出口
最新著書の第6章で「行きはよいよい、帰りはこわい」と題して書いたことでもありますが、バンコクの場合、供給過剰もあり、とりあえず買うのは簡単ですが、市場特性として購入者の新築志向が強すぎるため、一旦中古となった物件をリセールするのには相当な時間がかかります。

かつてCBREリサーチ部門のマネジャーであったZmyHomeの社長、ナタポン氏が中古物件が売却されるまでの期間を調査したところ、平均でほぼ1年かかるという結果だったそうです。

もっとも、タイの場合、5年ぐらい前までは急がなくても構わないという余裕の売主がとりあえず希望価格で売り出しているケースも多く、当時はそれでも新築市場が右肩上がりで上昇していたことから、1年もするとじわじわと中古市場も値上りしてきて、やがて買い手が付くというケースが多かったようです。

その後、彼は独立して今の売買情報データベースの会社を立ち上げたのですが、今も新築の購入予約権はそれなりに売買されるのものの、やはり、中古となると買い手がぐっと減ってしまうようです。

また、私自身の経験からも、これまでに合計5物件を売却してきて、そのうち2件が予約権の売却でしたが、あとの3件は中古だったので時間がかかりました。

しかも、バンコクに住む私のように現地対応できる外国人はまだしも、「品確法のないタイ、隠れた瑕疵はこんなに恐い」で6回にわたって書いてきたように、重要事項説明もない中、隠れた瑕疵が怖いので、できれば中古物件は避けて新築を買おうと外国人投資家が考えるのも当然のことです。

従って、これだけ外国人投資家のシェアが増えても、相変わらず中古市場は未成熟なままで、今も「出口」が最難関であることに変わりはなく、本当に希少価値のある駅直結とか徒歩数分の物件を買うことが中古の「出口」リスクを軽減します。

例えば、日本の場合、築3~5年程度の中古であれば内外装ともまだきれいで、厳しい建築基準法や品確法により施工にも一定の信頼感があるので売れ行きもそう悪くないのですが、タイの場合は、やはり、仲介料もかからないこともあってデベロッパーから直接新築を買おうとします。すなわち、建築施工レベルがまだまだ信用されてないということでもあると思うのです。

また、私も身を持って経験したのですが、バンコクの中古市場で急いで売りたければ、かなりの魅力的な値段に下げないと、ほとんど仲介業者の案内も入りません。特に今は、コロナによる不況もあって、それこそ値段の問題以前に、住宅を探す買い手が本当に少なく、ちょっと絶望的な状況になっています。

一方、今の市場構造は昔のようにじっと待っていれば、新築の値上りに伴って中古も値上りしてくるという状況にはなっていません。むしろ、劣化が激しいバンコクのコンドミニアムは、新築の値上りが止まれば都心部であっても、これといってアップサイドのない中古は経年劣化で価値が落ち始めます。

そこで、値下りリスクがもっとも低いのはどこかと考えると、需要に厚みのあるアッパーミドルクラスに人気のあるエリアです。つまり、これが「出口」リスクの小さい投資物件の一つの条件ということになります。

また、彼らの月収はせいぜい10万バーツまでですが、上の表はCity Smartがちょっと前に調査した結果です。これを見てわかるように、今の厳しい銀行の与信基準でも余裕でパスできる彼らは、自己居住目的でも投資目的でも、かなりの住宅ローンを取り込めるので、800万バーツ(2,800万円)の物件まで手が届くわけです。

とはいっても、実際には500~600万バーツ程度の物件の購入層が一番多いと思うので、彼らがどこに住みたがっているかがわかれば「出口」リスクも軽減できることになりますが、トンローやプロンポンなど彼らは欲しがっていません。

次回に続く

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