
しかし、この問題もやっと解決し、ちょうど今週から竣工引渡しが始まりました。一昨日、47㎡の角部屋を買った私のクライアントが受け取ったチャノート(権利証)を見せてくれましたが、今回は間違いなく引渡しが完了しています。
すなわち、善意の第三者に所有権の移転登記ができた以上、今後、紛争の当事者がそれを無効にすることはまず無理なので、もう心配はないと思います。
しかも、引渡しが遅延した3カ月分については、しっかり契約に基づきペナルティ金利ももらえることになったそうで、私もアシュトンアソーク、引渡しできず(その7)で「アシュトンアソークを買ってもらった私のクライアントには、アナンダーからのインセンティブオファーには実質何のインセンティブもないので合意しないようにと伝えてあります。こうなったら契約に定める最大で契約金額の1割の引渡し遅延ペナルティを取りに行くつもりで、結果を待つ方がいい」と書いた手前、状況を注視していたのですが、まあ、大事には至らずほっとしています。
さて、ここで話を戻しますが、私はどろどろした仲介はやらないのでこのブログを常に投資家目線で書いています。つまり、デベロッパーから直接コミッションがもらえる新築プレビルドの販売を最優先にするエージェント目線とは一線を画していて、新築でも中古でも投資対象として相応しいと思えるプロジェクトを推薦するようにしています。仲介料などもらわないので思った通りのことが書ける訳です。
このところの新規プロジェクト売出価格の急激な値上りは、主にマーケットシェア競争に必死になっているデベロッパーが用地取得で高く買い漁ったことによる地価上昇が一因でもあると思っています。
実際、こういう過当競争に加わらないデベロッパーもいるのですが、多くは需要と供給をあまり考えず、供給過剰を起こすほどのシェア争いをしているのです。つまり、ある意味、この価格高騰は彼ら自身が招いたものでもあるといえます。
従って、今の新規プレビルドには竣工するまでほとんど価格が上昇せず、むしろ竣工時の投売りで値下りするリスクもあると思うのです。もちろん、中には徐々に値上りしていってゲンガムライの転売益が取れるような優れたプロジェクトもあると思いますが、これからはその数は減っていくと思います。
その点、既に引渡しが行われた物件は値上りの速度が比較的緩やかですが、一旦中古となるとそこにはゲンガムライの転売で儲けようとする投機目的の連中がいなくなるので、値上りもゆっくりになるものの、キャピタルロスのリスクも小さくなるのです。
それもあって、この年刊誌で書いたように築浅中古や竣工直前直後の投売りを狙う方がいいとアドバイスしてきているのですが、最近の新規プレビルドの将来の値上りをほとんど織り込んでしまったかのような販売価格を見て、ますますこの考えが強くなってきた次第です。
ところでやっと竣工引渡しが始まった話題のアシュトンアソークですが、ここで引渡しが始まったということは、昨年末に比べると小さいですがもう一度投売りが出てくるのではないかと思っています。
しかし一方で、一昨日、現地に行った際にまた新しい問題が出ているのを見つけました。アナンダーはまたもこの問題を隠そうとしているのかもしれませんが、本当に次から次へと問題が出てくるデベロッパーです。次回はそれについて書いてみようと思います。