
実際、次々と売り出される新規プレビルドプロジェクトの売出価格が確実に上昇していくのに、中古物件はそれに比べて値上りが遅い、もしくはほとんど値上りしないという例がよくあります。
地価上昇に伴い、新規供給物件の売出価格が上昇せざるを得ないというのは、当然の結果であり、理解できるのですが、日本を含め、先進国の不動産市場では新築と中古には相関関係があり、新築価格が上昇すれば割安感の出た中古物件価格も値上りするというのが市場原則です。
一方、バンコクの場合、この相関関係がないとまではいいませんがあまり強くなく、同じ中古物件でもそれなりに値上りするものと、さっぱり値上りしない、最悪、値下りするものも出てきます。従って、このバンコクの市場特性は世界の常識と相反するものともいえます。
しかし、いくら新築志向が強いといってもそれには限度があります。ここ数年は変化が起こりつつあり、バンコクでも次第に中古物件人気が高まってきているのです。
特に最近は、中国人バイヤー見参、日系デベは道を空けろ(その1)のところでも書いたように、新築でも10万~15万バーツ/㎡の価格帯の物件が最もよく売れています。
しかし、この価格帯ではCBDで駅から500㎡圏内の新築物件はもう無理で、ダウンタウンからフリンジ、ミッドタウンの物件になるのですが、このセグメントは外国人投資家だけでなく、タイ人アッパーミドルクラスにとっても人気エリアです。
そんな状況下、いつまでも新築物件にこだわっていると30㎡もないような狭小ユニットしか買えなくなってしまうので、観光客にホテルとして貸すのが目的の中国人投資家とは違って、自己居住目的のタイ人アッパーミドルクラスは、もっと広い中古物件を視野に入れるようになってきています。
そして、今後、地価上昇に伴って新築価格がさらに上昇していくだろうことを考えると、我々も今のうちに条件のいい優れた中古物件に投資しておくことを検討すべきだと思うのです。
特に、短期転売目的でなく、賃貸運用によるイールドプレイで5年以上保有しようと考えているような投資家にとっては、今回の続編の著書でも書いたように、ロケーションやクオリティ、管理の優れた中古物件を選んで買う方が投資妙味があると私は思っています。
そこで今回は、Older Bangkok condos could see price increases(中古物件の値上りが始まる)と題したバンコクポストの記事を紹介いていくことにします。
次回に続く