観光産業のメルトダウン
タイ中央銀行は、来年も今のような外国人観光客の受入拒否が続けば、タイの観光産業は壊滅的な影響を受けるとの警告を出すと同時に、以下のコメントにあるように、タイ政府はもっと経済とのバランスを重視するべきだとの意見を表明しました。

"If foreign travellers still cannot visit the country, this will impact Thailand's economic growth more severely next year. The government should strike a balance between tourism measures and outbreak containment" 
(外国人観光客が入国できない状況が来年も続けば、タイ経済全体に与える影響はさらに大きくなる。政府は観光産業促進策とコロナ感染阻止対策の両方のバランスを取りながら政策運営するべきである)

これについては、以前「コロナ制圧を自画自賛するタイ政府は韓国政府と同じ?」と題して日本の言論サイトに寄稿した記事でも書いたのですが、感染者ゼロが3か月も続くタイではあるものの、「国民の健康安全コロナ経済ダメージ軽減てい」であるという観点で見ると、タイ政府のやり方はコロナ感染阻止に偏りすぎているため、国としての安全度の評価は決して高くはなく、世界でも47位と平均的な位置づけになります。

軍事政権であることもあって、経済の舵取りは不得手で、その分、コロナ制圧の方にばかり目が行ってしまっているのだろうと思いますが、そもそも観光大国であるタイが外国人観光客を一切受け入れない現在のような状況が続けば、タイの観光産業が壊滅するという中央銀行のコメントは、全くその通りです。

ちなみに、タイ観光スポーツ省によれば2019年には約4,000万人の外国人観光客がタイを訪れ、その観光収入はGDPの2割にも達していたが、今年はわずか670万人、来年も1,200万人と予想しているとのことです。

観光収入予測2
一方、これは現地紙グルンテープ・トゥーラギットに載っていた記事ですが、タイ観光局の来年の最悪のシナリオでは、外国人観光客の入国拒否が続いた場合、観光客は614万人、観光収入も2,960億バーツまで落ち込むとの予測です。

観光収入予測
そして、中間シナリオでは1,250万人、ベストシナリオで2,050万人となっているのですが、いずれにせよ、2019年までに比べると、この表で見てもわかるように、収入面でも大幅減になります。

すなわち、これまで長い間、タイの観光産業は年間4,000万人もの外国人観光客を受け入れることができるほどの巨大な規模で成長を続けてきていて、観光収入も約2兆バーツという経済規模で需要と供給の関係が成立していたわけです。

しかし、コロナの影響で需要が激減した結果、今は極端な供給過剰となり、もし来年も今の状態が続けば、観光関連業界はもう耐えられなくなって倒産や失業者で溢れることになるということです。

その意味で、「タイ観光産業のメルトダウン(溶解消失)」という刺激的な表現は、まさに今の危機的状況を表現しているように思うのですが、タイ中央銀行がいっているように、コロナ感染のリスクを取ってでも観光産業への配慮をするべきという意見には、私は全く賛成です。

にほんブログ村 海外生活ブログ タイ情報へ
にほんブログ村