの
14日間の検疫期間なしの特別観光ビザが承認されることを期待するのみです。